フェラーリの上顧客ともなれば、いずれは自分だけの特別な1台を発注することだってできるのです。

これまでにもVIPのための特別車を生み出してきたフェラーリですが、その最新作となるのが2019年に発表されたスーパーカー「F8トリブート」をベースにつくられたワンオフモデル、この「SP48ウニカ(Unica)」です。「F8」のメカニズムはそのままに、ボディからヘッドライトに至るまで、全てが新しく設計された唯一無二の車両となります。

「F8」と共用のドライブトレインを持つ「SP48ウニカ」ですが、710馬力のパワーと568lb-ftのトルクを誇る3.9リッターツインターボV8エンジンは、「488ピスタ」から移植されたもの。そのエンジンパワーを後輪に伝えるのは、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)。「SP48ウニカ」の性能については未公表ですが、おそらくは「F8」が誇る時速0-100キロ加速2.8秒、最高時速211マイル(約340キロ)に匹敵するか、それを超えたものになると見て間違いなさそうです。

フェラーリは「F8」のエアロダイナミクスを改善することで、この「SP48ウニカ」の新型ボディを完成させています。流線形のフロント部分と細長くなったリアエンド、タイトさの増したエアインテークのデザインが組み合わされたことで、「F8」と比較して約12パーセントの空気抵抗の低減を実現させています。

ferrari sp48 unica one off

ヘッドライトとテールランプのデザインも一新され、フロントグリルは3Dプリンターによって造形されています。天下のフェラーリですので、新型ボディを「F8」に乗せ換えそれでおしまい、などというはずはありません。この1台のために、正真正銘の新開発が行われているのです。

なお、「SP48ウニカ」のインテリアの写真は公開されていません。フェラーリによれば、キャビンはマットなカーボンファイバーで覆われ、ガンメタリック・グレーのアクセントが施されているとのこと。おそらく、「F8」とほぼ同様の内装であると推察されます。

フェラーリを愛する長年の顧客のために特別にデザインされた1台ということで、その人物も「この新作の開発については、その初期段階から深く関与している」とのこと。当然のことながら、その人物の名は明かされていません。他の多くのフェラーリのワンオフモデルと同様に、この「ウニカ」についてもオーナーに大きな利益をもたらすべく売却される日までの間、空調完備が万全のガレージでひっそりと過ごすことになるのではないでしょうか。

Translation / Kazuki Kimura
この翻訳は抄訳です。

From: Road & Track