・HBOのドキュメンタリー『Leaving Neverland(原題)』で、ネバーランド・ランチが再び注目を集めています。
・現在売りに出されているこの不動産は、当初の価格から7000万ドル(約78億4000万円)も値引きされました。
・2003年のマイケル・ジャクソンによる性的虐待疑惑を受け、この場所は犯罪現場とみなされるようになりました。
故マイケル・ジャクソンによる「性的虐待疑惑」という不名誉なカタチで、世に広く知られるようになった「ネバーランド・ランチ」が、当初の売り出し価格の数分の1で再び不動産市場に戻ってきました。
およそ11平方キロメートルあるこの不動産は、2015年には1億ドル(約111億円)で売りに出されていましたが、その後2017年には6700万ドル(約75億円)まで値下がりしていました。しかし、この価格でも買い手がつかなかったため、一度はリスティングが取り下げられていました。そうして再び戻ってきた今回、価格は3100万ドル(約35億円)と大幅に引き下げられているのです。
そうした中、米ケーブルテレビ局のHBOは2部構成のドキュメンタリー映画『Leaving Neverland(原題)』を、2019年3月2日と3月3日の夜にオンエアしたことによって、このタイミングで再び「ネバーランド」に世の注目が集まっています。
この映画は、ウェイド・ロブソン氏とジェームズ・セーフチャック氏という2人の男性が語る性的虐待の話を中心にしたものですが、彼らが被害を受けた主な現場とされているのが、この場所になります。2人は少年時代、ネバーランドに招かれて長期滞在し、このときにマイケルから性的虐待を受けたと訴えています。
マイケルは招待した少年たちと同じベッドで寝たこと自体は公に認めており、ロブソン氏とセーフチャック氏の他にも、少年時代にマイケルとネバーランドに泊まった3人の男性が彼を性的虐待で訴えていました。
マイケルは生前、この疑惑に対して否定します。そして2005年に陪審員たちは、重度の児童性的虐待で訴えられていたマイケルに対し、無罪判決を下してのでした。
「アーキテクチュアル・ダイジェスト」誌によれば、「広々とした未開発のカウボーイカントリー」であったこの地を切り開いて住宅を建設したのは、儲けになりそうな場所を探し回っていたウィリアム・ボーン氏という不動産デベロッパーだったそうです。
「この地はプラタナスや赤樫の木に覆われ、海岸に近かったため涼しい風や湿潤な土壌があった」と同誌は記しています。この不動産はぶどう畑に囲まれており、ロス パドレス国立森林公園の外れにありました。
同誌によれば、ボーンは1200平方メートルの母屋のほか、離れ家や庭、滝のある1万6000平方メートルの湖、石橋などを建設したと言います。
ネバーランドはその後、「シカモア・バレー・ランチ」と再び改名されました。が、差し押さえから何年経っても、買い手は見つかりませんでした。
有名な犯罪現場となった家は、それが疑惑であっても、しばしばなかなか買い手がつかず、通常は市場価格より安く売られるものです。不動産用語では、「事故物件」とも呼ばれ、事件からしばらくは相場よりも15〜25%安く売られるのが常…。シカモア・バレーの70%という値引き額はこれを率をはるかに上回ってはいます。それには、高額不動産市場自体が全体的に低迷している影響もあるようです。
マイケルは2005年の児童性的虐待裁判での無罪判決を経て、ネバーランドから引っ越しました。
犯罪現場の疑いがかけられた彼の邸宅は、警察チームによって徹底的に捜査され、マイケルはもはや「ここに戻ってこない」ことを誓ったのです。彼はネバーランドを閉鎖し、この不動産は2008年には差し押さえられました。マイケルは巨額の借金を抱え、翌年に亡くなったわけです。
そもそもマイケルがシカモア・バレー・ランチを購入したのは、1987年のこと。当時の価格は、「1950万ドル(約22億円)であった」と伝えられています。
彼はこの場所を「ネバーランド」と改名し、15年間住んでいました。「ネバーランド」という名前はもちろん、ジェームス・マシュー・バリーの『ピーター・パン』に登場する、子どもたちが永遠に大人に成長しない魔法の島から取られたものです。ネバーランドに住んでいたころのマイケルは、まさに夢の国のような雰囲気をつくり上げました。
ネバーランドには観覧車やジェットコースター、メリーゴーランド、バンパーカー、アーケード、2台の蒸気機関車などがある私的な遊園地もあり、彼はしばしば子どもたちをネバーランドに招待していたのです。そして1995年の「子どもの世界会議(World Congress of Children)」では、世界中から46人もの子どもたちが集まりもしました。
このような高額不動産の専門家の1人は、2016年に「この市場は本当に低迷しています。これらの豪邸を買えるような大富豪は限られているのです」と「ブルームバーグ」紙に語っています。
あらゆることで注目され続けている、故マイケル・ジャクソン。彼が保有していた「ネバーランド」についても、今後も注目され続けることでしょう。
From Esquire US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。