1970年代に、「折り紙細工」と言われる直線とエッジの利いたデザインで一世を風靡した天才デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロをご存知でしょうか?
イタリア・ピエモンテ州に生まれ、画家を志して美術高校に在学していたところ、たまたま描いたフィアット「500」のイラストがその設計者ダンテ・ジアコーサ氏に高く評価され、高校を中退。1955年に17歳でフィアットのデザイン部門(チェントロ・スティーレ)に入社しました。そして1959年、イタリアのカロッツェリアベルトーネの総帥ヌッチオ・ベルトーネ氏にスカウトされ、ベルトーネのチーフスタイリストに転進、ベルトーネに黄金時代をもたらした男です。
1965年にはベルトーネを辞して、カロッツェリア・ギアのチーフ・デザイナーに。同社在籍中には、日本車であるいすゞ「117クーペ」のデザインを手がけたことはご存知かと思います。そして1968年、30歳の時に日本人の企業家である宮川秀之氏と、天才板金技術者として名の知れるアルド・マントヴァーニ氏と共同で自らの会社イタルデザインを設立しています。
そうして2019年3月、スイスで行われた「ジュネーブモーターショー2019」にてジウジアーロ氏の伝説の第二部がスタートしたと言っていいでしょう…。
この伝説的なデザイナーでありジョルジェット・ジウジアーロ氏と、その息子ファブリチオ氏によって2015年より設立されたGFGスタイルは、そこで感動的電動ハイパーSUV、「カンガルー」のコンセプトカーが発表したのでした。
彼らは同年2月に、初公開することを発表していました。その予告通り、噂のクルマがアンヴェールされたのです。
そのスペックは、3.5秒で時速0-62マイル(0~100km/h)まで加速し、最高速度155マイル/時(250km/h)を記録。一回の充電での航続は、約280マイル(450km)以上の性能を持ち、4輪ステアリングを装備した完全電気自動車です。しかし、注目すべき点はそこだけではありません。最も注目を集めたのが、クルマ後部の方向指示器…。
ご覧ください、この大きくわかりやすい指示器を。後部ナンバープレートに隣接して、後部グリルセクション全体を占めてます。
GFGのプレスリリースによると、「各ドットにはLEDライトが付いた小さなプリズムのようになっており、それらが同時に動くことで『ジュエル エフェクト』(煌めきの効果)をつくり出すのです」と言います。このようにわかりやすい指示器が前方に走っていれば、見逃すことはないでしょう。
そして、無骨なボディランゲージと並外れた車高の低さのほかに、「カンガルー」はもう1つの優れた機能を持ち合わせています。それは窓…。通常のパワーウィンドウ(もしくは手動)ではなく、窓は真っすぐを上に開くのです。これでドライブスルーに行ったみたいものですね(笑)。
ジウジアーロ氏による、オフロードマインドのスーパーカーコンセプトは、もちろんこれが初めてではありません。最初は2013年の「パルクール」、その次はアウディ「ナヌーク クワトロ」、そして3番目が今回の「カンガルー」になります。この方向指示器とドアにより、今回の作品が「最上の最高」と言えるかもしれません。
しかしながらこの「カンガルー」が今後生産されるかどうかは、悲しいかな未だ明らかになってはいません。これまでのコンセプトカーが、実はどれも生産されていないことを考えると、その可能性は低そうです。が、これは間違いなく「歴代傑作のコンセプトカー」のリストにランク入りするほどカッコいいのです。
From Road and Track
Translation / Esquire Digital
※この翻訳は抄訳です。