Liu Lu/VCG via Getty Images

敗者なき試合

ベルギー、オランダ、ドイツ、ドイル、トルコ、クロアチア、スウェーデン、イタリア…。何かというと、過去8大会のワールドカップで3位になった国々です。やはり優勝国に注目が注がれるだけに、どうしても記憶に残りにくいのは否めないところではないでしょうか?

それは戦う方も同じようで、どこか祭りの後のような緩やかな空気がゲームを支配することも珍しくありません。もしかしたら、あと一歩のところで夢破れた悔しさやここまでたどり着いた安堵感、そして山の頂を目指して同じところにたどり着いた相手チームへのリスペクトや連帯意識がそうさせるのかもしれません。

FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会22日目。3位決定戦が行われました。対戦カードはクロアチア対モロッコ。予選リーグ初戦でも対戦したカードと同じとなるのは、史上初のことでした。

試合は戦前のコチラの見立てを裏切り、開始早々から激しい展開に。前半7分、今大会再注目の若手プレイヤー、ヨシュコ・グバルディオルのヘディングシュートで均衡が破られると、その後は一進一退の激しい展開に。結局、試合は2-1でクロアチアの勝利。両チームが死力を出し尽くしたナイスゲームとなりました。

準優勝だった前回大会に引き続き、3位という好成績を収めたクロアチアのタフさは相変わらず。もはやお家芸とも言えそうですが、それ以上に、一瞬の閃光のように散っていったモロッコの美しいサッカーが光の残像のように瞼の裏に残り続けた一戦でした。

今大会モロッコは、アフリカ勢として過去最高の4位と躍進しました。が、それ以上に敗れてもなお美しい(試合後のレフェリーへの抗議はいただけませんでしたが…)。そんなチームを応援できるモロッコ国民が羨ましく見えた夜でもありました。