新型コロナウイルス感染症の拡大により、全国に緊急事態宣言が発令されている現在。家の中で過ごす時間は格段に増えているはずです。とても困難な時期ではありますが、「#STAYHOME」を遵守する中で、家で過ごす時間の価値に改めて気づかされたという方も少なくないでしょう。
そんなわけで「Esquire」(日本版のスタッフたち)は美味しいカクテルが大好きなのですが、皆さんの中にも、大切な人とバーでグラスを傾けながら贅沢な時間を楽しんできた方もいらっしゃることでしょう。ですが現状では、その楽しみはお預けです。その代わりに、ご自宅でホームバーを楽しんでみてはいかがでしょうか? 家で過ごす時間がこれまで以上に、特別なひとときになるかもしれません…。
まずはご自宅でカクテルを手づくりする前に、カクテルの意味や知識、つくり方のコツやノンアルコールカクテルなどについて確認しておくことをおすすめします。そこで今回、オランダで“ミスター・カクテル”と呼ばれるアルバート・ファン・ビーク・カルコーエン氏にお話をうかがいました。
カクテルとは3種類以上の材料で構成されたお酒
カクテルとは、アルコールを混ぜ合わせた飲料のことになります。でも、そんなことはほとんどの方がご存知ですよね…。厳密なカクテルの定義では、カクテルの材料は3種類以上で構成されるとのこと。「ベース(主材料)となるお酒」に「リキュールなど他のお酒」、さらに「ジュースや炭酸、香りづけなど」が基本のレシピとなります。
もちろん、主材料以外の副材料(リキュールなど他のお酒や、ジュースなど)が1種類だけに思われるカクテルもあります。ドライジンとドライベルモットからできる「マティーニ」は、その一例です。しかしながら「氷」や「食べ物(マティーニにはオリーブが欠かせません)」も、重要な副材料となります。なので、ここではカクテルは3つ以上の材料で構成されると名記します。
カクテルの起源・語源には諸説あります
では、カクテルの起源とはいつごろなのでしょうか?
古代ローマに起源を求める説や古代エジプトを起源とするなど、カクテルの起源には諸説あります…。「古代ローマではワインに混ぜ物をしてお酒を楽しみ、古代エジプトではビールにハチミツやショウガを加えて飲んでいた」と伝えられています。その後、12世紀以降のヨーロッパでは、ワインに薬草などを入れて飲むホットドリンクが流行しました。
現代のカクテルのようなシェイカーをはじめとする器具を使った飲み物が登場するのは、製氷機が発明された1879年以降のこと。第一世界大戦の時期に世界へと普及し始めていきました。日本に伝わったのは明治時代の初期で、「カクテル」という名前が知られるようになったのは大正時代以降と言われています。
次に、カクテルの語源ですが、実はカクテルの語源にも諸説あります。
カクテルは英語で「Cocktail」とつづることから、「コック(Cock)の尻尾(Tail)」が語源とする説。アメリカのとあるバーで、雄鶏の尻尾を酒の瓶に挿していたことがきっかけとなり、「雄鶏(Cock)の尻尾(Tail)」が語源だとする説。ニューオーリンズで病人のために販売されていたラムベースの卵酒が評判となり、フランス人はそれをフランス語で「コクチェ」と呼んでいたことから、「ミックスされた飲み物=コクテール」となったとする「フランス語に起源がある説」などなど…。
他にもさまざまな説があり、結局のところ本当の語源は定かではありません。
ただし、アメリカで「カクテル」という言葉が最初に登場したのは、1806年5月6日付けのニューヨークの地元新聞「The Balance and Columbian Repository(バランス・アンド・コロンビアン・リポジトリー)」であることだけは明らかになっています。
カクテルを手づくりするのに必要なもの
自分でカクテルを手づくりしようと思ったら、混ぜ合わせるためのカクテルシェイカーや、正確な量を計るためのジガ―カップ(メジャーカップとも)などが必要となります。その他にも、バースプーンや柑橘類の果汁を絞るためのスクイーザーなどもあると便利でしょう。
ファン・ビーク・カルコーエン氏によると、カクテルのつくり方の基本としては、カクテルを難しいものと考えずに、「正確な量の計測と、氷をたくさん使うこと」だと言います。
「さまざまなものをたくさん入れる、“具だくさんのカクテル”もあります。ですが、『オールドファッション』や『ドライマティーニ』のように、シンプルなレシピでも美味しいカクテルは数多くあります。美味しくつくるためには、入っているお酒のバランスを考えてシェイカーを振ったり、かき混ぜたりしてバランスを取ることが求められます。例えば、あまり長い時間シェイカーやバースプーンを使ってしまうと、希釈し過ぎとなってしまうことも…。その塩梅には慣れが必要となるかもしれませんね…」と、ファン・ビーク・カルコーエン氏は言います。
ノンアルコールカクテルも人気です
これはカクテルに限った話ではありませんが、お酒は適量を楽しむのが大前提です。特にウォッカベースの「スクリュードライバー」や、テキーラベースの「テキーラサンライズ」など、飲みやすくて酔いやすいカクテルは数多くあるので、「心して臨むように」とファン・ビーク・カルコーエン氏も話します。悪酔いしてはスマートな紳士が台なしとなりますので…。
そんな中、ノンアルコールのカクテルも人気を集めています。
「モクテル(Mocktail)」とも呼ばれることもあります。「モック(Mock)」とは英語で「偽物・見せかけ」という意味で、アルコールが入っていない「偽物のカクテル」という意味となります。ですが、アルコールフリーだからと言って味が落ちるわけではありません。最先端のバーがそろうロンドンでは、モクテルの専門店も登場しているほどに人気を集めています。明るいうちから無制限で飲める上に、二日酔いになる心配もないでしょう。
「モクテルなら、トニックウォーターにシードリップを入れるのもおすすめです。シードリップとはノンカロリーで、砂糖・人工甘味料・人工香料を一切含まないノンアルコールスピリッツ。スパイシーな味わいで、ノンアルコールジントニックのベースにぴったりです。シードリップを使えばモクテルがより複雑な味わいになり、特別なものを飲んでいるような気分にもなれるでしょう」と、ファン・ビーク・カルコーエン氏。
美味しいカクテルをつくるために守るべき2つのルール
カクテルを自宅で楽しむには、「2つのゴールデンルールがある」とファン・ビーク・カルコーエン氏は話します。
「カクテルをご自宅で手づくりするのであれば、飲む時間やタイミングを自分に問いかけてみましょう。例えばマティーニは、食前酒(アペリティフ)として親しまれていますが、辛口のマティーはアルコール分が多く含まれているので、人によっては避けたほうが良い場合もあるでしょう。代わりのアペリティフとして、ドライジン・チンザノ・カンパリからできる「ネグローニ」も良いかもしれません。また、カクテルの中には、ディジェスティフ(食後酒)に向いているものもあります。つくり方が簡単なものを選べば、ご自宅でも十分楽しめることでしょう」と、ファン・ビーク・カルコーエン氏。
また、これからお酒をそろえようとお考えの方は、まずはジン・ラム・バーボンから考えてみると良いとのことです。それらがあれば、さまざまなカクテルをつくることができるでしょう。
ファン・ビーク・カルコーエン氏が挙げる美味しいカクテルをつくるもう1つのコツは、「自分の好きなもの知ること」だそうです。
「カクテルの中には、普段あまり飲み慣れない“挑戦的な味”のものもあります。ですが、嫌いな方は近づかない方ほうがいいかもしれません。それと同時に、カクテル愛好家としては、新しいフレーバーを受け入れることも重要なのです」と、ファン・ビーク・カルコーエン氏は言います。
カクテルのトレンドとは?
さまざまなものに流行があるように、カクテルにもトレンドがあります。初心者の方はどれから始めるべきか参考にしてみるのも良いかもしれません。
「つくり方がシンプルなカクテルなら、ダークラムにジンジャービア、スライスしたライムを添える『ダーク&ストーミー』や、ウォッカ・ジンジャーエール・ライム果汁をミックスした『モスコーミュール』などは今の人気カクテルと言えるでしょう。また、ノンアルコールカクテル(モクテル)を選ぶ方もますます増加しています」と、ファン・ビーク・カルコーエン氏。
カクテルのレシピやつくり方は、インターネットや専門書などで簡単に入手が可能です。一度道具をそろえてしまえば、新たな趣味の1つとして楽しめるかもしれません。1人で、仲間と、大切なパートナーと…。カクテルをご自宅で楽しむことで、生活をより豊かにしてくれる濃密な時間を手に入れてみてはいかがでしょうか。
カクテル等をつくること(酒類等を混和する行為)は、本来、酒税法の規定により「酒類の製造」に該当します。ただし「消費の直前」であれば、例外的に酒類の製造には当たらないこととされています。
つまり、カクテルをつくっても、その後すぐに飲むのであれば、酒造免許がなくても問題なしと判断されます。ただし、消費の直前を前提とせずに、つくり置きをするのは酒類の無免許製造の規定に抵触します。
どうか責任のある行動を取っていただき、お酒は適度にお楽しみいただくようお願いいたします。
Source / Esquire NL
Translate / Esquire JP
この翻訳は抄訳です。