先日2023年2月に開催された第76回英国アカデミー賞で、映画『ロケットマン』や映画『キングスマン』で知られるタロン・エガートン(Taron Egerton=最近では、タロン・エジャトンともつづられる)が華やかな壇上に迎えられる中、司会のリチャード・E・グラントとアリソン・ハモンドの2人がタロンを“イギリスの素晴らしいスターの1人”と紹介すると、さらに次のように続けます。

「次は、テトリスの映画の主役を演じるそうです」、と言うのです。

実際に目撃したわけではありませんが、そのときの会場のどよめきが想像できます。皆が「え?」と声をそろえ、落ち着かず、ヒソヒソ声が上がったことでしょう。「テトリスって、あのゲームボーイのテトリス?」「ゲームの実写版リメイクってこと? タロンがストレートに並んだ4つブロックを演じて、悪のジグザグと戦って仲間のTバーとブロックを忘却の彼方から救うとでもいうの?」と…。

しかし、これは英国人ハモンドのアイロニックなジョークでもありませんでした。Googleで検索してみると、『テトリス』の映画は本物で予告編も公開されていたのです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Tetris — Official Trailer | Apple TV+
Tetris — Official Trailer | Apple TV+ thumnail
Watch onWatch on YouTube

一体何が起こっているのか

最近は『ソニック・ザ・ムービー』や『The Last Of Us』など、コンピューターゲームを映画やテレビシリーズにするのが流行っていますが、映画『テトリス』の方向性は異なります。

「Facebook」誕生の裏側を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』のように、テーマになっているのは80年代にロシアで生まれたコンピュータープログラムと、それにまつわる権利争いについてのストーリーです。

予告編では、エガートン演じる実在のビデオゲームデザイナーであり起業家でもある ヘンク・ロジャースが、「5分プレーしただけで今も夢に出てくる。まるで詩ですよ。芸術と数学がシンクロしてる。完璧なゲームだ」と熱く語っています。さらにラフに8ビットバージョン化した1980年代ヒット曲『ファイナル・カウントダウン』と、テトリスのテーマ曲でもあるロシア民謡『コロベイニキ』(日本ではフォークダンスの曲『コロブチカ』として知られています)のマッシュアップ(2つ以上の曲をミックスして1つの曲にするこ)が登場します。

映画『テトリス』の内容

instagramView full post on Instagram

この映画は「テトリス」が閉ざされたソビエト連邦から世界へと飛び出し、世界中で爆発的な人気を博すビデオゲームの1つになるまでの道筋をたどります。そのため、任天堂アメリカ本社の会長(現在は退任)であるハワード・リンカーンは「ゲームボーイの誕生」を発表する瞬間といった、過去の決定的なシーンも描かれることになります。

他にも、テトリスの発明者であるロシア人や、怪しいKGB(ソ連の国家保安委員会)の工作員、さらには共産主義者のスパイにゴルバチョフまで登場。俳優にはトビー・ジョーンズ、ロジャー・アラムも出演しています。そしてもちろん、たくさんの美しいブロックたちも!

公式が発表しているあらすじでは、ジョン・S・ベアード監督の本作は「ある男が命がけでKGBを出し抜き、テトリスを世界的な大流行にした実話に基づく物語」と説明されていますが、それ以上の作品になることは間違いありません。映画化されるという点を除いて、この映画『テトリス』について最も驚くべきことは「予告を見る限りかなり面白そうだ」ということです。

映画の公開日

実は、公開はもうすぐそこに迫っています。映画『テトリス』は3月31日(金)に、Apple TV+で配信が開始される予定です。あの容赦なく落ちてくるブロックが、皆さんの夢にも侵入してくることでしょう。

Apple TV+

Source / ESQUIRE UK
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です