ウィル・スミスはハリウッドで最も人気のあるスターの1人であり、これまで出演した中で興行的ヒットを記録した作品は何十本にも及びます(彼の出演するアクション映画が嫌いな人はいないでしょう)。しかしながら、これまで主要なアワードで彼は良い結果を残すことはできていません。実のところ彼は、映画賞よりもグラミー賞で(ラッパーとして)成功を収めているのです。

俳優としての彼はここまで、米コメディドラマ「ベルエアのフレッシュ・プリンス」シリーズ(1990年年代)、映画『ALI アリ』(2002年)、映画『幸せのちから』(2007年)、映画『コンカッション』(2016年)でゴールデングローブ賞にノミネートされており、2002年の『ALI アリ』と2007年の『幸せのちから』ではアカデミー賞にもノミネートされています。ですが、いずれも空振りに終わっています。それでも興行成績という数字で、彼の実力と人気は証明されてきました。とは言え、ウィル・スミス自身も銅像を手にする瞬間を待ちわびていたはずです。

そうして迎えた第79回ゴールデングローブ賞…。テニス選手のビーナス & セリーナ・ウィリアムズ姉妹の父でありコーチでもあるリチャード・ウィリアムズ、そんな彼の生き様を描いた最新映画『ドリームプラン』に主演したウィル・スミスは、悲願の主演男優賞(ドラマ部門)初受賞を果たしました。このことは、アカデミー賞のステージへ登るための一歩を着実に歩み始めたことを意味しています。

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ウィル・スミスが『ドリームプラン』の魅力を熱く語る【2022年2月23日公開】
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映画『ドリームプラン』の内容やレビュー

この作品はリチャード・ウィリアムズの回顧録をもとにしたもので、前述のとおりウィル・スミスは、伝説のテニスプレーヤーかつ現在も現役として活躍するビーナス & セリーナ・ウィリアムズの父親を演じています。

この作品で多くの人々が、テニス界ばかりでなく一般的にもその名前を知らない人はいないほどのレジェンド姉妹となり得たのは、父リチャードの存在があってのこと…と再確認できるはずです。

リチャード自身はテニス未経験でしたが、テレビで1978年の全仏オープン女子シングルス優勝者であるバージニア・ルジッチのプレーを観て、2人の娘をスポーツ界の伝説にしようと決心します。独学でつくりあげた計画を「無謀だ」とも非難されながら、練習環境すら整っていないにもかかわらず幾重の苦難を乗り越え、二人の愛娘と共にスポーツ史の歴史を塗り替えることに成功しています。そんな父親の苦悩に対して、今回初めてスポットライトが当てられることになったというわけです。

この映画の日本公開日は、2022年2月23日(水)。米国では2021年11月19日よりすでに公開されており、批評家たちは「『ALI アリ』以来のベストパフォーマンス」や、「生涯最高の演技」とまで称賛しています。また各メディアでも…。

「破天荒な男を演じるスミスがすごい」―『Usa Today』誌
「ウィル・スミスの見事な演技が、スポーツ伝記映画における、この異色作を支えています」―『Time Out』誌

ゴールデングローブ賞の受賞はオスカーへの大きな一歩ですが、ウィル・スミスが今回のオスカーレースで競っているのは『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の主演ベネディクト・カンバーバッチということに変わりはありません。他にも、『Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』でゴールデングローブ賞の主演男優賞(コメディ・ミュージカル部門)を受賞したアンドリュー・ガーフィールドや、『愛すべき夫妻の秘密』のハビエル・バルデム、『リコリス・ピザ』のクーパー・アレクサンダー・ホフマン、『マクベス』のデンゼル・ワシントンの演技も忘れてはいけないでしょう。

20年前、『ALI アリ』でオスカー有力候補だったスミスは、『トレーニング デイ』で主演を務めたデンゼル・ワシントンに敗れています。今またこの2人は、最高傑作で競い合うことになったのです。

今のところウィル・スミスのほうはいち早く、「再びアカデミー賞にノミネートされることは確実」という批評になっています。今後は、彼の幸運を祈るのみです。

Source / ESQUIRE ES
※この翻訳は抄訳です。