2021年の第93回アカデミー賞授賞式を覚えていますか?
司会者もなく、社会的にも距離を置いたもので史上最低の視聴率という結果となり、きっとその記憶が薄れている人も少なくないでしょう。そんな皆さんに、そのときの一番のハイライトをお教えしましょう。それは…大御所俳優のグレン・クローズが曲当てクイズで(ゴーゴー・ファンクバンドのエクスペリエンス・アンリミテッドが1988年にヒットさせた曲)『Da Butt』を当てるだけでなく、印象的な尻振りダンスまでも披露したことです。
さて、2022年のアカデミー賞授賞式は、どうなるでしょうか? 2022年1月になると、(アメリカ全土で)新型コロナウイルス感染症は再び感染を拡大していきましたが、1月末より徐々にその感染者数は下がり、落ち着きを見せ始めているのは確か。2022年3月27日(日)には、きっと何年経っても皆さんの記憶に残る印象的な夜となるでしょう…そう祈っています。
そうして現地時間2022年2月8日(火)、トレイシー・エリス・ロスとレスリー・ジョーダンによって2022年のノミネートリストが発表されました。
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(日本公開日2021年11月19日)が12部門ノミネートで首位に立ち、『DUNE/デューン 砂の惑星』(日本公開日2021年10月15日)が10部門ノミネートでその後に続きます。さらに、『ウエスト・サイド・ストーリー』(日本公開日2022年2月11日)と『ベルファスト』(日本公開予定日2022年3月25日)がそれぞれ7部門ノミネートでその後ろに迫っています。
また、クリステン・スチュワート、ジェシー・バックリー、アリアナ・デボースなど、初ノミネートで注目を浴びた俳優の演技が上位を占めているのも明るい話題です。さらにビヨンセも歌曲賞部門でオスカー・デビューを果たしており、初ノミネート組の仲間入りを果たしています。
そして私たちは今回、歴史的な出来事も目の当たりにしています。
1994年に開催されたアカデミー賞監督賞において『ピアノ・レッスン』でジェーン・カンピオン監督は初ノミネートされました。それから28年後の今回、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で女性として初めて監督賞2度目のノミネートを果たしました。同作品の撮影監督アリ・ウェグナーも撮影賞にノミネートされており、史上初の女性受賞者として歴史に名を刻む可能性もあります。
一方、キルスティン・ダンストとジェシー・プレモンス、ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムがノミネートされており、1年に2組の実在するカップルが演技部門4部門すべてをカバーするのも初めてのことです。
しかし、他のアカデミー賞と同様、惜しくも受賞を逃した作品もありました。
最もショックだったのは、『DUNE/デューン 砂の惑星』の生みの親であるドゥニ・ヴィルヌーヴが監督賞を逃したこと。ですが、『DUNE/デューン 砂の惑星』パート2が公開されれば、オスカーも彼に期待するかもしれません。一方、スティーブン・スピルバーグは60年ぶりに監督賞にノミネートされていましたが、その席を巡って、ヴィルヌーヴのほうを犠牲にする意味はあったのでしょうか?
テッサ・トンプソンとルース・ネッガのセンセーショナルな演技に支えられ、有力視されていた注目の作品『PASSING 白い黒人』(日本公開日2021年11月10日)も各部門で落選。『ハウス・オブ・グッチ』(日本公開日2022年1月14日)に関しても、アカデミー賞有力候補として注目されていながら、完全に除外されたというわけです。
2022年3月27日(日)の夜、タキシードやドレスに身を包んだスターたちがハリウッドのカルフォルニア州ロサンゼルスのドルビー・シアターに集まり、(まだ発表されていない)ホストとのセレモニーを行います(2018年以来のことです)。
映画というもののバランスも崩れたこの1年、『DUNE/デューン 砂の惑星』や『ドリームプラン』のような看板作品がそのままストリーミングへ直行するようになりました。動画を配信するものと大スクリーンで上映するものとの間にある違いに関して、もはや慣習的な選別は通用しない時代になっているようです。
さぁ、どちらの陣営が黄金を獲得し、それと比例してお金を回収するでしょうか? 最終的に勝者というものに関しては、このような慣習的な選別で決まるのです。その答えはもうすぐ、数週間のうちに分かることでしょう。さらなる情報に、皆さん目と耳を傾けておいてください。
作品賞
■『ベルファスト』
(日本公開日 2022年3月25日)
■『コーダ あいのうた』
(日本公開日2022年1月21日)
■『ドント・ルック・アップ』
(日本公開日2021年12月10日)
■『ドライブ・マイ・カー』
(日本公開日2021年8月20日)
■『DUNE/デューン 砂の惑星』
(日本公開日2021年10月15日)
■『ドリームプラン』
(日本公開日2022年2月23日)
■『リコリス・ピザ』
(日本公開日2022年)
■『ナイトメア・アリー』
(日本公開日2022年3月25日)
■『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
■『ウエスト・サイド・ストーリー』
(日本公開日2022年2月11日)
監督賞
■ケネス・ブラナー
『ベルファスト』
(日本公開日2022年3月25日)
■濱口 竜介
『ドライブ・マイ・カー』
(日本公開日2021年8月20日)
■ポール・トーマス・アンダーソン
『リコリス・ピザ』
(日本公開日2022年)
■ジェーン・カンピオン
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
■スティーブン・スピルバーグ
『ウエスト・サイド・ストーリー』
(日本公開日2022年2月11日)
主演男優賞
■ハビエル・バルデム
『愛すべき夫妻の秘密』
(日本公開日2021年12月21日)
■ベネディクト・カンバーバッチ
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
■アンドリュー・ガーフィールド
『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』
(日本公開日2021年11月12日)
■ウィル・スミス
『ドリームプラン』
(日本公開日2022年2月23日)
■デンゼル・ワシントン
『マクベス』
(日本公開日2021年12⽉31⽇)
主演女優賞
■ジェシカ・チャステイン
『タミー・フェイの瞳』
(日本公開日2022年2月2日)
■オリヴィア・コールマン
『ロスト・ドーター』
(日本公開日2021年12月31日)
■ペネロペ・クルス
『Parallel Mothers』
(日本公開日未定)
■ニコール・キッドマン
『愛すべき夫妻の秘密』
(日本公開日2021年12月21日)
■クリステン・スチュワート
『スペンサー』
(日本公開日2022年秋)
助演男優賞
■キアラン・ハインズ
『ベルファスト』
(日本公開日2022年3月25日)
■トロイ・コッツァー
『コーダ あいのうた』
(日本公開日2022年1月21日)
■ジェシー・プレモンス
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
■J・K・シモンズ
『愛すべき夫妻の秘密』
(日本公開日2021年12月21日)
■コディ・スミット=マクフィー
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
助演女優賞
■ジェシー・バックレイ
『ロスト・ドーター』
(日本公開日2021年12月31日)
■アリアナ・デボーズ
『ウエスト・サイド・ストーリー』
(日本公開日2022年2月11日)
■ジュディ・デンチ
『ベルファスト』
(日本公開日2022年3月25日)
■キルスティン・ダンスト
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
■アーンジャニュー・エリス
『ドリームプラン』
(日本公開日2022年2月23日)
長編アニメ映画賞
■『ミラベルと魔法だらけの家』
(日本公開日 2021年11月26日)
■『Flee』
(日本公開日未定)
■『あの夏のルカ』
(日本公開日2021年6月18日)
■『ミッチェル家とマシンの反乱』
(日本公開日2021年4月30日)
■『ラーヤと龍の王国』
(日本公開日2021年3月5日)
脚色賞
■『コーダ あいのうた』
(日本公開日2022年1月21日)
脚本家:シアン・ヘダー,
■『ドライブ・マイ・カー』
(日本公開日2021年8月20日)
脚本家:濱口竜介と大江崇允
■『DUNE/デューン 砂の惑星』
(日本公開日2021年10月15日)
脚本家:エリック・ロスとジョン・スペイツとドゥニ・ビルヌーブ
■『ロスト・ドーター』
(日本公開日2021年12月31日)
脚本家:マギー・ギレンホール
■『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
脚本家:ジェーン・カンピオン
脚本賞
■『ベルファスト』
(日本公開日2022年3月25日)
脚本家:ケネス・ブラナー
■『ドント・ルック・アップ』
(日本公開日2021年12月10日)
脚本家:アダム・マッケイ
■『ドリームプラン』
(日本公開日2022年2月23日)
脚本家:ザック・ベイリン
■『リコリス・ピザ』
(日本公開日2022年)
脚本家:ポール・トーマス・アンダーソン
■『世界最悪の人物』
(日本公開日未定)
脚本家:エスキル・フォクトとヨアキム・トリアー
歌曲賞
■『ドリームプラン』
曲名「Be Alive」
歌手:ビヨンセとダリウス・スコット
■『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
曲名「No Time to Die」
歌手:ビリー・アイリッシュとフィニアス・オコネル
■『ミラベルと魔法だらけの家』
曲名「Dos Oruguitas」
歌手:セバスチャン・ヤトラ
■『ベルファスト』
曲名「Down to Joy」
歌手:ヴァン・モリソン
■『フォー・グッド・デイズ』
曲名「Somehow You Do」
歌手:ダイアン・ウォーレン
作曲賞
■『ドント・ルック・アップ』
(日本公開日2021年12月10日)
ニコラス・ブリテル
■『DUNE/デューン 砂の惑星』
(日本公開日2021年10月15日)
ハンス・ジマー
■『ミラベルと魔法だらけの家』
(日本公開日 2021年11月26日)
ジャーメイン・フランコ
■『Parallel Mothers』
(日本公開日未定)
アルベルト・イグレシアス
■『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
(日本公開日2021年11月19日)
ジョニー・グリーンウッド
長編ドキュメンタリー映画賞
■『Ascension』
(日本公開日未定)
■『Attica』
(日本公開日未定)
■『Flee』
(日本公開日未定)
■『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
(日本公開日2021年8月27日)
■『Writing With Fire』
(日本公開日未定)
国際長編映画賞
■日本/『ドライブ・マイ・カー』
(日本公開日2021年8月20日)
■デンマーク/『Flee』
(日本公開日未定)
■イタリア/『Hand of God -神の手が触れた日-』
(日本公開日2021年12月15日)
■ブータン/『ブータン 山の教室』
(日本公開日2021年4月3日)
■ノルウェー/『世界最悪の人物』
(日本公開日未定)
Source / ESQUIRE US
※この翻訳は抄訳です。