『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)や『ベイビー・ドライバー』(2017)で知られるエドガー・ライトが監督した「マクドナルドUK」の新しいCM。題して『Raise Your Arches(あなたのアーチも吊り上げて)』。60秒と30秒バージョンがYouTubeで公開されました。 

これが「ハンバーガーも映っていなければ、マクドナルドのショップすら見えない。お決まりの『たらったったった~アイム・ラヴィン・イット』もない。これまでのCMの規格を少しも守っていないのに、とにかく記憶に残る」と公式SNS上のコメントだけでなく、各メディアも話題に。

マクドナルド エドガー・ライト cm
Dave J Hogan//Getty Images
エドガー・ライト

どこかのオフィスを舞台に、仕事に追われストレスを抱える1人の社員が黄色のポストイットに「ゴールデンアーチ」マクドナルドの「M」を描き、向かいに座る同僚のスクリーンに貼り付けると、続けてロゴの形に眉をピクピク……。

この眉毛の上げ下げが「マクドナルドを食べにいこうよ」と誘う合図になり、次々に社内に伝染。みんなでダンスするようにショップへと向かう“集団行動”は、観る側を控えめにハンバーガーショップへと導き、最後に「Fancy a McDonald’s?(マクドナルド、行かない?)」と問いかけます。訴求力は十分でありながら、映像として繰り返し見たくなる魅力を携えているうえ、「“やってみた動画”をつくりたい」と思わせる要素にもあふれています。

テレビ、ウェブサイト、SNS。毎日うんざりするほどのCM映像があふれている現在、ひたすら社名を叫ぶだけのもの、落書きのようなアニメーション、商品をこれでもかと見せられるもの、ひたすら商品を食べ続ける映像などなど、興味ない人たちには不快感さえもよおさせるような映像ではなく、あえて興味があってもなくても映像作品として楽しめるCMは貴重な存在です。

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しかも、ライト監督のインスタグラムによれば、依頼は「Yello(イエロー=80年代のテクノポップバンド)の1曲を通しで使ってCMを1本つくってほしい」というお題だったそう。ちなみに返事は、「“オォ、イェー(今回使用された楽曲名)”と答えるしかなかったよね」とのこと。

日本時間2023年1月17日現在、YouTubeでの再生回数は投稿から4日間で14万回。ライト監督のinstagramでは25万と、驚くべき再生回数とまではいかないものの、TikTokやTwitter上でも次々にシェアされています。しかも、ポジティブな形で。