2022年6月16日(木)、フェラーリ主催のイベントがイタリアで催され、将来的なEVの取り組みなどについての道筋が示されました。発表された内容の中には、同社初のSUVとなる「プロサングエ」がオフロード仕様とはならないことも含まれていました。

さらに、ベネディット・ビーニャCEOからもう一つ興味深いニュースが明かされました。自動運転のフェラーリなど将来的にもあり得ないというのです。

就任間もないビーニャCEOですが、完全自動運転の計画の有無に関する「ブルームバーグ(Bloomberg)」からの質問に対し、興味深いコメントをしています。

ビーニャCEOは、「フェラーリも人の介入なしで走る、自律型自動運転を取り入れるべきだ」とする複数の人工知能(AI)の専門家からのプレゼンテーションを受ける機会があったことを明かし、さらに彼らをフェラーリのテストコースであるフィオラノサーキットに招き、フェラーリに実際に乗ってみるよう促したというのです。

「テストドライバーの運転する車にAIの、専門家の方々に乗っていただきました。フェラーリから降りた後、皆さまからの答えはこうでした。『わかったよベネディット。われわれのプレゼンは無意味だったようだね』と…」

それは、レベル4やレベル5の自動運転システム(編集注:国土交通省が定義する運転レベルで、運転操作の主体がシステム側にある自動運転車。ちなみにレベル5は、システムが全ての運転操作及び作動継続が困難な場合への対応を条件なしで実行する)をつくるつもりはないと、フェラーリのCEOが言い切った瞬間でもありました…。ただし、運転支援システムの開発については、これからも継続するものとしています。

自動運転をめぐる動きについて|国土交通省による資料

「運転を楽しもうという人々が、果たして車用のコンピュータなどに金を払おうと考えるでしょうか」と、ビーニャCEOはブルームバーグに対し語っています。「あくまでも人間ありき。『人間を中心に据えた価値観こそ、物事の基本である』と考えていますので…」

この先、フェラーリがその言葉を守るか否かについては、神のみぞ知るところです。なにしろ、「ずっとSUVはつくらない」と断言してきたフェラーリですので…。そんな「プロサングエ」のデビューは、数週間後に迫っています。時代は移り行くもの…。将来において自動運転のフェラーリが生まれるか否か、それはまだ誰にも知り得ないことなのかもしれません。

Source / Road & Track
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です