セイコーのデザイナーによる実験的な試みとして、2001年から2009年まで続いた社内プロジェクト「power design project」。それはデザイナーが日常業務とは異なるスタイルで“ブランドの未来”を深く考え、年ごとの「テーマ」に基づいて時計の可能性を追求する活動でした。2022年に既存の概念にとらわれないデザインのあり方と可能性を、腕時計という「プロダクト」を通じて提案するべく、「power design project」が13年の時を経て復活。そして「power design project 2024」の展示会として今回、「専用すぎる腕時計展」が開催されています。

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,
Seiko

セイコーは140年を超える歴史の中で、ダイバーズウォッチや競技専用ストップウォッチ、鉄道時計などさまざまな専用デザインの時計を世に送り出してきました。今回の展示会に向けてデザイナーたちに与えられたテーマは、セイコーのヘリテージである「専用腕時計」の新しい提案です。

この一見、広がりの難しそうなテーマに、デザイナーたちは頭を抱えつつ真剣に可能性を探ったそうです。そこから紡ぎ出されたのは、おのおのが「愛してやまないモノ」「突き詰めたいと思うモノやコト」といったモチーフ。それらを不必要なほどに突き詰め、挑戦した結果が形となった7つストーリーを持つ「専用すぎる腕時計」を提案しています。

ここでは、展示される「専門すぎる」7つの時計をクローズアップ画像でご紹介。その道の専門家もうなる、愛やこだわりが詰まった時計の全貌をぜひ会場でお確かめください。

「かくれんぼ専用腕時計」

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,かくれんぼ専用腕時計,
Seiko


現在は、プロスペックスのデザイナーである川村公則さんがデザイン。「かくれんぼ」における“正しい鬼のあり方”を突き詰めた結果、「“ヒーローアイテム”が必要である」という答えにたどり着いたそう。たとえ鬼になってしまっても、この時計さえあればたちまち誰もが認めるヒーローになれるはず。「かくれんぼ」の国際ルールに即した機能も満載です。

「パタンナー専用腕時計」

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,パタンナー専用腕時計,
Seiko

ライセンスブランドのウォッチ開発に加え、「からくりの森」プロジェクトなどアドバンスデザイン業務に従事する薄上紘太郎さんがデザイン。服づくりの現場で常に使われている(針をさしておくための)ピンクッションと、時計を組み合わせています。まち針型のリューズやSEIKOの織りネームなど、遊び心とともに細部にまでこだわった服づくりを支え鼓舞する時計です。

「すき焼き専用腕時計」

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,すき焼き専用腕時計,
Seiko


現在は主に、グランドセイコーのデザインに携わっている吉田 顕さんがデザイン。吉田さんがこの世で最も愛する料理、すき焼きを最高においしく味わうために開発したそうです。針が指し示すとおりに具材を投入すれば、簡単においしいすき焼きがつくれるとか。鉄鍋を思わせるようなケース、神戸牛レザーを使ったベルトにもこだわりが。

「パンダ好き専用腕時計」

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,パンダ好き専用時計,
Seiko

こちらは、現在グランドセイコーの商品デザインを担当している酒井清隆さんがデザインしたもの。時計好きの方は、白文字盤に黒のスモールダイヤルをのせたモデルを“パンダ時計”と呼びますが、その通称を一蹴するのがこの時計。徹底してパンダの要素を時計に盛り込むことで、子どもから大人まで誰が見ても“これはパンダです”と思える仕上がりになりました。

「マスキングテープ好き専用腕時計」

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,マスキングテープ好き専用時計,
Seiko

デザイン開発業務とグランドセイコーの商品デザインを担当している檜林勇吾さんは、マスキングテープを愛してやまないとか。そして気づくと、マスキングテープを腕時計のケースにしてしまったそう。ベルトを通して時計の裏側からマスキングテープを固定する機構で、紙管内径30mm・テープ幅15~20mmのものなら着せ替えが可能です。

「晴れ男専用腕時計」

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,晴れ男専用腕時計,
Seiko

デザイン開発チームのデザインディレクターとして、開発・デザインを担当している石原 悠さんがぜい沢な時の流れを感じるために開発したのはなんと日時計。ゆえに「晴れ男専用」とか。ケースが変形でき、ダイヤル角度も季節に応じて変えられ、さらに水平も出せるというまさに高精度な“小さな天文台”とも言える実力派です。

「両利き専用腕時計」

専用すぎる腕時計展,パワーデザインプロジェクト,セイコー シード,原宿,両利き専用腕時計,
Seiko

現在、アストロンのデザインをメインに担当している伊東絢人さんがデザインしたもので、「左右兼用」ではなく「両利き専用」となります。時計を右手に着けたときと左手に着けたときではダイヤルを見る角度が変化しますが、それを利用して視線の違いで目に映るダイヤルの色が異なるのが特徴。右手に着けると白文字盤に、左手に着けると黒文字盤に見えるようになっています。

「power design project 2024 専用すぎる腕時計展」

特設ページ

※会期中は、ギャラリーツアーやワークショップを実施予定。詳細が決まり次第、特設ページにて告知されます。

●問い合わせ先
セイコーウオッチお客様相談室
TEL 0120-061-012
公式サイト