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ETRO
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「エトロ」は、新クリエイティブ・ディレクターとなったマルコ・デ・ヴィンチェンツォ氏によるクリエイティブビジョン「ETROPìA (エトロピア)」 の最終章を飾る「WONDERLAND OF ETROPÌA(ワンダーランド・オブ・エトロピア)」のグローバルローンチとして、2023年2月15日(水)に「ETROPìA(エトロピア)」ポップアップストアの世界第一号店を東京・伊勢丹新宿店 本館1Fザ・ステージにオープンさせました。

2023春夏ウィメンズコレクションのアイコンは、「創世記」に登場するアダムとイヴを失楽園させた禁断の果実“リンゴ”。これは創業者ジンモ・エトロが魅せられ、後にブランドのシグネチャーとなったインドのカシミール紋様(※)に描かれる生命の樹のモチーフ、ナツメヤシともイメージが重なります。

そんな愛と誘惑の果実にあふれたこのポップアップストアは、「エトロピア」の世界を具現化したものであり、日本からアジア、ヨーロッパさらにアメリカへと拡張。同年7月までに世界10以上の都市がエトロの世界観で彩られます。そこで、このポップアップのオープニングに合わせて初来日したデ・ヴィンチェンツォ氏にインタビュー。自身が考える新生「エトロ」について、直接うかがうことができました。 
 
※「ペイズリー」の起源であり、カシミール模様にモチーフとして組み込まれているのがナツメヤシ。ナツメヤシはイスラム教では神が人間に与えた果実とされ、キリスト教の旧約聖書ではリンゴに置き換えられている。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Etro Fall Winter 2023 Men's Fashion show
Etro Fall Winter 2023 Men's Fashion show thumnail
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《Profile・経歴》
マルコ・デ・ヴィンチェンツォ(Marco De Vincenzo)

イタリア・シチリア出身。ヨーロッパ・デザイン学院「European Institute of Design」にてコスチュームを学んだ後、「フェンディ」のアクセサリーデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。

2009年、31歳のときに自身のブランド「マルコ デ ヴィンチェンツオ(Marco De Vincenzo)」を発表してパリにてデビュー。欧州セレブたちの間でお気に入りブランドとなり、その後、2010年春夏シーズンに初めてミラノ・ファッション・ウィークに参加して以来、同地でのコレクションを発表し続けています。

そして2022年6月、「エトロ」ファミリーメンバー以外で初のクリエイティブ・ディレクターに就任し、ウィメンズ、メンズのプレタポルテ、及びホームコレクションを手がけています。

「ひとつの美が
永遠に続くとことはない。
永遠の美とは、
自然のなかにある」

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Esquire編集部(以下、Esquire):時代、ジェンダーや国を越えて通用する、普遍的な「エトロ」の美とは何であるとお考えですか?

マルコ・デ・ヴィンチェンツォ(以下、ヴィンチェンツォ氏):私は、何かひとつの美しさが永遠に続くことはないと思っています。永遠の美を何か?と問われれば、それは自然――。自然の中にある美だと思います。

Esquire:「エトロ」のテキスタイルにも、先月発表されたあなたの初のメンズコレクションにも植物などのプリントや刺しゅうが多く見られましたね。

ヴィンチェンツォ氏:ファッションは変化し、進化していくものです。ですから「エトロ」のファッションというのも、どんどん進化して変わっていく…。一方で変化するファッションの中にある自然的モチーフに美しさを見出し、ブランドのヘリテージと私なりの変革を両立させていけると思っています。

Esquire:現在、「エトロ」はメンズもウィメンズのプレタポルテ、ホームコレクションも全てヴィンチェンツォ氏が統括されていますが、そこにある共通するインスピレーションは何でしょうか?

ヴィンチェンツォ氏:メンズ、ウィメンズ、ホームコレクション、この3つすべてに共通するインスピレーションとは、“ファブリック(素材)”だと思っています。

「エトロ」がファッションブランドになる以前、ファブリックのテキスタイルメーカー(布地製造業)としてスタートしています。ですから、ブランドが保持する質の高いファブリック(素材※)たちが常に発想の源になっています。

※ポップアップストアでは、デッドストックなど眠っていたアーカイブ生地を再利用し、アップサイクルした日本限定商品も販売される。

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Esquire:来日後、文化服装学院で講義をされている様子をSNSで拝見しました。昨年(2022年6月)に就任されたばかりの多忙なクリエイティブ・ディレクターが、学生の皆さんを前に講義するのは珍しいことですよね。

ヴィンチェンツォ氏:その講義では、私がこれまで行ってきたことを語らせていただいたのですが、それよりも学生たちからの質疑応答に多くの時間を費やすことができました。その時間こそが貴重で、若い人たちからいろいろなヒントをもらうことができました。

Esquire:次の世代に自分の考えを伝え、育成することに興味があるのか…それとも、若い世代から学びインスピレーションを受けることに興味があるのか。どちらですか?

ヴィンチェンツォ氏:後者のほうです。学校の講義というのは、20代の若い世代が何を考えているかを理解するうえでとても有意義な場所です。なぜなら、ファッションというものは若い世代の考えを理解することが必要不可欠だと信じているからです。これこそが、最も大切なことのひとつだと思っています。そういった意味で、今回の講義で語った私の経験が学生たちのためになっていれば幸いですが、それ以上に私にとってすごくためになった時間でもありました。とても感謝しています。