80年代ラグジュアリーを
象徴するピアジェの金時計

スポーツウォッチは、しばしばかなり大げさな謳(うた)い文句で売られています。例えば、「(素潜りがばかりでなく飽和潜水の場合も含め)人間が潜れる限界を超えて深く潜れるダイビングウォッチ」や「(世界屈指の名サーキットのひとつであり続けている)英・ブランズハッチサーキットで証明された、重力への耐性を極めたレーシングウォッチ」、そして「月に行ったことのあるクロノグラフ」などなど…。とまぁ、そんな具合でしょうか。

一方で、1979年に登場したピアジェの「ピアジェ ポロ」は、スポーツウォッチでありながら、より親しみやすいデザインの腕時計として一世を風靡…まさに、時代の産物でした。

「ピアジェ ポロ」の発売当時の広告
PIAGET
「ピアジェ ポロ」の発売当時の広告。

当時のピアジェはすでに薄型のドレスウォッチにおいて、メンズとウィメンズの両市場で確固たる地位を築いていました。ですが、ブランドの指揮を執っていたイヴ・ピアジェ氏は、時代の変化に対して敏感な感性の持ち主でした。「ピアジェ ポロ」の発表に際し、次のように話していた記録が残っています。

「以前は、ドレスウォッチを好む顧客からのさまざまなリクエストに応えていましたが、今はスポーツを好むお客さまが増えています。つまり、ライフスタイルの転換期が訪れています。お客さまはスポーツをするときもスタイリッシュでありたい、いい時計を着けたいと思っている。だからピアジェは、防水性が高く衝撃に強いスポーツラインをつくったというわけです」

イヴ・ピアジェ氏
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当時ブランドの指揮を執っていたイヴ・ピアジェ氏。「ピアジェ ポロ」の誕生にも尽力しました。

時計のついた「金のブレス」

1979年に発表された「ピアジェ ポロ」は、ポロに興じる人たちをイメージしてつくられた時計です。ですが、VIP席でシャンパンを楽しみながらポロを観戦し、人生がいかに甘美なものであるかを祝福するような人たちに向けた、高次元のタイムピースでもありました。確かに当時そのような顧客たちは、自らのライフスタイルに合った腕時計を必要としていたことも事実でしょう。

ポロと深いつながりを持つピアジェ
PIAGET
ピアジェとポロは、深いつながりを保ち続けています。

オーデマ ピゲとパテック フィリップは、それぞれ「ロイヤルオーク」と「ノーチラス」を発表し、新興の「ラグジュアリースポーツウォッチ」と呼ばれる市場にすでに進出していましたが、これらのラグスポ時計…つまりは、高級感のある外装とスポーティなデザインを併せ持った腕時計の素材は主にスチールが用いられていました。そんななか、「ピアジェ ポロ」は金無垢でした。

ケースとブレスレットを完全に一体化したデザインで、そのどちらにもゴールドが使われていたのです。当時のスポーツウォッチとは完全に一線を画し、モダンデザインの傑作として高い評価を得ていたのです。そうして1980年代的なグラマーの象徴となり、パリの「シェ・レジーヌ」やニューヨークの「スタジオ54」といったナイトクラブ、さらにパームビーチのポロクラブに集う多くのセレブリティに愛されていました。

「『ピアジェ ポロ』のコンセプトは、 "世界で最も高価な時計 "でした」と、フォロ氏は回想します。

「ピアジェ氏はよく、『これはブレスレットのついた時計と言うよりも、時計のついたブレスレットなんだ』と言っていました。周りの人から『ああ、シャネルのドレスを着ているんだね』と言われるのと同じように、『ああ、ピアジェをつけているね』と言われるような時計です」

a man and a woman smiling
Piaget
ピアジェ・ポロ競技会で目撃された、イヴ・ピアジェ氏と映画女優のウルスラ・アンドレス氏(1979年撮影)。

創業150年を記念して
「ピアジェ ポロ 79」を発表

最近では、ピアジェは時計よりもジュエリーでよく知られるメゾンかもしれません。しかしその流れも、少しずつ潮目が変わり始めています。

「俳優のティモシー・シャラメが、フェミニンなドレスウォッチであるカルティエの『パンテール』をつけ始めたとき、この流れはピアジェが巻き起こしたものであるように感じられたんです。そして、ゴールドの『ピアジェ ポロ』の文字盤は次のトレンドとなる予感に満ちています」と、イギリスの中古時計専門店「サブダイヤル」の創業者クリスティ・デイヴィス氏は言います。

「ピアジェは歴史的に見ても、王族やセレブリティ、名士たちから熱い支持を集めてきました。『ピアジェ ポロ』は1980年代のラグジュアリーを象徴する存在ですが、あまりに派手だったために。一度は廃れてしまいました。ですが、当時のファッションに今再び熱い視線が注がれているのです」

ピアジェ ポロ
PIAGET
18Kイエローゴールドが、ケース、ブレスレット、ダイヤルにシームレスにつながり、その表情はまるでひとつの塊から削り出されたかのようです。
ピアジェ ポロ
PIAGET
ピアジェ ポロ
PIAGET

そして今年。1874年にスイス・ジュラ山脈の小さな集落から始まったピアジェが150周年を迎えます。それを記念して、新作「ピアジェ ポロ 79」が登場します。この新作では細かなアップデートを加えつつ、オリジナルデザインを忠実に踏襲しています。ムーブメントにはクオーツではなくピアジェ自社製薄型自動巻ムーブメント「1200P1」を採用。ピアジェが得意とする薄型のムーブメントだけに、装着感の高さは言うまでもありません。そして38mmのサファイアケースバックから、その美しい姿を眺めることもできます。

「初代モデルの『ピアジェ ポロ』はまさに、アイコニックな存在です」と話すのは、フロリダを拠点とするディーラー、ウインド・ヴィンテージのエリック・ウインド氏です。

「そんな『ピアジェ ポロ』の復活は、ピアジェにとって非常に賢明な行動だと思います。『ピアジェ ポロ 79』は、2024年で最もホットな時計となる可能性は十分に考えられるでしょう」

Piaget Polo 79 / ピアジェ ポロ 79

ピアジェ ポロ
PIAGET
  • ムーブメント:1200P1ピアジェ自社製薄型自動巻ムーブメント
  • パワーリザーブ:約44時間
  • ケース径:38mm
  • ケース:18Kイエローゴールド製ケース
  • ケースバック:シースルーケースバック
  • ブレスレット:18Kイエローゴールド
  • 発売:2024年9月(予定)
  • 価格:1060万円

●問い合わせ先
ピアジェ コンタクトセンター
TEL 0120-73-1874
公式サイト

From: Esquire UK