現代において、恋愛関係を終わらせるということには多くの「フォロー解除」作業が必要となります。常識的な観点から、「別れた人を思い出すようなものが、スマートフォン(以下、スマホ)のタイムラインにひっきりなしに流れてくるのは良くない」ということになるでしょう。これは皆さん、理解できるはずです。

 しかし、そのためには電話番号を削除したり、お互いにSNSをブロックし合ったり、中には匿名アカウントで相手のツイッターを見たくなる衝動を抑えるしかないわけです。私も実際に、フォローを外したりしてみました。ですが、この「SNS時代」においては、結局のところ私(女性ライターのブライズ・ロバートソンさん)のインスタグラムのフィードには、元彼の足あとが大体残ったままになっています。例えば、最近まで付き合っていた人を見つけたのは、「BMX」動画を投稿したPOSTでのことです。

 私は2019年の数カ月間、あるBMXライダーと付き合っていたのです。交際期間中、私は彼のインスタグラムをフォローしていました。彼のインスタグラムの内容は、ライディング動画がほとんど。彼がBMX関連の出版物やBMXチームをタグ付けしていたので、私もそれらをフォローすることになりました。彼の仲間は、一度も実際に会ったことのない人たちなので、最初はフォローするのをためらっていました。ですが、BMXの車輪でダンクシュートをする動画を観て、とうとうその人をフォローしてしまいました。

 そして、その動画をある友だちに見せると、その人も「絶対この人をフォローする!」と話していました…。

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 そして、結局この彼とは別れることになりましたが、私は、彼自身のアカウントやBMX関連のアカウントフォローを解除することはしませんでした。なぜなら…これらのアカウントはすでに、私のインスタグラム内のお気に入りになっていたからです。フェンスの手すりの上で飛び跳ねているBMXの動画を観るほうが、他の人のツイートのスクリーンショットを見るよりもはるかにずっと面白かったからです…。 
 
 恋愛関係にあった人の影響というだけで、何かにそこまで熱中してしまうのは少し変に思われるかもしれません。私は自分自身の興味を追求する代わりに、「男の子たちが何かをやっているのを見ている」のかもしれませんし、彼らが私に教えてくれたことに夢中になるのは、そこに彼らを投影しているからかもしれません。

 一般的に私たちは皆、恋愛相手に影響されて何かに夢中になるものです。

 アニメやプロレス、実験音楽(不確定性の音楽)からニューエイジまで、相手の影響で何かにハマった例を、複数の元カップルから聞いたことがあります。

彼がBMX関連の出版物や
チームをタグ付けしていたので、
私もそれらをフォローしました

 恋愛関係が終わったのなら、アニメやプロレス、ニューエイジのアカウントはフォローを外せばいいだけなのです。そのような趣味や元恋人、その友だちを自分のフィードから削除して、きれいさっぱり白紙の状態に戻すこともできるのに…。しかしなぜ、私を代表に、そんなほろ苦い思い出がよみがえるようなものをなぜ見続けるのでしょうか?

 もちろん、その趣味がまったく好きではなかった場合は、簡単に削除していたことでしょう。私は高校生のとき、好きだった人のためにNFL(米アメリカンフットボールリーグ)の有名選手一家「マニング・ファミリー」についてあらゆることを知ろうとしていました。ですが卒業した途端、もうペイトン・マニング(マニング・ファミリーで最も知名度が高い次男)のキャリアとか、フットボール全般の話題に興味があるふりをしなくてよくなった…と、ホッとしたことを覚えています。 
 
 それでも元彼を通じて出合った多くのことが、いまだに好きなのも事実ではあります。私はある人の影響で、(シンガーソングライターの)パティ・スミスやジョニ・ミッチェルに興味を持ちました。が、今でも私の大好きなアーティストたちですので。

 スミスの自伝『ジャスト・キッズ』からは、若くて、お金がなくてもニューヨークでアーティストになれることを学びました。また、ミッチェルのアルバム「逃避行」を聴きすぎて、仕事を辞め、クルマで田舎を旅した経験もありますので…。

 そんな私もこの2人のアーティストのファンである男性と付き合うまで、彼女たちはあまり好きではなかったのです。それは今ではもう、その彼のことなど全く関係なくても、この2人のアーティストが好きなのです。私の友だちが言うように、「(元彼が)私をBMXの世界に招き入れた。例え彼のことが嫌いになったとしても、バイクとそのコミュニティーが私の人生を変えた」ことは事実なのですから…。 
 
 そして率直に言えば、「白紙」に戻すという考えは誤っていると思うのです。別れたからと言って、その人を宇宙の彼方へ追放することなどできませんし、自分の頭の中から魔法のように消し去ることだってできるものではありません。

 かつての恋愛をなかったことのように装ってみても、その恋愛が自分の人生に影響を与えたという事実は、変えられないわけですから…。なので私は、「なかったこと」にしようとも思いません。実際、これまでに付き合った人の多くとは、今でも友だちです。私はこれを健全でスマートなことだと思っていますが、多くの人はおかしいと思っているでしょうし、5年後にはこれが極めて自己破壊的であると理解するかもしれませんが…。 
 
 長くなりましたが、ここで本題です。結局のところ、私はSNSで過去の恋愛相手の趣味を共有することは「構わない!」と思っています。「色々な物事を学ぶべきだ」というのは、誰もが賛成するところでしょう。人が何かに打ち込み、そのことを人に話し、手ほどきをするということはとても素晴らしいことです。

 そして恋愛関係が終わっても、それが 映画『ワイルド・スピード』シリーズのような人気映画であろうが、仰天ニュースのような記事であろうが、何かに関心を持つ権利はなくならないのです。 
 
 BMXアカウントのフォローについて、私はツイッターでアンケートをしてみました。「フォローを解除すべき」、「BMXについて忘れる」、「他のBMXライダーと付き合う」、「自分でBMXを始める」という選択肢です。

 私の答えは「自分でBMXを始める」です。「少なくともバニーホップくらいのトリックができるようになるといいな」とか、「スケートボードもいいかもしれないな…」と思ってます。たくさんの男性がBMXでレッジやポールを滑り、飛び跳ねている動画を観ているうちに、私自身も「シンプルなマシンで体を使った冒険をしてみたい」という気になり、体を使うことに関してあまり面倒と感じなくなったわけです。 
 
 ちなみに私がアンケートした結果、その答えで一番多かったのは何だったのでしょう?  一番多かった答えは、私と同様に「自分でBMXを始める」でした…。

 そこで皆さんに、2択で質問をします。

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 男女関係なく、ともにお答えください。 

 

 
 

From Esquire US 
Translation / Keiko Tanaka 
※この翻訳は抄訳です