記事のポイント

  • アイスランドのグリンダヴィーク近隣地域では、壊滅的な火山噴火が発生する可能性が高まっています。
  • マグマの活動が何千回もの地震を引き起こし、地面に大きな亀裂ができるといった地形の変化も始まっています。
  • 9マイルに及ぶマグマトンネルも、依然として不安定な状態が続いています。このトンネルの変動が続いていることから、噴火の可能性が高いと予測されています。

マグマの活動が
町に及ぼした影響

アイスランドで新たなマグマの活動が観測され、それによりグリンダヴィーク(アイスランド南西部のレイキャネス半島に位置する港町)が高度な警戒態勢に入っています。この非常に活発なマグマ(地球の表面に達すると溶岩となります)活動は、すでに何千回もの地震を引き起こしており、中には「群発地震」として集中的に発生しているものもあります。

このマグマ活動によって、すでに町の周辺の土地が変形していますが、その勢いは一向に収まりそうにありません。アイスランド気象庁は、次のような声明を出していました。

「もし噴火が発生する場合、最も可能性が高いのはマグマの貫入地点(マグマが地層や岩石内の割れ目に入り込んで冷え固まったところ)でしょう。最新の危険評価によれば、他に噴火の可能性がありそうな場所は見当たりません」

そして12月13日時点では、「噴火の可能性が最も高いのは、グリンダヴィークの北にある、Hagafell方面とSundhnúkagígar周辺と考えられる」との発表がありました。

アイスランド気象庁によると、毎日数百回もの地震が発生しており、「マグマの貫入が続いている」としています。このマグマはグリンダヴィークの北西から始まり、大西洋に向かう約9マイル(約14.5キロメートル)にわたるトンネルを形成。最も浅い地点では、地下わずか約1マイル(約1.6キロメートル)未満にマグマが位置しているとされています。RUV(アイスランドの国営放送局「Ríkisútvarpið」の略称)によれば、「このマグマは2000年前のクレーターに沿って流れており、その勢いはますます増している」とのことです。

マグマの継続的な活動は、人口約3400人の小さな町グリンダヴィークに深刻な影響を与えました。マグマのトンネルは大地を押し動かし、この沿岸の町の中および周辺地域では地面の一部が陥没したり隆起したりしています。

アイスランドの
噴火の歴史から見る
今回の火山活動

10月から続くマグマの活動はまだ収束の兆しを見せず、徐々に溶岩が地表に近づいているであろうことから、「次に何が起こるのか?」という懸念がますます高まっています。

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もしもマグマが噴火すれば、その発生場所によっては大きな影響が出る可能性があります。英国屈指の理工系名門大学インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究員、ミシェル・ポーラットは次のように述べています。

「マグマが海水と接触して反応すれば、爆発を起こす可能性があります。もし海中で噴火が起きれば、スルツェイ島が誕生したきっかけとなった、1963年にアイスランドで起きたスルツェイ式噴火(海岸付近や海底でマグマが海水に触れることで起きる爆発的な噴火)のようになるでしょう。その時の噴火は数年間続き、グリンダヴィークでもそうなることは十分に考えられます」

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現在、地震活動は減少傾向にあるものの、避難中のグリンダヴィークの住民にとっては、噴火の規模や場所が予測できない現状からくる不安が日々続いています。ロンドン大学の地球物理学および気候災害の名誉教授ビル・マグワイヤーは、次のように語りました。

「グリンダヴィークの町は新しい断層に非常に近く、今後、としての存続が確実でない状況です。マグマが最終的に地表に達する場所によって町の未来が左右される可能性があるため、住民にとっては不確かで厳しい状況が続いています」

BBCの報道によれば、流れてくる可能性のある溶岩を阻止すべく、町から約6マイル(約9.7キロメートル)離れた場所にあるスヴァルツエンギの地熱発電所の周りに防御壁を建設中とのことです。

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2010年、アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山が噴火し、それによって発生した火山灰雲の影響でおよそ10万便のフライトがキャンセルされました。ですが、専門家たちは「もし今回グリンダヴィークが噴火しても同様の影響は起きないであろう」と予想します。

現時点では、この地域から約18マイル(約29キロメートル)北西に位置するケプラヴィーク国際空港には目立った影響が及んでいないと報告されています。

NPR(National Public Radio<米国の公共ラジオ>の略称であり、ニュースと情報に焦点を当てたアメリカの公共メディア)によれば、「アイスランドには32の火山群があり、グリンダヴィークがあるレイキャ-ネス半島では過去3年連続で3回の噴火が起きています。が、これは800年以上もの間、噴火が一度もなかった後に起きた出来事だ」と語っています。

2021年に始まったファグラダルスフィヤルの噴火のときよりも、今回グリンダヴィークに向かって流れているマグマのほうが、その量は“かなり多い”とされています。そのため、「グリンダヴィークが噴火するかどうか」ではなく、「いつ噴火するか」というほうが深刻な問題なのかもしれません。

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Translation / Yumi Suzuki
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

From: Popular Mechanics