ついにトヨタも

トヨタは北米で発売するEVに、テスラが開発した急速充電規格の「NACS(North American Charging Standard)」を採用すると、現地時間10月19日(木)に発表しました。これによってトヨタのEVユーザーも、テスラが北米で1万2000基以上展開する急速充電器「スーパーチャージャー」を使用可能となり利便性の向上が見込まれます。

これまで多くのメーカーが「CCS(Combined Charging System:コンバインド充電システム規格)」の採用を支持していましたが、フォードやGM(ゼネラル・モーターズ)、そして今回のトヨタなどがNACSの採用に切り替えたことで北米におけるEV充電規格をめぐる競争はほぼ終了し、今後はNACSが北米における統一規格となる見込みです。

トヨタは2025年から製造されるアメリカ市場向けの電動車に、NACSの充電用ポートを搭載します。既存のCCS規格車への充電アダプターの提供については触れていませんが、2024年からアダプターを提供するメーカーが多数存在するため、トヨタも同様の措置を取る可能性が高いとみられています。

主流は「テスラ方式」へ

今年5月中旬の段階では、NACSを採用しているのはテスラのみでした。しかし、5月末にフォードがEVにNACSを採用するという驚きの発表を行いました。これによって、テスラが誇る大規模かつ高品質な「スーパーチャージャーネットワーク」へのアクセスの門戸がフォードオーナーにも開かれることとなったのです。

そうしてフォードのこの動きが、CCSという堤防を崩す流れを呼び込みました。フォードの発表からわずか2日後にはGMが続き、わずか5カ月余りでGM、ヒョンデ、キア、ジェネシス、ホンダ/アキュラ、メルセデス、BMW、MINI、ロールス・ロイス、ボルボ、ポールスター、日産、フィスカーがNACSの採用に切り替えています。そして今やトヨタも、NACSへの切り替え組の一つとなりました。

残る最大の抵抗勢力は、プジョーやジープ、シトロエンなどを傘下に抱えるステランティスと、フォルクスワーゲングループとなります。ですが、両陣営ともにNACSへの興味をほのめかしています。ステランティスは6月に、フォルクスワーゲンも文書ではありましたが、NACSへの強い興味関心を示し、具体的に検討中であるとの発表も行っています。

となると残るプレイヤーは、テスラ「モデルS」の開発を手掛けたピーター・ローリンソン氏が2007年に設立したアメリカの「ルーシッドモーターズ」とベトナムの「ビンファスト」となります。とは言えどちらも、CCSを存続させるに足るほどに十分な車両生産台数を持っていないとも見込まれます。

注目の合弁会社も支持。
規格統一化へ拍車

最終的には、充電プラグよりも充電ステーションの方が重要です。ただし、アメリカの充電規格論争に終止符が打たれ、事実上NACSに一本化されたと言える今、さらなる利便性の向上もそう遠い未来の話とはならないはずです。

今年7月26日(現地時間)には、複数社が参加するEV用高出力充電網を新たに構築する合弁会社の設立が発表されいています。参加するのは、アメリカのEVインフラストラクチャ―「クーロン・テクノロジーズ」が展開する「チャージポイント」と、DC急速充電ステーションネットワークの「イレクトリファイ・アメリカ(Electrify America)」、さらにはBMW、GM、ホンダ、メルセデス、ヒョンデ、キア、ステランティスと、そうそうたる顔ぶれです。今後、米国とカナダで少なくとも3万基の充電器を設置することを目指していますが、彼らもNACSをサポートすることを明らかにしています。

Source / Road & Track
Translation & Edit / Ryutaro Hayashi
※この翻訳は抄訳です