《概要》

  • フェラーリ「Monza SP1」、「SP2」に続く、新たなコンセプトの限定スペシャル・シリーズ「Icona」の最新モデルが披露された。
  • 1960年代に活躍した伝説のスポーツプロトタイプからのインスピレーションで、限定生産のタルガモデルとなる。
  • 披露されたのは、ムジェロ・サーキットで開催された2021年「フェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ(Finali Mondiali ) 」。
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Ferrari

1967年2月6日、フェラーリはその長い歴史の中でも屈指の離れ業を成し遂げました。その年の国際スポーツカー選手権の初戦だったデイトナ24時間レースで、トップ3を独占したのです。

1位の「330 P3/4」、2位の「330 P4」、3位の「412 P」が横一列に並び、フォードのホームサーキットでチェッカーフラッグを受けたシーンは、今も伝説となって語り継がれています。この3台は、1966年に投入された「330 P3」がル・マン24時間レースで大敗を喫した屈辱を晴らすため開発されたものであり、チーフエンジニアのマウロ・フォルギエリ氏によって基本要素である「エンジン」、「シャシー」、「エアロダイナミクス」の3つが大幅に改良されたのでした…。

「330 P3/4」においては、1960年代のスポーツプロトタイプの精神を完璧に象徴しています。今では、1960年代はクローズド・ホイール・レースの黄金期として知られています。この時代を何世代ものエンジニアやデザイナーたちが、時代を超えたお手本として見据えてきました。

そうして「Icona」シリーズの最新モデルとして登場した「Ferrari Daytona SP3」も、60年代へのオマージュに満ち満ちたモデルであり、その車名からもわかるように、あの前年の雪辱を見事に晴らした伝説の1-2-3フィニッシュ時を彷彿とさせます。モータースポーツにおける比類なき地位をフェラーリが獲得する上で、大きく貢献したあのスポーツプロトタイプへの絶大なるオマージュなのです。

そんな最新モデル「Ferrari Daytona SP3」がお披露目されたのは、イタリアの本拠地ムジェロ・サーキットで開催された2021年の「フェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ」開催中の11月21日のこと。2018年にフェラーリ「Monza SP1」「SP2」で始まった「Icona」シリーズの、新たな限定モデルとして登場したのです。

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「Ferrari Daytona SP3」のデザインを支えるのは、対照的な要素が生み出す美しい相互作用です。見事に彫り込まれた肉感的なフォルムとシャープなラインが交錯する様は、エアロダイナミクスの重要性が急速に高まっていた頃の「330 P4」や「350 Can-Am」、「512 S」といったレーシングカーのデザインに通じています。着脱可能なハードトップを備える「タルガ」ボディという大胆な選択も、スポーツプロトタイプの世界に倣っています。これによって「Ferrari Daytona SP3」は胸躍るドライビング・プレジャーに加え、使いやすいパフォーマンスも兼ね備えたモデルとなったのです。

また「Ferrari Daytona SP3」は、技術面でも既に1960年代にレースで取り入れられていた洗練されたエンジニアリング手法からインスピレーションを得ています。当時と同じように、前述の3つの基本要素「エンジン」、「シャシー」、「エアロダイナミクス」に関してさらなる努力を重ねることによって、最大のパフォーマンスを達成しています。

さらに「Ferrari Daytona SP3」は、自然吸気V12エンジンをミッドリアに搭載するレーシングカーの典型的レイアウトを採用。異論の余地なくマラネッロを最も象徴するエンジン形式であり、しかもこのパワーユニットは、フェラーリ史上最高の840 cvもの出力を発生させ、最大トルクは697 Nm、最高回転数は9500 rpmに達するとのこと。

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シャシーに関してはF1の技術を活用した完全なコンポジット製で、この技術がロードカーで使われたのはマラネッロのスーパーカー「LaFerraria」以来。シートはシャシーと一体化されており、重量削減と共にレーシングカーに似たドライビングポジションを実現しています。

最後にエアロダイナミクスの研究と設計では、インスピレーションのもととなったマシンと同様、純粋にパッシブ式の空力ソリューションのみを活用して効率を最大化することに力が注がれました。

アンダーボディから低圧の空気を抜き出すチムニー(排熱ダクト)など、前例のないソリューションによって「Ferrari Daytona SP3」は可動式の空力デバイスを使用せずに、フェラーリ史上最も空力効率に優れたモデルとなりました。こうした革新的技術を巧妙に取り入れたことで、0-100km / h 加速2.85秒、0-200km / h 加速わずか7.4秒を達成しています。パフォーマンス、究極のセットアップ、そしてV12サウンドが、全く類のないドライビングプレジャー(歓び)をもたらしてくれるのです。