米エンタメ情報サイト「バラエティ」によると、クリストファー・ノーラン監督の新作映画にロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ジョン・デビッド・ワシントンの出演が決まったようです。 
 
 デビッキとワシントンは2018年に公開された映画での演技が評価され、今回のキャストに起用されました。デビッキはスティーブ・マックイーン監督の『妻たちの落とし前(原題Widows)』に出演、ワシントンはスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』で白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)に潜入する警官ロン・ストールワースを演じました

 パティンソンの最近の出演作には、『グッド・タイム』や『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』など高い評価を受けている作品や、フランスの女性監督クレール・ドニの最新作『ハイ・ライフ』などがあります。 
 
 ノーラン監督は既に脚本を書き上げているようですが、タイトルは未定とのこと。以前には、『北北西に進路を取れ』×『インセプション』のようなものになりそうだとの噂もありましたが、その後、製作・配給会社のワーナー・ブラザースは「エスクァイアUK」に対し、この噂を否定しています。 
 
 実際どのような映画になるのかは、秘密のベールに隠されたままです。が、「バラエティ」は次のように報じています。

 関係者によると、「新作はアクション大作で、再びIMAXでの公開が予定されている。ノーラン監督がストリーミング配信よりも映画館を指示する発言をしていることを考えれば、スクリーン超大作の準備をしていても不思議ではない。彼は今月行われた英国映画館連盟の会議で、『私の個人的な思い出は映画そのものや、スクリーン上で繰り広げられるすばらしいアドベンチャーだけではありません。小さな子どもが自分よりもずっと大きく、立派な建物に入場するという特別感、幕が開き、ワイドスクリーン上映用に画面が広がっていくときのワクワク感などを覚えています』と発言している」とのこと。

preview for Dunkirk trailer 2 (Official Main Trailer)

 ノーラン監督はまた、ポール・トーマス・アンダーソンらとともに、映画の作り手が意図した視覚体験を損なうものとして、テレビの「動き補間」設定への反対を表明しています。つまり、彼は映画というものを愛しているのです。 
 
 ノーラン監督の新作は、演出が光る話題の映画となるであろうことは間違いありませんが、かと言ってただの「超大型アクション作」ではなさそうです。彼の作風には決まって、時間軸の遊びがあったり、トリックや錯覚効果をふんだんに使ったりするもので、登場人物の役どころも善悪があいまいなことが多いのです。 
 

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Warner Bros.
ノーラン監督の代表作として知られる『インセプション』。映像のみならず、脚本もかなり凝っている力作です。

 
 『ダンケルク』は、彼が初めてアカデミー監督賞にノミネートされた作品です。が、受賞の可能性は低いものでした。アカデミー監督賞は結局、ファンタジーラブストーリー『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督が手にしましたが、『レディ・バード』の女性監督グレタ・ガーウィグや『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールもノミネートされ大きな支持を得るなど、アカデミー賞は「多様性」がキーワードとなりました。 
 
 過去の作品では、実力派男性俳優がストーリーの中心に据えられています。例えば『ダンケルク』では、トム・ハーディキリアン・マーフィ、マーク・ライランス。『インターステラー』ではオスカー俳優のマシュー・マコノヒー。「ダークナイト」三部作ではクリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマンなどです。 
 

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Warner Bros.
ノーラン監督が手がけたSF大作『インターステラー』の場面写真。


 ところが新作のキャストには、ノーラン監督作品の方向性の変化が感じられます。

 ハリウッドでのデビッキの評判が上がっていることもあり、もしかすると初の女性主人公作品となる可能性もありえるかもしれません…。 
 
 どのような物語が展開され、主要キャストたちがどのような役を演じるのか、ノーラン監督のファンはドキドキしながら最新情報を待ち構えていることでしょう。 

 

 
 

From Esquire UK 
Translation / Keiko Tanaka 
※この翻訳は抄訳です