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エスクァイアUS版エディターが選ぶ、「A24」おすすめ映画15選

新進気鋭の製作・配給スタジオ「A24」が昨年、10周年を迎えました。最近では同社が製作したドラマ『BEEF/ビーフ ~逆上~』がエミー賞、ゴールデン・グローブ賞2024の主要部門を席巻したことが話題です。今回の受賞を祝して、改めて観直したい同スタジオから公開されたおすすめの15作品をご紹介します。

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preview for Everything Everywhere All At Once trailer (A24)

ニューヨークを拠点に、映画やテレビ番組の製作および出資から配給なども行っているインディペンデント系エンターテインメント企業(ハリウッドのメジャースタジオ5社の傘下に属していない独立資本やアートハウス系のスタジオなど)、「A24(エートゥエンティフォー)」を皆さんは既にご存かと思います。試しにGoogle検索してみてください。その結果表示からは、A24がいかに成功しているかがうかがえるものばかりが浮上することが確認できるでしょう。

A24は2012年にダニエル・カッツ、デイビッド・フェンケル、ジョン・ホッジスによって設立され、優れた映画が取り扱われる製作・配給スタジオとして、いまや世界的に知られています。

A24の成功の鍵はなんなのでしょうか? 映画プロジェクト自体なのか? それとも撮影方法なのか? 素晴らしく才能ある監督や俳優をキャスティングしているからなのか?…。A24は単に素晴らしいストーリーを語る方法を知っているといるだけのことなのかもしれません。いずれにしても、あなたが観ようとしている映画がA24によって配給されたことを知れば、その映画が良いものであることは間違いはなさそうです。

これにピンとこない人でも、2017年のオスカー3部門を獲得した『ムーンライト』や骨の髄まで震えるホラー映画『ヘレディタリー/継承』、豪華出演陣が集結した『アンカット・ダイヤモンド』などは知っていますよね? この中にきっとあなたの好きな作品もあったのではないでしょうか。

そこで以下、エスクァイアUS版エディター5名が各々好きなA24製作映画を紹介します。

15

『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』

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『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』3月8日(水)デジタル配信開始
『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』3月8日(水)デジタル配信開始 thumnail
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もし1974年に製作された映画、『そして誰もいなくなった』が2022年を舞台にしたらどうなるでしょう? その答えは『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』を観ればわかるでしょう。

このコメディ・スリラー映画は、お金持ちな20代のグループが遠く離れた屋敷で過ごす一夜を描いています。グループの一人が死体で見つかると、屋敷内で犯人探しが始まり緊張感が高まり、やがてお互いを敵視するように…。ちなみに、ピート・デヴィッドソンも出演している点にも注目です。—B.M.

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14

『X エックス』

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『X エックス』予告編<U-NEXTで好評配信中>
『X エックス』予告編<U-NEXTで好評配信中> thumnail
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タイ・ウェスト監督による1970年代の実験的映画へのオマージュは、忘れることのできない大胆且つ印象的なホラー映画になっています。ある3組のカップルがテキサスにある田舎の農場に向かい、老夫婦から借りたキャビンでこっそりとポルノ作品を撮影するのですが、そこで殺人事件が起きるのです。

『X エックス』は低俗な人間模様、セックス、そしてホラー映画ですので、大量の血が出るシーンを含んでいます。同作は型にはまりがちなスラッシャー映画のジャンルに違ったアプローチを示し、ホラー映画の未来に新たな希望をもたらしました。—S.H.

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13

『Pearl パール』

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7月7日(金)公開 『Pearl パール』予告編
7月7日(金)公開 『Pearl パール』予告編 thumnail
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『Pearl パール』は、『X エックス』の秘密の前日譚(ぜんじつたん=ある物語よりも前に起きていた出来事)として、一作目が終わった後にすぐに撮影されました。その血なまぐさい原作から一線を画した映画です。

ハリウッド映画の黄金時代にオマージュを捧げた同作は、小さな町では抱えきれないほどの個性を持ち、抑えきれないほど野心家である少女・パールの原点の物語です。

『X エックス』で出てくる狂気じみた老婦人の若かりし頃をミア・ゴスが演じ、孤独で手に負えない彼女に共感を呼ぶような情熱的な演技を披露しています。

三部作からなるこの映画シリーズの次回作「MaXXXine(原題)」は今年公開予定で、『X エックス』後のマキシーンの冒険を描いているそうです。—S.H.

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12

『グリーンルーム』(2017年)

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パンクスVSネオナチの極限バトル!映画『グリーンルーム』2017年2月11日(土)決死のロードショー
パンクスVSネオナチの極限バトル!映画『グリーンルーム』2017年2月11日(土)決死のロードショー thumnail
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『グリーンルーム』は、故アントン・イェルチンの最高の演技が確認できる、窮屈なパンク系ライブハウスの楽屋を舞台にした過激で暴力的なホラー映画です。

映画内でアントン・イェルチンと彼のバンド仲間は、ネオナチが集うパンク系ライブハウスで演奏することになり、殺人の現場を目撃してしまったことによって恐怖の血みどろな対立に巻き込まれます。

さらにパトリック・スチュワートは、いつもの冷静で親切な姿とは正反対の冷酷で無慈悲な悪役を演じており、後々に夢に出てきそうな怖さがあります。—S.H.

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11

『Obvious Child(原題)』(2014年)※日本公開未定

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'Obvious Child' Trailer
'Obvious Child' Trailer thumnail
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ジェニー・スレイト主演のロマンティック・コメディは、よくある偶然の出会いに独自のアプローチを加えています。

ジェニー・スレイト演じる主役のドンナは、一夜の関係を持った数週間後に妊娠が判明。彼女は中絶を考える一方で、元カレを未だに追いかけます。ですが、彼女の状況を知らない新しい男性に恋をする可能性も... 。

状況は複雑になっていきますが、『Obvious Child(原題)』はシリアスになりすぎない工夫もしています。この映画は、中絶というトピックを現実的でありながら、優しく思いやりがある形で斬り出しました。—S.H.

10

『グリーン・ナイト』(2022年)

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絶賛公開中『グリーン・ナイト』30秒動画
絶賛公開中『グリーン・ナイト』30秒動画 thumnail
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魅惑的で超現実的な映画『グリーン・ナイト』は、アーサー王伝説『ガウェイン卿と緑の騎士』へ敬意を持ちながら、ひも解いていった作品です。

この古典的な騎士道ロマンスは、アーサー王の円卓に集った騎士の一人、無謀なガウェイン卿(デーヴ・パテール)が緑の騎士( ラルフ・アイネソン)からの挑戦を受ける様子が描かれます。

緑の騎士を倒した者には銀の斧を与えるが、その者は一年後に緑の騎士から同じ傷を受けるべしというルールが…ガウェイン卿が緑の騎士の首を斬り落としたとき、彼の運命が動き出します。

ガウェイン卿は挑戦者に立ち向かうための冒険をしていく過程で、幽霊や巨人、泥棒、キツネなどと出会う…そんな夢幻的なこの映画は、中世の詩のようにストーリーが展開されていきます。

魅力的で矛盾に満ちたと言える『グリーン・ナイト』は、マスキュリニティ、死生観、名誉の真の意味を表現した忘れ難き叙事詩です。—A.W.

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9

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』(2018年)

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【私はSNSで輝くの!】『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』9/20公開!
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ボー・バーナム監督デビュー作『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』は、驚くべきことを成し遂げました。

スマホ時代に生きる若者の喜びと苦しみを見事に伝えながら、若い頃を経験した人なら(もちろん、誰もが)すぐに親近感を持てる作品になっています。—B.L.

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8

『ライトハウス』(2019年)

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【予告公開!】『ライトハウス』狂っているのは一体誰だ?【A24が贈る傑作スリラー】
【予告公開!】『ライトハウス』狂っているのは一体誰だ?【A24が贈る傑作スリラー】 thumnail
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静かでほんの少しの恐ろしさがある映画『ライトハウス』。同作のロバート・エガース監督は、「ユング(スイスの心理学者)とフロイトの両者がポップコーンを食べながら観ている映画」と表現しました。

1890年代のニューイングランドを舞台に、ベテラン灯台守(ウィレム・デフォー)が新人研修生(ロバート・パティンソン)と共に、嵐によって島に閉じ込められてしまい、思い通りに行動できなくなります。

『ライトハウス』は閉所恐怖症の人が怯えてしまうような狭い場所をモノクロで撮影。緊迫する不幸な状況が徐々に二人の灯台守を暴力的でエディプス(男性の無意識的葛藤)なパニックを起こしていくのです。—J.R.

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7

『レディ・バード』(2017年)

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映画『レディ・バード』予告
映画『レディ・バード』予告 thumnail
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グレタ・ガーウィグ監督『レディ・バード』は、思春期のぎこちなさを完璧に捉えた青春映画。ですが、あなたが思っているような手法ではありません。

グレタ・ガーウィグ監督は思春期に焦点を当てるのではなく、子どもではないけれどまだ大人でもない点を強調し、映画に緊張感を与えています。加えて、笑いあり涙ありの展開で、高校生活最後のクリスティン(シアーシャ・ローナン)が母親(ローリー・メトカーフ)と一つ屋根の下で生活する中での葛藤を描いています。—B.M.

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6

『エクス・マキナ』(2014年)

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映画『エクス・マキナ』予告編
映画『エクス・マキナ』予告編 thumnail
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結局のところ、IT業界系の男たちが頭がおかしくなってしまうストーリーはいつ観ても面白いですね! 

そして、オスカー・アイザックが素晴らしいです。—B.L.

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5

『ミナリ』(2021年)

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【公式】『ミナリ』3.19(金)公開/本予告
【公式】『ミナリ』3.19(金)公開/本予告 thumnail
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痩せた土地でも育つ韓国原産のセリにちなんで名づけられた映画『ミナリ』は、80年代にアーカンソーで農場を営むことになった韓国系移民の家族の姿を描いています。

子どもたちはアメリカ文化に同化し、文化衝突を経験する一方で、新人の農夫ジェイコブ・イ(スティーヴン・ユァン)も家族のために仕事に奮闘します。

そして第93回アカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンは、最年長の女性家長として素晴らしい演技を披露しています。—J.R.

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4

『アンカット・ダイヤモンド』(2019年)

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『アンカット・ダイヤモンド』予告編 - Netflix
『アンカット・ダイヤモンド』予告編 - Netflix thumnail
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監督を務めたサフディ兄弟(ジョシュア・サフディとベンジャミン・サフディ)による『アンカット・ダイヤモンド』は、最も罪悪感にさいなまれたユダヤ人の視点から人生の意味を探求した映作品として、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の『シリアスマン』以降で初めて正確に描かれた映画じゃないでしょうか。

アダム・サンドラー演じるハワード・ラトナーは、未払いの借金を取り戻そうとする単なるギャンブル中毒者ではありません。彼はただ一度だけでも勝ちたい、しかも、大きな勝利を収めたいだけなのです。—J.R.

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3

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2023年)

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映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』本予告【3月3日(金)公開】
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』本予告【3月3日(金)公開】 thumnail
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以前、こう言いました。

「宣言します。もし2023年アカデミー賞で『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が大成功しなかった場合、私はここに戻ってきて、ミシェル・ヨーがいかに素晴らしいかを5000字ほどで書きます」と…。

「そうさせないでくださいよ、アカデミー賞会員の皆さん!」と、この文を締めくくったわけですが、その後のアカデミー賞では作品賞や監督賞をはじめ、最多7部門を獲得したので、その必要はなくなりました。—B.L.

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2

『ヘレディタリー/継承』(2018年)

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【超恐怖】これが現代ホラーの頂点 11.30公開『ヘレディタリー/継承』90秒本予告
【超恐怖】これが現代ホラーの頂点 11.30公開『ヘレディタリー/継承』90秒本予告 thumnail
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皆さん、アリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』について、その驚くほど深い台詞の伏線回収と脳裏に焼きつくイメージ、そしてトニ・コレットのホラー演技について、語り尽くせますよね?

結論、『ヘレディタリー/継承』は、私たち多くの人々を最も怖がらせた映画なのです。以上。—B.L.

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1

『ムーンライト』(2016年)

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アカデミー賞作品賞受賞『ムーンライト』予告編
アカデミー賞作品賞受賞『ムーンライト』予告編 thumnail
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繊細で息を呑むほどの美しい映画『ムーンライト』では、まだ若い黒人男性シャロンが、親友に恋をして自分のアイデンティティを受け入れることに苦しむ姿が描かれています。

物語は3つの時代にわたり、幼少期、10代、大人になるまでを経て、シャロンはクィアであることの意味と向き合います。

バリー・ジェンキンスが監督を務めた映画『ムーンライト』は2017年アカデミー作品賞を受賞し、今日でも映画業界の偉業として、そしてA24による映画作品の中でも優れた作品の一つとして愛されています。—vv

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Translation / Miki Chino
Edit / Minako Shitara(Esquire)
※この翻訳は抄訳です

From: Esquire US

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