夏、ほぼ絶え間なく続く昼の光に誘われアイスランドに行くのか?

冬、ほぼ絶え間なく続く暗闇に誘われアイスランドに行くのか?

それが問題だ…とは言え、いずれにせよ、アイスランドはこの両極端な側面が訪れる人々に大いなるエネルギーを与えてくれる国です。大地からは蒸気と溶岩が噴出し、丘の斜面からは水晶のような水が流れ落ち、1960年代には爆発によって海から新しい島が出現したこともありました。この地は自然が主役となり、それを決して忘れさせてはくれないのです。

オーストラリアに本拠地を置くグローバルシンクタンク「経済平和研究所(The Institute for Economics & Peace<IEP>)」が毎年発表する『GLOBAL PEACE INDEX(世界平和度指数)』の2023年度版によれば、1位はアイスランド。これは世界各国の平和度合いを数値化し、ランキング形式でまとめたものです。しかもアイスランドの1位は、2008年から16年連続ということ。これは快挙であり、それだけでもどれだけ平和なのか味わいに行きたくないですか? ちなみに、2023年版における日本は9位です。

アイスランドのゲイシール間欠泉
Onegin//Getty Images
地熱地帯にあるゲイシール間欠泉。大きなものでは高さ60m近くまで熱湯を噴出することがあるそうです。
アイスランドのブルアフォス
Santi Sukarnjanaprai//Getty Images
美しいブルーの水が流れる滝、ブルアフォス。

皆さんもよくご存じのように世界でもクールな都市の一つであるアイスランドの首都レイキャビク(Reykjavik)には、魅惑的なバー、高級レストラン、そして博物館が点在しています(特に、注目の66°North<シックスティシックス ノース。アイスランドの漁師に向けて北大西洋の風雨に耐えうる服を提供するために、1926年にハンス・リスティアンソン(Hans Kristjánsson)氏が設立したブランドで店舗は至る所に見られます。

奇抜さと創造性にあふれたこの街は、ニューヨークからレイキャビクまで約6時間のフライトで到着できるとあって、夏のシーズンにはノルディックな雰囲気を味わいたい数多くのアメリカ人が訪れます。

※ちなみに日本の場合、直行便はありません。直線距離は約8605kmで、時差は-9時間(サマータイムは未導入)となります。日本からアイスランドへ行くには最低でも1回、ほかの国にある空港へ乗り継ぐ必要があります。例えば羽田空港からブリティッシュ・エアウェイズを選べばロンドン経由で。関西国際空港でKLMオランダ航空/アイスランド航空を選べばアムステルダム経由でケプラヴィーク国際空港へ。 日本から各経由地までは約12時間程度であり、その乗り継ぎ地からアイスランドまでは3時間程度のフライトとなるでしょう。

空港からホテルにまず向かえば、そんなレイキャビクという都市がもつ文化的側面を味わいことでしょう。ですが、それだけではないのがレイキャビクの奥深さです。湾内でクジラを観測できる豊かな海や周囲にそびえる山々など自然に囲まれた街でもあり、Spotifyでシガー・ロスの曲を聴きながらドライブに出かけたくなるアイスランドの魅力が凝縮した首都でもあるのです。

ここでは、レイキャビクでの滞在を最大限に楽しむ方法と、1~2日でちょっと遠出して足を延ばす場合の楽しみ方をご紹介します。

- INDEX -

▼ おすすめの宿泊先

▼ 街中ですべきこと

▼ 定番グルメとレストラン

▼ 選ぶべきラグーン

▼ 遠出して足を延ばすなら…

レイクキャビクでは
どこに泊まる?

a bedroom with a bed and a chair
Edition Hotels
ザ・レイキャビク・エディションの一室。

レイキャビクには格安ホステルから高級ホテルまで、さまざまな宿泊施設がありますが、10代後半のバックパッカーのように4人用2段ベッドに泊まりたい人以外は、快適なホテルに泊まることをおすすめします。

2021年にオープンしたザ・レイキャビク・エディションは、まさにうってつけのホテルです。ホテル自体が旅の一つのシーンとなるような施設とロケーションが高い評価を得ています。港に面したこのホテルは253室の客室を擁しており、洗練されたデザイン、魅力的なスタッフ、洗練された客層、ルーフトップバー、そしてシェフ、グンナル・カール・ギースラソンが腕を振るう特別なレストラン「タイズ」が自慢です。

ザ・レイキャビク・エディション 公式サイト

レイキャビクでは
何をすべき?

コンパクトな首都であるレイキャビク(面積は273平方キロメートル:千葉県千葉市よりやや大きい)は、歩いて散策する人たちにとって夢のような場所です。(塔に上って景色を眺めるのもいい)アイコニックなハルグリムスキルキヤ教会(Hallgrímskirkja)を目印にして、ダウンタウンの小道に並ぶ魅力的なバーやカフェをめぐったり、オールド・ウエスト・サイドのかわいい小ぎれいな家々をのぞいたり、あるいは(どうしてもというなら)インスタグラムでもよく取り上げられるスコラヴォルダスティグル(Skolavordustigur:別名「レインボー通り」)の観光客向けショップでニットブーツを買うのもおすすめです。

またレイキャビクには、洗練されたものから荒唐無稽なものまで、さまざまな種類の博物館があります。洗練された雰囲気を楽しむなら、アイスランド国立美術館がおすすめです。ここでは荘厳なコレクションを収めた建物、スタイリッシュな美術館、そしてアイスランドの画家アスグリム・ヨンソンのかつての邸宅を一度に訪れることができ、その合間にこの素敵な街の散策も楽しむことができます。ちなみにその中でも、ファロロジカル・ミュージアム(正式名は、The Icelandic Phallological Museum)は想像以上に面白いらしいとのこと…。

the pearl perlan is built on the top of huge tanks in which natural hot water is stored for heating reykjavik restaurants, meeting halls and a museum are housed in the dome
Arctic-Images//Getty Images
レイキャヴィクの南部にある複合施設「ペルトラン(Perlan)」。このガラス張りのドームを有する自然博物館を中心に、高級料理を楽しめる回転レストランやカクテルバーも備えています。

さらに体験型の観光をしたいなら、ペルトラン(Perlan:上の写真)がおすすめです。ここはエンターテインメント要素も兼ね備えた“インタラクティブな自然博物館”で、氷の洞窟を歩いたりやオーロラのショーを楽しんだりすることができ、地殻プレートに関する情報をたくさん学ぶこともできます。

もっと静かな時間を過ごしたい場合、アイスランド交響楽団の本拠地であるハルパ・レイキャビク・コンサートホール&会議センター(Harpa Reykjavik Concert Hall and Conference Centre)を訪れるのといいでしょう。ここではコンサートが行われていますが、その見事な建物を見るだけでも十分に価値があります。芸術家オラファー・エリアソンが光の巨匠と呼ばれた建築家ヘニング・ラーゼン(Henning Larsen)と共同設計した、透明で巨大な蜂の巣のような外観が特徴となっています。

harpa コンサートホール
Tim E White//Getty Images
通称「Harpa」、ハルパ・レイキャビク・コンサートホール&会議センターの外観。

どこで食事をする?

レイキャビクに滞在中には、必ずどこかで下の写真のバイヤリン・ベスタ・ピルスル(Bæjarins Beztu Pylsur)自慢のホットドッグを食べることになるでしょう(もし食べ逃してしまった場合でも、ケプラヴィーク国際空港の出発ラウンジにも店舗があります)。またブロィズ・オ・コ(Brauð & Co)へペストリーを食べに行くことは、アイスランド旅行のお約束になっています。

ホットドッグ
Brandon Rosenblum//Getty Images
ネットやSNSでは、「宇宙一美味しいホットドックスタンド」と評されているバイヤリン・ベスタ・ピルスル。柔らかなパンにボイルソーセージ、シャキシャキの生玉ねぎとサクサクのフライドオニオン…と具材はいたって普通ですが、日本では味わったことのない秘伝のソースがかかっています。

座って食事を楽しむレストランなら、ファインダイニングのコール(Kol)があります。また素晴らしい食事とワイン、そして素敵な雰囲気(これ以外にぴったりの言葉がありません、ごめんなさい)を楽しむには、マット・バー(MAT BAR)が最もおすすめです。デザートには、イタリアンジェラートが味わえるガエータ・ジェラート(Gaeta Gelato)へ散歩がてら行くのもよいでしょう。

どのラグーンを選ぶべき?

a body of water with a dock and buildings by it blue lagoon iceland
Blue Lagoon Iceland
アイスランド南西部のレイキャネス半島にある温泉「ブルー・ラグーン」。残念ながらレイキャビクからブルーラグーンへ行く公共バスの運行はありません。タクシーで行くと非常に高額になるので、ブルーラグーンを含んだツアーかレンタカーで行くのがおすすめです。土や岩石(溶岩も含む)の主な成分シリカの粒子の影響で、天気によってパステルブルーに見えたり白濁した青に見えたりします。

世界最大の露天風呂と言われる「ブルー・ラグーン(Blue Lagoon)」が観光客のお決まりになっていますが、そこは本当に素晴らしいので行くべき場所とされているのは当然のことです。ターコイズブルーの温水プールで水遊びができるだけでなく、フェイスマスクトリートメントやビールを購入してプール遊びを楽しむことができます。風のそよぎを感じながら、肩まで水につからないでもプールを満喫できるのです。そしてプールを出たら、ミシュランスターを獲得した「Moss」か落ち着いた雰囲気の「Lava」で、疲れを癒やし、食事を堪能することができます。(日帰りでない場合には、高級スパホテル「ザ・リトリート・ホテル(The Retreat Hotel)」に宿泊することもできます)。

アイスランドには他にも訪れるべきスパがたくさんあり、まさにスパの宝庫です。国中の至る所でスパが楽しめ、特記すべきスパが数えきれないほどあります。レイキャビクの東に約1時間の場所にあるラウガルヴァトン・フォンタナ(Laugarvatn Fontana)や、そこからさらに30分ほど行ったところにある自称「アイスランド最古のプール(この主張は、南に位置するセルヤヴァッラウグ・プール<Seljavallalaug Pool>と論争が繰り広げられています)」のシークレット・ラグーン(The Secret Lagoon)などは有名どころです。この国では、スパに入ることに不自由することはないくらいにスパを堪能できます。

そして遠出して
足を延ばすなら…

kerlingarfjoll is volcanic mountains featuring hot spring surrounding the area and located on the central highlands
WITGOAWAY//Getty Images
クヴェラダリル(Hverdalir)地熱公園ケルリンガルフィヨル(Kerlingarfjöll)の壮大なる風景を望む。

あなたはアイスランドに到着してから10分も経たないうちに、「ゴールデン・サークル(Golden Circle)」という名前を耳にすることになるでしょう。ここは1日(長い1日になりますが)で日帰りで訪れることができるエリアで、驚異的な大自然のスポットが集中しており、滝や火山を観光できる絶好の場所です。観光客が絶えず訪れ、特に夏は多くの観光客で混み合うことはあらかじめ知っておいてください。ですが、レンタカーを借りてこの一帯の環状道路から少し外れれば(少しでも冒険的な場所に行きたいなら、4WDを借りることをおすすめします)道が空き、目の前に広がるアイスランドの豊かな風景をゆっくり楽しむことができるでしょう。

1900年代のアイスランドにタイムトリップしたかのようなレトロな雰囲気を味わえる西部の小さな島、フラテイ(Flatey)などの島々を訪れることもおすすめです。ここでは、ホテル・フラテイ(Hótel Flatey)に滞在するのがよいでしょう(実際、ここに泊まる選択肢はこれしかありませんが…)。また、南部に位置するヴェストマン諸島(Vestmannaeyjar)も魅力的な島です。ここにはパフィン(Puffin=ツノメドリ)の世界最大とされているコロニー、シロイルカの保護区、そして近年注目を集めているレストラン スリップリン(Slippurinn)(ウェストマン諸島で唯一人が住む、ヘイマエイ島に位置しています)があります。

ヴェストマン諸島のパフィン
Vinchel Budihardjo//Getty Images
ウェストマン諸島がコロニーとなっている、パフィンの群れ。

また、アイスランドの山岳地帯を探検してみるのもいいでしょう。下の写真はクヴェラダリル(Hverdalir )地熱公園内のケリンガルフィヨル(Kerlingarfjöll)に新しくオープンしたホテル ハイランド・ベース(Highland Base)。ここは静かでスタイリッシュな宿泊施設であると同時に(敷地内のスパが2023年後半にオープンすれば、さらにそうなると思われますが)、その名が示すとおり、ここを拠点に地熱地帯を歩いて探検することができます。切り立った岩山を歩くのに自信がない場合は、ハイランド・ベースが手配する(冒険的なオーダーメイドのツアーを提供する会社)アウトサイダーズ・アイスランド(Outsiders Iceland)の専門ガイドと一緒に探検することもできます。

a view from window the highland base hotel in iceland of cabins on a hillside
Highland Base – Kerlingarfjöll
ホテル ハイランド・ベースの一室。

ハイランド・ベース 公式サイト

source /ESQUIRE UK
Translation / Yumi Suzuki
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です