これまで数々のファッション撮影を行ってきた「エスクァイア」US版。世界一周しながらファッション撮影を行うこともあるようで、時差を超えて最先端の仕事をこなし続ける彼ら。

 このたび、『エスクァイア US』は、ファッション・ディレクターを務めるニック・サリバンがスタッフたちと、どのように世界一周しているのかについて、語ってくれました。


 「こんな馬鹿げたアイデアを出したのは誰だ?」と、私たちが、未知の領域(すなわち東京)へのフライトを待っているジョン・F・ケネディ国際空港の全日空ラウンジで朝食を取っていたとき、私は大声で叫びました。

 「あなたですよ」と言ったのは、エスクァイアのシニア・ファッション・エディター、ウェンデル・ブラウンでした。

 私たちの頭のなかには5都市をカバーする写真撮影と、(10日間で)完全世界一周を行う19,000マイルの旅程がイメージとして浮かび上がっていたのです。

 この旅に参加したのは、4人からなるチームでした。写真家のロレンツォ・ブリンゲーリ、彼のアシスタントであるフランチェスコ、ウェンデル、そして私ニック・サリバン。フットワークを考慮して、私たちが携行したのは手荷物のみでした。

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 常に自分自身に挑戦すべきとの観点に基づいて、最近の『エスクァイア』のファッション部門では、非常に大それたアイデアを思い付くと、それを実行に移すために遠回りの方法を探し、自由にやってみることが一つの目標となっています。

 結果は、まあ彼らを見てのとおりということで。オクラホマ州オクラホマシティーやニューメキシコ州モリアーティといった人里離れた場所で、成功を収めている男性のポートレートを撮影しつつ、ファッションで埋め尽くされた3台のスポーツ・ユーティリティ・ビークルに分乗して東海岸から西海岸までドライブしました。 

 カナダグース・パーカーをテストするために、ウェンデルを北極へ向かわせたこともあります。それでは、私が何をしたかと言うと、果敢にもカンザス州で下着姿のままパラシュート降下しました。またレバノンでは服の買物に挑戦して、ある程度の成功を収めているのです。

 この旅行は、スタイリングが地球上のほとんどの場所にいる男性たちによって、ますます話されるようになっているグローバル言語であるとの考えで始められました。ソーシャルメディア(それにインターネット全般)は、かつて世界のファッションの中心地を分離していた嗜好の境界を急速に消し去りました。私たちはイタリアの服を着ることがあるかもしれません。

 しかし、それらはロンドンのサヴィル・ロウに触発されたり、アメリカーナの日本人的な概念が染み渡ったりしている可能性があります。上品さが形式的な問題であるのと同様、快適さも形式的な問題にすぎないのです。

 世界中で最も重要なファッションの中心地にいる、興味深い男性のポートレートを撮影すること以上に、この理論を調べるためのより良い方法があるでしょうか? 旅程(ニューヨークから東京、香港、ミラノ、ロンドンを経由してニューヨークへ)の計画立案は、地球を縦横無尽に飛び回っているユナイテッドやルフトハンザのような28の主要航空会社をパートナーとし、望みどおりの旅程を迅速に用意してくれるスターアライアンスのおかげで非常に簡単でした。

東京では原宿・渋谷エリアを中心に回ったニックたち

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 私たちは時間を最大限節約し、時差ぼけを軽減するため西に飛びました。たまに利用するスターラウンジもそうですが、私たちが座ったプレミアムエコノミー席(通常のエコノミー席よりもレッグスペースの広いクラス)では、長距離フライトにも関わらず心と体の両面で非常に快適でした。

 旅程のペースが速いのは、わずかの時間も惜しんでいるという姿勢の表れです。

 私は時差ぼけに悩まされるものと予期していましたが、新しい場所を探索する興奮と、絶えず前に進もうとする勢いに駆られて、その大部分を抑えることができました。

 東京に着いてからは、名ショットを確実にものにする競争をしたり、地元料理に舌鼓を打ったりしました。各都市での宿泊は最大で2泊までとされていたため、やるべきことがたくさんありました。

 ある地元のスタイリストは、私たちが春夏コレクションの中から必要とした服を前もって調達し、その才能あふれる人物に着せるべく事前に決められた場所で、私たちと会うことになりました。私たちのカメラマンであるロレンツォ、その地元スタイリスト、プロデューサーとの今後の計画もまた、各都市の一つ一つの部分が、明々白々なハガキの風景に頼らなくても、場所に不可欠な印象を与えるという素晴らしいアイデアを私たちに授けてくれたのです。

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 東京では、原宿のような伝説的なファッション地区を探索することになりました。

 しかし、渋谷にある環境のそれほど良くない路地では、ヤクザが頻繁に出没しているとも聞きました。俳優の浅野忠信を撮影しようとしたときに、写真家のライトに神経をとがらせて大包丁を振り回した料理店主が私たちを追い払ったのは、そうした路地の一つでした。香港では、九龍深水ホの活気ある労働者階級地区と、セントラルのきらびやかな高層ビルのコントラストに注目しました。

 ロンドンやミラノといった、より身近な都市でも、予想外の撮影スポット(ロンドンのオックスフォード・ストリートから伸びる路地のようなものがあることをかすかに覚えていましたが、全く見つけられませんでした)を発見できるかどうかは、飛行機を待っている間に行うグーグルマップによる探索作業次第でしたね。

 「エスクァイア」の世界一周取材の結果は雑誌の3月号に掲載されており、フルディスプレイで24ページに及んでいます。次回は一体何処に行かなくてはならないのでしょうか?

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 この秋、スターアライアンスはスポーツから食べ物に至るまで、あらゆるものに基づいて世界一周をテーマとした様々な旅程を発表するでしょう(スキューバダイビングをするのに最適なスポットさえも)。「エスクァイア」のチームが旅行したときと同じように、ファッションの中心地を巡る旅程を予約すれば、「エスクァイア」の足跡をたどることもできますよ。

Source / ESQUIRE US
Translation / Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。