Maddie Meyer - FIFA/FIFA via Getty Images

シナリオに、忠実に。

ここまでの戦いぶりは、決して順風満帆なものではありませんでした。危なげなく勝った試合はグループリーグのカナダ戦くらい。派手さや美しさに満ちた、“見栄えのする”プレースタイルではなかったかもしれません。美しい音色を奏でるようなパスワークも、優美なステップを繰り出してピッチで踊るドリブルもありません。それでも、最後までしぶとく、倒れない。愚直に、力強く戦い、物静かで男らしい“剛”のサッカー。そして、なぜか最後には勝利しているチーム。そんなクロアチアがついに力尽きました。

今日の1枚はFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会準決勝、後半の戦いへと向かうクロアチアの選手たちを捉えた写真です。このときスコアは0-2。ここまで、しぶとい戦いを見せてきた男たちは何を思っていたのでしょうか?

前回のW杯では準優勝。歴史的に見てもサッカー強国に数え上げられます。そうであるにもかかわらず、なぜか常にダークホース的な役回りを演じることの多いクロアチア。その配役を全(まっと)うするかのように、今大会でも戴冠の頂には届きませんでした。

スコアは0-3。スコアほどの差はないようにも見えましたが、アルゼンチンには神の子リオネル・メッシがいました。今大会若手最大の注目株と目されるDFヨシュコ・グヴァルディオル(20歳)をもってしても、初のW杯王者のタイトルに飢えた35歳のレジェンドの熟練の煌めきの前では無力でした。それでもこの東欧の男たちが戦う姿に(たとえ、もがく姿であったとしても)、心動かされてしまうのは自分だけではないはず。好チームでした。

一方、勝利を収めたアルゼンチンは2大会ぶりの決勝進出となります。クライマックスはもうすぐそこです。