シリーズの1作目として、その革新性から人気を博した『グランツーリスモ』。その発売から2年後、さらなる革新性で世界を震撼させた大人気レーシングゲーム『グランツーリスモ2』が、2020年12月11日に21歳の誕生日を迎えました。
「あれからもうそんなに…。自分も歳をとったものだ」と、自分の老いを嘆くのではなく、「史上最高!」との呼び声高いこのレースゲームに敬意を表するのが一番だと思います。
ここで改めて整理しておきましょう。プレイステーション用ソフト『グランツーリスモ2』は、日本では1999年12月11日に発売。アメリカでは12月同年12月23日に、そしてヨーロッパでは2000年1月28日に発売されました。
年末のホリデーシーズンの発売に間に合わせるため、急ごしらえ感も否めなかった「グランツーリスモ2」の初期バージョンには、不具合が散見されたのも事実です。しかしながら、それでもゲーム自体の輝きや凝縮されたドライビングのスリルを奪うことはできませんでした。
1997年のクリスマスイブイブに発表された初代『グランツーリスモ』から、大きな飛躍を遂げた本作は、前作の完成度だけでなく、数回の発売延期を経て、新作への期待値が膨らませていた『グランツーリスモシリーズ』マニアたちの期待を、さらに上回る完成度だったわけです。
実際に操ることのできる車種は、前作のなんと5倍増となる500車種。中には、軽自動車で有名なスズキやダイハツも含まれており、「アルトワークス」や「ワゴンR」などの日常使いに便利な(そして、多くの方に馴染みの深いであろう)モデルも追加されています。
そればかりか、『グランツーリスモ』シリーズにおいて海外メーカーが本格的に参入するようになった記念碑的なソフトでもあります。ロータス、アルファロメオ、ルノー、ミニ、プジョー、フォード…。ドイツからもメルセデスベンツやアウディ、BMW、フォルクスワーゲンが登場しています。ポルシェの姿は見当たりませんが、そのチューンを専門に行っているRUFの車両は登場しています。
実在するサーキット(カリフォルニア州にある「ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ」)」が初登場したのも本作からでした。また、ワシントン州シアトルの公道など、実在する市街地コースも本作から登場しています。
控えめに言っても、当時これほどの完成度の高いゲーム(レーシングシミュレーターと言うべきでしょう)は存在しませんでした。世界最大級のゲーム・エンタメメディア「IGN」は、1999年に行ったレビューで「『グランツーリスモ2』は普通のレースゲームではなく、史上最高のレースゲームだ」と評しています。
大衆受けする要素を盛り込むことで、実際に多くの人々を夢中にさせたことは事実です。しかし、単なる大衆受けのマスアピールだけを狙ったゲームではありませんでした。『グランツーリスモ2』はれっきとした、クルマ好きによるクルマ好きのためにつくられた、クルマ愛満載のソフトだったのです。
そして、ある世代のクルマに熱狂する人間の間では、このゲームは大きな影響力を持っていました。この記事の元となった原稿の著者であるアメリカの自動車メディア「Road & Track」の編集者、クリス・パーキンス氏は「R34型スカイライン」はおろか、「GT-R」や「ランサーエボVI」の存在も知ることはなかったと言います。
そして当の筆者は、さらにこうつづっています。
「グランツーリスモ2(と、それに続く全てのGTシリーズ)で何時間も走りましたが、私のクルマの趣味は今でもこのゲームに大きく影響されています。『グランツーリスモ』シリーズがなかったら、『Road & Track』編集部で働くことにもなっていなかったでしょう」とのこと。
話しはズレました。ここでは、『グランツーリスモ2』が発売からちょうど21年目を迎えた話をしていたのでした…。
アメリカで言えば、21歳という年齢は、お酒が飲めるようになる年齢です。大事に育てた息子が大きくなったかのように、なんだか感慨深い文面になっているのは、筆者が歳をとったせいでしょうか(この記事を読んでくれている読者の方の中にも、同じような思いの方がいらっしゃるかもしれません。再編集しているエスクァイア日本版担当もそうですので…)?
いえいえ、この原稿の冒頭でもお約束したとおり、そういうことを考えるのは止めましょう。今はただ、当時史上最高の呼び声高いこのレースゲームに、敬意を表することにしましょう。
そして伝説は、2021年発売予定の「グランツーリスモ7」へと続いていきます。
▼『グランツーリスモ7』の紹介ムービー▼
From Road & Track
Translation / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です。