ランボルギーニ「ウラカンSTO」は、アメリカのカーメディア「Road and Track」が2021年9月に開催した「パフォーマンスカー・オブ・ザ・イヤー(編集注:その年に最も輝いた車を『アメリカ版Road and Track』編集部)が表彰するアワード)」においてダークホース的な存在でした。

審査員のほとんどが、「この車が受賞することはない」と瞬時に判断を下していました。なぜなら、公道を走らせるにはあまりにも難があり、あの大袈裟すぎるルックスも評価を分ける要因となっていたのです。とは言え、さすがはランボルギーニ…。サーキット上では、そして滑らかな路面の広々とした舗装路においては、まるで“魔法のごとき性能を発揮する車”であることに異論を挟む余地などありません。

“熟練したドライバーのための車”ということであれば、「間違いのない1台」と言い切れるでしょう。とにかく主張の強い、自由闊達な車なのです。「近年のランボルギーニ車の中で最も優れた車」ということも言い添えておくべきかもしれません。

ただし、それも「ウラカン テクニカ」が登場するまでの話です。

「ウラカンSTO」を補完するような快作

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AUTOMOBILI LAMBORGHINI

その「ウラカンテクニカ」は、エントリーレベルのV10 エンジンを積んだランボルギーニのスーパーカーの最新版(そしておそらく最後のモデル)として見事な進化を遂げており、「ウラカンSTO」に不足していたあれこれを補い、まさに息をのむほどのパフォーマンスを備ています。

この車は公道においても、他の車に負けることは考えられないような走りを実現するでしょう。ランボルギーニがこれまで生み出してきた車の中で最も完成度が高く、また最も満足度の高い仕上がりとなったというわけです。

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「ウラカン テクニカ」は「ウラカンSTO」のドライブトレインを継承しつつも、クラムシェル型のボディではなく、より汎用性の高いメタル製のボディを採用しています。大型のウイングとエンジンルームのエアスクープが取り払われ、「ウラカンEVO」に近いボディパネルとなりました。

最大の変化と言えば、フロントのデザインです。ランボルギーニが新たに取り入れたY字型のアクセントにより、ヘッドライト付近の造形が際立っています。エアインテークまわり、リアエンド、エンジンカバーも新設計のカーボンファイバー製となりました。

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ウイングはやや中途半端で、なじまない印象と言えなくもありません。が、これには理由があるようです。「『ウラカンテクニカ』の初期プロトタイプには、そもそもウイングが装備されていなかった」と証言しているのは、開発責任者のビクター・アンダーバーグ氏です。高速コーナーにおけるリアの安定性を確保するために、ウイングを後付けで追加したとのこと。

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アンダーボディにも大きく手が加えられ、その効果としてダウンフォースとブレーキ性能がそれぞれ向上しています。それでも「ウラカンSTO」のダウンフォースには及びませんが、同じ後輪駆動の「ウラカンEVO」と比較して実に35パーセントも向上しました。

さらにブレーキディスクの加熱は7パーセント低下し、ペダルの踏みしろ(ブレーキの加熱に伴い生じるペダルの踏み込みの深さの変化)は5パーセント減少したことを、ランボルギーニは公表しています。

Source / Road & Track
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です