現在、多くのクルマ好きがランボルギーニを選び始めています。

 ランボルギーニのラインナップは、12気筒エンジンを搭載したフラッグシップの「アヴェンタドール」。10気筒エンジンを搭載し、レースでも活躍するアスリート系の「ウラカン」。そして、2018年からポートフォリオに加わったスーパーSUVと呼ばれる「ウルス」。

 この3モデルを擁し、並みいる競合の中でさらなる飛躍を遂げているのです。

 2019年のランボルギーニの年間生産台数は、2018年比43%増の8205台に達し歴代新記録をマークしました。飛躍の原動力となったのは2018年にデビューした「ウルス」の存在です。一見、派手に見えるデザインは、ランボルギーニならではのアイデンティティかもしれませんが、その魅力はデザインだけではありません。具体的にその人気振りを考察してみましょう。

唯一無二のDNAを持つ
スーパーSUV「ウルス」

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ラグジュアリーSUVであり、スポーツカーのダイナミズムも備える

 イタリア北東部、エミリア=ロマーニャ州ボローニャ県のサンターガタ・ボロニェーゼを本拠とするランボルギーニ。エンブレムに採用されているのは、ご存知“ファイティングブル”です。創業は1963年ですが、エンジンを後部に搭載したミッドシップカー(スーパーカー)を市販車として量産した先駆けとしても知られています。

 同社は伝統的に闘牛に関連する名前を車名に冠していますが、躍進著しい「ウルス」という車名は、家畜の先祖に当たる「絶滅した野生牛」に由来します。その名が示すように、ラグジュアリーな室内空間を備えたSUVでありながら、獰猛な野獣の走りをよみがえらせたかのようにパワフルで、スーパースポーツカーのダイナミズムあふれる走りを実現しています。

 2019年に4962台を生産し、2020年の生産台数は6000台を超えるとも予想されています。サーキットからオフロードまで、ハイパワーエンジンと4WD駆動システムを搭載した「ウルス」は、まさにスーパーなSUV。世界を見わたしてもこのようなSUVは存在しません。そんなオンリーワンの魅力が、「ウルス」躍進の原動力ではないでしょうか。

urus graphite capsule
DIEGO VIGARANI
ヘリテージとなる歴代モデルのディテールも
巧みにデザインに反映

 どの角度から見ても、ランボルギーニ・ファミリーであることが一目でわかることも「ウルス」の魅力と言えるでしょう。また、現行モデルのみならず、ヘリテージとなる歴代モデルのディテールをも巧みにデザインに反映しています。フロントグリルに採用されたヘキサゴンデザインは名車「ミウラ」、後輪のフェンダーアーチを跳ね上げた形状(クサビ型のサイドビューも)はエポックな「カウンタック」の面影を残します。

 この2モデルは、いずれもカロッツェリア・ベルトーネの元チーフデザイナーである鬼才マルチェロ・ガンディーニ氏の作品ですが、スーパーSUVの「ウルス」は歴代ランボルギーニ車の全てのデザインを内包しているのです。

「ウルス グラファイト カプセル」登場

大人の色気漂うマットカラー
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DIEGO VIGARANI
エクステリアのアクセントカラーはインテリアにも継承され、色の組み合わせは全部で16パターン。こだわりの「ウルス」にさらなる個性を宿すことが可能です。
urus graphite capsule
DIEGO VIGARANI
アクセントカラー付き23インチのホイールも、「ウルス グラファイト カプセル」限定の仕様。

 そして、発表から2年が経過した2020年晩夏、2021年モデルのオプションとして登場したのが「ウルス グラファイト カプセル(Urus Graphite Capsule)」です。これは、ボディカラーに大人の色気漂うマットカラーを採用したモデルで、計4色(Bianco Monocerus [ホワイト]・Nero Noctis [ブラック]・Grigio Nimbus [グレー]・ Grigio Keres [グレー])のマットカラーが用意されています。

 さらに、フロントスプリッター・ドアインサート・リアスポイラーには、大胆な主張を感じさせるシャイニーな4色のアクセントカラー(Arancio Leonis [オレンジ]・Arancio Dryope [オレンジ]・Giallo Taurus [イエロー]・Verde Scandal[グリーン])が選択可能。ボディカラーとアクセントカラーで計16通りも新たな楽しみが増えました。

走りの原点へと誘ってくれる
圧巻のドライビングパフォーマンス
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Hu Mingkai
例えライフスタイルを楽しむ側面があったとしても、ランボルギーニに受け継がれるスーパースポーツの伝統を継承する走りこそ、「ウルス グラファイト カプセル」の真骨頂であり、存在証明であるとも言えるでしょう。

 ランボルギーニを名乗る以上、「ウルス グラファイト カプセル」もまた圧倒的なパフォーマンスを備えます。搭載されるエンジンは4.0リッターV型8気筒ツインターボで、最高出力650HPを発生。その大パワーを4輪へと、フレキシブルに配分します。

 駆動トルクの配分は、通常時がフロント40%・リア60%。状況によってフロントに最大70%、リアへ87%までそのトルクを配分します。

 0-100km/h加速は3.6秒という驚異の加速力。以下の数値は日本の公道では法定速度外なので出すことはできませんが、秘められたパワーをお伝えするために記しておくと、0-200km/h加速は12.8秒、最高速度は時速305km/h。これは市販されているSUVの中で最速となります。

 そして、多機能な走行モードも「ウルス グラファイト カプセル」の走りを支えます。一般道の走行にはコンフォートモードである「STRADA(ストラーダ)」、スポーティーな制御となる「SPORT(スポーツ)」、サーキット走行に最適化した「CORSA(コルサ)」の3モードを設定。オフロード向けの走行モードも細分化され「SABBIA(砂漠)」、「TERRA(オフロード)」、「NEVE(雪上)」と、シーンに応じたきめ細かな制御がなされます。

 また、運転支援装備としてパーキング・アシスト・パッケージ(オプション)を設定。「ウルス」に女性オーナーが多いというのも納得できます。

自分だけのこだわりも凝縮。
ラグジュアリーなインテリア
urus graphite capsule
DIEGO VIGARANI
ダッシュボードとドアパネルにはアルマイト処理を施したダークなアルミ製トリムと、新登場のマット仕上げのカーボンファイバー製インサートを使用。エレガントかつスタイリッシュな個性が、より一層際立ちます。

 「ウルス」オーナーにどんな点が魅力的かと尋ねると、エクステリアデザインは言うに及ばず、「インテリアが使いやすく快適で気に入っている」という意見が多いのです。ランボルギーニはかつて、「LM002」というオフロードモデル(1986-1993年)をつくっていた経緯があり、その見た目以上に機能的なインテリアデザインであると言えそうです。

 2画面のインフォテインメントディスプレイは、直感的に操作できるタッチスクリーン式を採用。また、ワイヤレス充電やランボルギーニコネクトに代表されるスマートフォンとの連動など、なんらサルーンと変わるところがありません。

 まさに「ビスポーク」と呼べる多彩なオプションは、シートステッチの選択からBang & Olufsenアドバンスト3Dオーディオシステムまで多岐に及びます。こうしたラグジュアリーカー同様のランボルギーニの対応が、ライフスタイルカーとしての「ウルス グラファイト カプセル」の魅力を究極へまで高めているのです。

創業者が夢に見た理想のGTカー。
「ウルス」はその集大成なのかもしれません。
debut of lamborghini's first ever super sport utility vehicle urus
Neilson Barnard//Getty Images
「350GTスーパーレッジェーラ」。

 創業者のフェルッチオ・ランボルギーニ氏は、当初はスポーツカーをつくらず、どこまでも快適に速く走れるグランド・ツーリングカー(GT)づくりを目指していました。ランボルギーニのファーストモデルである「350GT」が、流麗な2ドアクーペであったことは多くの自動車ファンが知るところですが、時代は流れ、最も道を選ばず、人に快適で速く移動できるクルマが「ウルス」なのではないでしょうか。

 唯一無二のデザインと圧倒的なパフォーマンスを備えたスーパーSUVのランボルギーニ「ウルス」こそ、フェルッチオ氏が理想としたグランド・ツーリングカーの姿なのだと思えてなりません。

【Urus Graphite Capsule gallery】
urus graphite capsule

♢Lamborghini Urus Graphite Capsule
エンジン / V型8気筒ツインターボ
総排気量 / 3996ccm
最高出力 / 650hp
最大トルク / 850Nm
最大回転数 / 6800rpm
駆動方式 / 4輪駆動
トランスミッション / 8速AT
サイズ / 全長5112mm 全幅2016mm 全高1638mm
価格 /2789万1882円(税抜)~

●お問い合わせ先
ランボルギーニ カスタマーセンター
TEL 0120‑988‑889
公式サイト


text / Seiichi Norishige(Kushima Jimusho)