夏にはブランドがつきものです。「Summer of Love」、「Summer of Sleaze」、「Hot Girl Summer」など…。「〇〇の夏」と、テーマをつけることで自分が何をしようとしているのかを知り、自分の考えや服装をまとめて明確にすることができるからかもしれません。トム・ハンクスの息子デアルチェット・ハンクスは、「今年の夏は『ホワイト・ボーイ・サマー』になる」というひとつの選択肢を提示していましたが、彼が期待したようには流行ることはなさそうです。

 しかし、私たちがいつもテーマを選べるわけではありません。テーマが私たちを選ぶこともあるのです。つい数日前までは予測できませんでしたが、5月21日(金)より2021年の夏は、「『BUTTER』の夏」となることがわかりました。

 ご覧ください。

BTS 『Butter』

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BTS (방탄소년단) 'Butter' Official MV
BTS (방탄소년단) 'Butter' Official MV thumnail
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 この曲には抗(あらが)いがたい魅力があります。

 「Esquire」US版 2020年冬号の巻頭特集に登場したアイドルグループBTSが、あなたの夏のために贈ります。あなたが誰であろうと、ポップミュージック全般についてどう感じていようと、特にBTSについてどう考えていようと、あなたは彼らに抗えないことになるでしょう…きっと。

 2020年、初の英語シングル「Dynamite」が大ヒットした後、BTSはゆったりとした「Life Goes On」でアメリカ・ビルボードのメインシングルチャート「HOT100」で1位を獲得しましたが、グラミー賞を獲得することはできませんでした。そのため2021年には、熱い期待が寄せられています。

 どちらにしても、彼らが私たちの夏を支配することは間違いないかもしれません。「Butter」は、2020年の3月から延期されていた「夏休み」の喜びをそこに投影させています。この楽曲が、プールパーティで流れ、クラブやフェスなど混雑した環境で踊られることで、ポップミュージックのかける魔法に対する人々の信頼を回復させることでしょう。

 「(新型コロナ)ウイルスが想像以上に長引いているので、もう一つの夏の曲が必要だと思ったんです」と、メンバーの1人のRMはApple Musicに語っています。「新曲『Butter』はそれにぴったりで、今ここにご用意しました」と、続けて話しています。そして今、多くの人々を夢中にしています。

 2021年5月21日(金)にリリースされたミュージックビデオは、ダンスとファッションの超大作であり、BTS Armyへの直接的なラブレターであり、スキンケアの力を証明するものでもあります(彼らの透き通るような肌を観てみてください)。

 公開からわずか12時間で、7500万回以上再生されただけでなく、わずか3日後の24日(月)には、2021年ビルボード・ミュージック・アワードにて「トップデュオ/グループ(Top Duo/Group)」「トップソングセールスアーティスト(Top Song Sales Artist)」「トップソーシャルアーティスト(Top Social Artist)」「トップセリングソング(Top Selling Song)」の4部門を受賞しています。もはやこの瞬発力のスゴさは、BTSの得意技となっていますね。

Counting Crows(カウンティング・クロウズ)の『Butter Miracle, Suite One』

 BTSの新曲「Butter」が騒がれることになる前日、同年5月20日(木)には、グラミー賞やアカデミー賞にノミネートされたロック・バンド、カウンティング・クロウズが約7年ぶりとなるアルバム『Butter Miracle, Suite One』をリリースするという喜ばしいニュースもありました。

 彼らはアメリカ文化の中でも、特にユニークな立ち位置にいるバンドです。このバンドに対する私の気持ちは…いえ、アダム・デュリッツに対する私の気持ちは、複雑で、それを解決しようと試みてきましたが、この4曲入りのEPに対する私の反応はとてもシンプル…私は彼らに賛同します。彼らはここで何か新しいことをしているわけではありませんが、彼らが自分たちの仕事をしていることをうれしく思います。

 『Butter Miracle』はプールパーティの後、観客が身内だけになってしまったときのための曲と言えます。ひと握りの友人たちと焚き火を囲んでいるときに聴くもので、この曲が流れると共に彼らとは突然人生の絆が生まれるのです…。

 馴染みやすく、生活感のある曲です。シングルの「Elevator Boots」は、1995年に片思いしていた人がミックステープに入れていたような曲です。この曲は確かにひと世代上の、いわゆる「パパ・ロック」のようですが、パパたちには大変な年だったんです。当時のアメリカは好景気だったので、それだけにビジネスでも私生活でも、ライバルが多かったのです。なので、そんなパパ世代をロックに浸らせてあげてください。

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Counting Crows - Elevator Boots (Official Lyric Video)
Counting Crows - Elevator Boots (Official Lyric Video) thumnail
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バルミューダ・ザ・トースターとバター

 2020年の夏に私は、パートナーととても重要な買い物をしたのですが、まだハネムーンが終わっていません。それはバルミューダです。その名も「BALMUDA:THE TOASTER」。人生を変えるほどの完璧なオーブントースターで、正直、私にはもったいないと思うこともあります。小さな容器に水を入れ、上部の溝に注ぐと、トーストする前にパンが蒸し焼きになるのです。その結果、外はカリッと、中はトロリとした、食感と温度が絶妙にマッチした完璧なトーストができ上がるのです。そして、そのプロセス自体にも満足感があります。トースターに蒸気が充満し、トーストの段階で発熱体が光る様子を見ることができるのです。

 先日、友人を誘ってその様子を一緒に見たのですが、彼は釘づけになっていました。「トーストにはストーリー性がある」と言っていましたが、これは正にその通りです。この彼の発言によってまた、私が"狂っていない"ことを意味してくれたので安心しました。

BALMUDA(バルミューダ) トースター スチーム ブラック

トースター スチーム ブラック

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 しかしながら、そんな完成度の高いトーストに、冷たいバターを塗るという行為は、正直言って気持ち悪いものです。そこで最近、もうひとつ重要な買い物をしました。バターディッシュです。今ではバルミューダのすぐそばに、バターを置いています。そうすることで、常温のバターを常に手に入れることができ、簡単に塗ることができるようになりました。ぜひあなたも、これを実践してみてください。

 この3つ目のバターの話は少々個人的でした(笑)。ですが、もう少し私の「BUTTERの夏」話を聞いてください。

Butter 08の『Butter of ‘69』

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[MUSIC VIDEO] BUTTER 08 "BUTTER OF 69"
[MUSIC VIDEO] BUTTER 08 "BUTTER OF 69" thumnail
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 1996年の夏(ツイスターの夏!)に忘れられていた名曲を、この機会に紹介したいと思います。

 Butter 08は、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンのドラマー、カボ・マットの女性2人、マイク・ミルズ(R.E.M.のベーシストではなく、後にミランダ・ジュライと結婚し、『人生はビギナーズ』や『20センチュリー・ウーマン』の脚本・監督を務めた方)を中心としたインディー・ウィアードのスーパーグループでした。彼らはビースティ・ボーイズらが経営したインディ・レーベル「グランド・ロイヤル」で、1枚のアルバムを制作しただけの短命なバンドでした。ですがButter 08のように、最初の挑戦からうまくいくバンドもあるのです。このシングルは、8月の蒸し暑い午後の街の音にも似て、私を良い気分にさせてくれます。そして、この曲が一体何を歌っているのか分からなくても気にしたこともありません。

 この「Butter of '69 」は、ヒットすべき楽曲であったと思います。現在、音楽業界は実に混沌としています。そんな中、もしかしたら時代を越えて再びヒットチャートを賑わしてくれるかもしれません。この楽曲を聴き、そして友だちに共有してください。それこそが、2021年の夏を「バターの夏」にするためのあなたがすべき行動なのです。

Source / ESQUIRE US
※この翻訳は抄訳です。