記事のポイント

  • アメリカ合衆国魚類野生生物局のカリフォルニア州支部は、インヨー国立森林公園とヨセミテ国立公園で1頭のクズリの目撃情報を3件確認。
  • カリフォルニアで目撃されたクズリとしては、1920年代以降では2頭目にあたります。
  • カナダやアラスカではよく見られるクズリは、カリフォルニアでは絶滅危惧種に指定されています。

科学者たちは2023年5月、カリフォルニアの山々をさまようクズリ(イタチ科に分類される食肉類。別名クロアナグマ)を目撃し、大いに興奮しました。さらに、このクズリ1頭を3回も目撃。同州における過去約100年間のうち、2頭目のクズリの存在が確認されたということになります。

クズリとは?

小熊に近い体をしていて、イタチ科で最大級の陸上動物であるクズリ。カリフォルニア州においては、絶滅危惧種に指定される動物です。それが2〜3週間の間に、インヨ国立森林公園とヨセミテ国立公園で3回にわたって目撃されました。この目撃情報は、カリフォルニア州魚類野生生物局(CDFW)によって確認されています。

CDFWの上級環境科学者であるダニエル・ガモンズは、声明の中で次のように述べています。

「クズリは長距離を移動することができるので、最近の目撃情報はすべて同一のものである可能性が高いです。過去約100年の間にカリフォルニアで確認されたクズリは2頭だけなので、今回のような最新の目撃情報は興味深いものになります」

さらにCDFWは、さまざまな目撃者や関係者から提供された画像や動画から、この生物の大きさ、体格、色合い、動きなどを確認し、それがクズリであることを特定しました。

カリフォルニアで
目撃されたのは、
過去約100年間のうち2頭

そんな今回のクズリですが、カリフォルニア州で過去約100年間に目撃されたクズリの中で2頭目となります。それも、2頭が目撃されたスパンは5年ほどしかありません。カリフォルニア州でこれ以前に確認されたクズリは、2008年から2018年までの期間で継続的に記録されていた1頭のみでした。

また、それ以前はというと1920年代にまでさかのぼります。専門家によると、「クズリの寿命は通常13年を超えない」とされています。そのため、「今回目撃されたクズリは、2008年に初めて目撃されたクズリとは異なる個体」という見解を示しています。

なぜクズリは温暖な
カリフォルニアに?

クズリはカナダやアラスカの山岳地帯ではよく見られますが、南下するにつれてその数は減少。アメリカとカナダにまたがるロッキー山脈やカスケード山脈にはまだ生息していますが、カリフォルニアの山々まで範囲を広げると、非常に希少な存在となります。

CDFWの環境科学者であるジュリア・ローソンは、「ロサンゼルス・タイムズ」紙に次のように語りました。

「クズリは単独で行動する動物であるため、今回発見された1頭には他の仲間がいない可能性があります。私たちの推測では、このクズリがここに降りてきた理由はその年が大雪だったからではないでしょうか」

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

クズリは家畜を捕食する動物。100年以上前にクズリの生息数が減少したのは、人間がこの地域からクズリを排除しようとしたためと考えられています。

今回の目撃情報によって、科学的な調査の緊急性を再認識させるものとなりました。それゆえ、「クズリの個体から遺伝子のサンプルを採取して研究したい」と興奮して話すローソンの様子に理解できます。このおよそ100年に2度目の大イベントによって、研究者たちばかりでなく地域住人たちも含め大いに沸き立っているのですから…。

Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Kotaro Tsuji
※この翻訳は抄訳です。