『エスクァイア』の編集主幹であるデイブ・ホルムズは2020年10月、BTSのメンバーへの2回の長編インタビューを行いました。このときのやり取りは2020年の『エスクァイア』US版の2020年冬号の特集記事となり、今や世界最大の音楽グループとなった彼らのリアルな一面をうかがい知ることができる内容となっています。今回はこのインタビューの中から、3つのやり取りを編集なしでお届けします。



『エスクァイア』US版編集部(以下、エスクァイア):いま左に座っているメンバーの好きなところを順に教えてください。

ジョングク(ジンに対して):ジンの根気強さが好きです。また、物事を深く考えながらも肩肘張らずカジュアルなところも…。彼は兄のようにも弟のようにも感じられるんです。考え方の柔軟さも大好きです。

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ジン(RMに対して):RMは、あらゆる才能を持っています。完璧に見えるんです。でも、よく観察してみると、欠点も見えてきます。そこが大好きなんです。

RM:よく見なくても欠点はあるけどね…。

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RM(SUGAに対して):僕たちには、たくさんの共通点があります。BTSでは僕が最初の練習生で、SUGAが2番目でした。なので、互いにとても長い時間を一緒に過ごしてきました、もう10年近くになります。昔から2人ともビルボードの音楽チャートを常にチェックし、聴きまくりながら成長してきたって感じです。(ラッパーの)T.I.や90年代の音楽をよく一緒になって聴いていましたね。なので、僕にとってのアイドルは彼にとってもアイドルというわけです。性格や趣味は違いますが、彼のことは地元の親友のように感じています。昔からの友達・同居人であり、一緒にいるだけで心地いい存在です。

V:う~ん、感動的な関係だね。

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SUGA(J-HOPEに対して):J-HOPEの大好きなところは、そのポジティブさです。ネガティブな彼を見たことがありません。もしかすると、練習生のときにはあったかもしれませんが…J-HOPEという名前で活動するようになってからは、ネガティブな面を見せたことはありませんね。そんな高い自尊心を持つことは、とても重要だと思います。なので彼から僕は、多くのことを学んでいます。

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Courtesy of HONG JANG HYUN

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J-HOPE(ジミンに対して):ジョングクはジンについて、「兄のようにも弟のようにも感じる」と話していましたが、僕にとってのジミンもこれと同様です。ジミンは僕より年下ですが、兄のように思えるところがあって、彼からたくさんのことを学んでいます。一方で弟のような魅力もホントあって、可愛くて楽しい存在なんです。あと、メンバーの誰もがパフォーマンスが大好きなわけですが、その中でもジミンは特別。ステージに立つことへの情熱にあふれていて、常に真剣に向き合っているんです。そんな彼から、「パフォーマンスが大好きだ」っていうことがジンジン伝わってきて、そんな意味でもジミンから学ぶことはたくさんあると言えます。多くのことを成し遂げることができた現在も常にベストを尽くし、常に新しい何かを生み出そうとしていますから…。もう、称賛せずにはいられません。

ジミン:たくさん褒めてくれてありがとう!

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ジミン(Vに対して):Vはハンサム、それだけです。

SUGA:これは、最高の褒め言葉だね。

ジミン:冗談です(笑)。ジンはRMについて、「よく見ると欠点が見えてくる」と言いましたが、Vについてはよく見る必要なんていりません。それが彼の特別な魅力なんです。愛さずにはいられないような無邪気さがあって…。なので、多くの人に愛されています。そんな特徴があるからこそ、僕たちは仲良くなれたんだと思います。

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V(ジョングクに対して):ジョングクよりロングヘアが似合う人は、見たことがありません。それに彼の性格も大好きです…と冗談はさておき、ジョングクは僕の知る限り、最も粘り強い人の一人ですね。そして、無限と言っていいほどの才能を持っているので、何をやっても人並み以上にこなしてしまうんです。その上、僕が心配になるほどパフォーマンスに全力を注ぐ人でもあるんです。全身全霊をかけてステージに臨んでいる姿を、いつも近くで見ていますから…。



ファンたちがいるからこそ
自分たちが存在するという
事実に改めて気づかされた
ージミン

エスクァイア:10月10日と11日の2日間開催したオンラインコンサート『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』の成功、おめでとうございます。素晴らしいコンサートでしたね。

BTS:ありがとうございます。

エスクァイア:コンサートが終わったときは、どんなふうに感じましたか?

ジミン:このコンサートで僕たちは、自分たちが持つべき本当の存在意義を見出し、そして、それを具(つぶさ)にステージ(オンライン)上に描き出さなければ…そう考えて臨みました。(このコンサートの準備に取り掛かってから)僕たちは、休む必要があってもほとんど休みを取っていませんでした。そうしてコンサートの日を迎えます。その期間中も僕たちはそれぞれ、何のためにこれほどのハードワークをこなし、最高のパフォーマンスを届けることに執着するのか? そして、自分たちにとってそれが何を意味するのかをずっと自問していました…。そんなわけで、今回のコンサートから僕たちが得た最大の成果は、これらいくつかの疑問への答えにたどりつくことができたということです。自分たちがなぜ、そして誰のために、この活動をしているのかが少しずつ理解できてきたことです。

エスクァイア:どんな答えが得られたのですか?

ジミン:ある程度は、自分たち自身のためでもありました。ですが、ファンたちの存在があってこそ自分たちが存在するという、大切で重要な事実に改めて気づくことができました。そんな僕たちは1年近く、観客の皆さんの前でパフォーマンスをすることの喜びを忘れていました。なので、そんな鈍感だった僕たちを戒めてもくれました。「もう、そんなBTSは終わりにしよう」と…。ファンの皆さんとしっかり対面する機会を設け、直接パフォーマンスをお届けるのがBTSなんだということに、改めて気づくことのできた絶好の機会となりました。

エスクァイア:目の前に観客がいない状態でのパフォーマンスは、どうでしたか? 全力を尽くせましたか?

RM:今や2020年ですので、見たこともないような最新テクノロジーがあって、数千台のカメラとつないでスクリーン上でファンたちと対面することもできました。そして、その歓声を聞くこともできました。実際の観客を前にするパフォーマンスとは比較できませんが、本物のライブとかなり近いものができました。特に問題はありませんでしたが、「将来は、これが普通のコンサートになるのではないか?」、「これからもずっと、このカタチでやっていくべきなのだろうか?」といった不安は感じました…が。とは言え、テクノロジーのおかげで基本的に問題なく幕を閉じることができました。

エスクァイア:セットリスト(演奏する曲の一覧を順番に記した文書)は、どのように決めたのですか? 決めたのは誰ですか?

SUGA:これは僕たちが、もともとコンサートツアー「MAP OF THE SOUL TOUR」のためにつくったセットリストでした。今回のオンラインコンサートのために、僕たちはステージ・ディレクターと一緒に自分たちに何ができるかを話し合い、現在の状況にふさわしいセットリストをつくろうと試みました。特定の曲をどこかに入れたいと思ったときは、ステージ・ディレクターに強くアピールしてセットリストの変更を行いました。特に、このコンサートのステージ演出については、自分たちのアイデアを随所に盛り込みました。なので、残念ながらライブとして観客の皆さんの前でパフォーマンスを披露できなかったことはとても残念でしたが、素晴らしいコンサートになったとメンバー全員で自負しています。そして、こんな状況下でバーチャルながらもベストパフォーマンスが披露できたことをとても感謝しています。それは、多くのファンの皆さんに対してであり、また、このプロジェクトを影で支えてくれたスタッフの皆さんに対しても同じ気持ちを抱いています。

エスクァイア:世界中でどれだけの人が、このコンサートを観たかご存知ですよね。その数字を聞いて緊張しましたか? または自信を感じましたか?

V:視聴者数(約99万3000人)を知ったのは、コンサートが終わった後のことでした。パフォーマンスをしていたときは、ARMY(BTSファンの名称)が観てくれていることを考えながら、自分たちのベストを尽くすことに集中していたと思います。

J-HOPE:僕の場合、スタジアムでのパフォーマンスのほうが緊張しませんね。今回はコンサートの模様が生放送されていることということで、少し落ち着かない気持ちでした…。

ジン:J-HOPEは、スタジアムでパフォーマンスをするために生まれてきたからね。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
[BANGTAN BOMB] 'Dynamite' Stage CAM (BTS focus) @ BBMAs 2020 - BTS (방탄소년단)
[BANGTAN BOMB] 'Dynamite' Stage CAM (BTS focus) @ BBMAs 2020 - BTS (방탄소년단) thumnail
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自分自身を持っている人、特に
過去にとらわれない人はクール
ーSUGA

エスクァイア:「クール」という言葉を、どのように定義しますか?

V:僕にとって撮影やパフォーマンスを行うときは、自分が満足すれば周りの人たちも満足してくれる傾向にあるんです。なので自分が満足すれば、かっこいいものができると思っています。

ジミン:あまり深く考えたことはありませんが、何を着ていて何を言おうと、その考えがうまくまとまっていて、表現するものに自信がある人たちはクールだと思います。それは「強情」という意味ではありません。自分自身の考えを大切にしているという意味で、そんな人は自然とクールに見えてくるんです。それがクールということだと思っています。

J-HOPE:物事の捉え方や感じ方は、人によって全く違います。自分のものとは異なる意見や感情をぶつけられたとき、反発するのではなく受け入れることできるということ…。僕はそれがクールだと思いますね。でも正直言って、この質問に正解はありませんからね。

SUGA:自分自身の人生観を持っている人、特に過去にとらわれない人はクールです。過去のことを気に留めていない人は、見ていてカッコよく思えます。

RM:これは、本当に興味深い質問ですね。私自身もこれまで、クールとは何かについて真剣に考え、自問してきました。世の中には、2種類のクールがあると思っています。1つ目は直感的・感覚的なものです。例えばアウトサイダーとして登場した誰かが、他人を傷つけるという意図ではなく「なぜ、こんなこともできないのか?」という態度でいるとき、クールな人だと思います。2つ目は、全く異なる方向性のクールと言っていいでしょう。樹齢数千年の巨木の中から感じられる、波動とでも言うべきでしょうか…。建築家であろうとアーティストであろうと、そんな波動が内側から感じられる人を見ると、「本当にクールだ」と感じます。

ジン:クールであることは、寛大であることだと思います。勝てるとしても負ける。あるいは互角に戦えると思っても負ける…。それこそがクールではないでしょうか。

SUGA:それはクールとは正反対じゃないかな…。

ジョングク:メンバーそれぞれが話したように、クールの基準は人によって全く違います。自分は自分で人は人、だからこそ互いを尊重し、理解する方法を知ることこそがクールだと、僕は思います。

V:僕が最初に答えたので、あまりいい答えができなかったかもしれませんね。自分の周りの人を世話できる人はクールだと思いますが、僕はたぶん違いますね。

エスクァイア:最後に聞かせてください。BTSはクールですか?

BTS:もちろん、僕たちはクールです。皆さんご存知の通りです。

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Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。

From: Esquire US