『エスクァイア』US版のクリエイティブ・ディレクターであるニック・サリバンが、お届けするコラム「Dialed In」へようこそ! 時計業界で起きているさまざまな出来事や最重要ニュースをお届けしています。

ブライトリング(Breitling)と言えばその歴史を通じ、航空業界との深い結びつきで知られるスイスの名門メゾンですが、1960年代以降その勢力は地上にも及ぶようになりました。

「加速し続ける現代社会に生まれた新世代を魅了するには、それまでの複雑機構(コンプリケーション)の時計ばかりでは不十分だ」と、創業者の孫であるウィリー・ブライトリング氏(Willy Breitling)は考えたのです。

1964年に発表された「トップタイム」からは、かつての重厚感のあるディテールがすべて取り払われました。それはオートバイやスポーツカーに魅了される次世代の若者たちの胸を打つ大胆かつグラフィカルな、いわばクロノグラフの新たな形の誕生でした。初期のモデルのRef. 2002は2サブダイヤルで、1965年公開の映画『007 サンダーボール作戦』においてジェームズ・ボンドが劇中で装着し、注目を浴びたモデルでもあります。

1960年代のクラシックスポーツカーへのオマージュ
「トップタイム クラシック カーズ コレクション」

そして(腕時計の)時間は進みます…。2021年に成功を収めた「トップタイム」のコレクションは再び米国の自動車メーカー「フォード(Ford)」と提携し、「フォード マスタング」「シボレー コルベット」「シェルビー コブラ」といった1950~60年代のクラシックなロードカーにインスピレーションを求めたデザインとなり、「トップタイム」が復活しました。それぞれの車種に合わせたディテールや色調のサンレイダイヤルを採用した、隅々にまでこだわり抜いたデザインとなっています。

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そして今回、私(筆者サリバン)が注目したのが…、この「トップタイム クラシック カーズ コレクション」に新たに「フォード サンダーバード」をオマージュし、追加された『トップタイム B01 フォード サンダーバード』です。

トップタイム b01 フォード サンダーバード公式サイトで見る
Breitling
『トップタイム B01 フォード サンダーバード』99万円

グリーンの「フォード マスタング」、レッドの「シボレー コルベット」、ブルーの「シェルビー コブラ」は鮮やかな文字盤(ダイアル)が印象的なデザインでしたが、この「フォード サンダーバード」の直径41.0mmのスティール製ケースに収められているのは抑制の利いたホワイトのダイアルです。

そのうえに、ホワイトのバトン型のアワーマーカー(=文字盤に設置された「時」を示すための数字や記号類の呼称。インデックスとも呼ばれる)が重ねられた絶妙なデザインに仕上げられました。

他のモデルは文字盤とのコントラストが強いサブダイヤルとなっているのに対し、「フォード サンダーバード」のサブダイアルはホワイト・オン・ホワイトという組み合わせです。ブライトリングが「スクワール」と呼ぶ四角形でも円形でもない形状のサブダイヤルからは、インスピレーションの元となった「フォード サンダーバード」の当時を彷彿とさせる、ミッドセンチュリーの香りを漂わせています。

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パンチングレザー(=革に円形や三角形などの細かい連続した穴を施した、デザイン性に優れたレザーの呼称)のレーシングストラップを組み合わせてなお、全体的に他のモデルより抑制されたデザインと言えるでしょう。ちなみにストラップの代わりに、スティール製メッシュブレスレットのオプションも選択可能です。

タキメーター(=時速や平均速度を算出するのに用いられる、クロノグラフとベゼルに刻まれた数字の目盛)の外周、そして秒針にあしらわれた赤が、鮮やかなコントラストを演出しています。ただしサブダイヤルの針には、レッド、オレンジ、ライトブルーの3色が用いられており、これもまた目を惹くディテールとなっています。

他のモデルと同様、「フォード サンダーバード」にも定評ある「B01」自動巻きクロノグラフムーブメントが搭載されています。パワーリザーブは通常駆動で約70時間と驚異的な性能です。

内燃機関(エンジン)に対して人類の飽くなき情熱とタイムピースとの間には、まだまだ掘り起こすべき豊かな鉱脈が眠っていることを、ブライトリングはよく理解しています。クラシックな名車にインスパイアされて生まれた「トップタイム」ですが、その魅力を理解するのに、なにもカーマニアである必要はないでしょう。とは言え、カーマニアを自認する人々にとっては、また格別の意味を持つ時計であることは疑いようのない事実です。

●お問い合わせ先
ブライトリング・ジャパン
TEL 0120-105-707
公式サイト

Source / Esquire US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Hikaru Sato