多くの人が誤解しているようなので、まずははっきりさせておきたいと思います。私(筆者)は熱心なランナーであり、米ウェブメディア「Runner's World」で栄養についての記事の編集者をしています。ですが、アスリートではないからといって、「何でも好きなものを食べていい」というわけではありません。

 体とランニングの継続のために、自然食品良質な脂質果物野菜で燃料補給をし、消費カロリーを超えて食べ過ぎないように気をつけています。

 とは言え、どうしてもやめられない好物だってあるんです。

 実は私、かなりの甘いもの好きで、特に毎日アイスクリームを食べていて、仕事でアイスクリームの味比べなどをする機会があれば、喜んで参加するほどでした。そんな矢先、無糖ブームや糖質制限、という単語をよく耳にしたのです。そこで「砂糖の制限の効果を試すには、私こそ適任では…」と思ったわけです。そこでまずは1カ月、次の条件でどうなるのか試してみました。

1.精製糖はなし

 しかしながら、天然の糖分はOKとしました。なので、果物は引き続き食べていましたし、高脂肪のプレーンヨーグルトにもハチミツを少し入れて甘くすることができました(笑)。

2. 糖分は1日8グラムまで

 朝食にいつも食べているのが、前述のヨーグルトにグラノーラを入れたものです。そこで糖分が8グラム未満のグラノーラを探しました。

 正直に言うと、実はこの記事を書いている最中に、そもそもの予定よりも許容量を増やしちゃっています。私は管理栄養士ではないので(一緒に仕事をしたことは多くありますが)断定はできませんが、天然の糖分中心であれば「8グラム」という量は適切に思えたので…(はい、個人的に思えたというだけです)。

 糖分がここまで少ないグラノーラがなかなか見つからなかったため、最終的には自分でつくって、ハチミツで甘みを足すことにしたんです。

3.ルールを厳しくしすぎない

 目的は「砂糖の制限」であり、「楽しみをなくして惨めな気分になること」ではなかったので、何かあれば(会社での誕生日パーティーや、特別なディナーでのデザートなど)断らないことにしました。

 これまでの経験から言うと、自分に厳しくしすぎないほうがいい習慣をつくりやすいのです。完全に砂糖を摂らなかったのは、2日目までくらいだったと思います。(いや、1.5日だったかも…)

1カ月試してわかったこと

1. 最初は、体が軽く感じた

 完全に砂糖を絶った、最初の2日はとてもいい気分でした。若返った気分です。ただ注意してほしいのは、それは“気分”だったというところです…。2日間では、身体的な変化は起きませんでした。(それまでずっとファストフードばかり食べていたというなら、これまた別でしょうが…)

 「甘い物を抑える」という考えや行動自体に不思議と興奮していたので、気分がよくなったように感じたのでしょう。その後30日間続けても、私にこれを続けることに対する違和感など感じることもなかったのです。
 

2. 意志の強さが証明された

 自分のことを、意志が弱いほうだとは思ってはいません。しっかり準備して、マラソンを7回完走しています。努力を惜しみませんし、猛暑日でも氷点下でもトレーニングします。しかし、甘いものになるとそうはいきませんでした…。

 ユダヤ教の宗教的記念日である過越(すぎこし)時は、禁忌の食物(麦、とうもろこし、米、豆など)には手をつけません。しかし、アイスクリームを差し出されたら断れないほどでした。

 しかし今回の試みで、私にもおやつのダークチョコレートや、夜のアイスクリームを我慢することができるのだと分かり、これはかなりいい気分でした。

一カ月砂糖なしの糖質制限チャレンジをした結果肌荒れした
Getty Images

3. 肌荒れが起きた

 砂糖(または他の“体に有害”なもの)を制限して、肌の調子がよくなったとか、髪にツヤが出たとか、唇にハリが出たといった話を聞いたことがあるかと思います。

 残念ながら、私には起きませんでした。それどころか、アゴにニキビができてしまいました。正直言えば、このニキビにはしばらく悩まされていました…。ですが、これが食事が原因だとは断言できないこともご理解ください。とは言え、砂糖の制限を初めて最初の1週間でニキビができたので、関係がないわけではなさそうです。
 

4.果物とナッツ類をもっと食べるようになった

 私は果物が大好きです。地元の地域支援型農業のおかげで、野菜も昔よりも食べるようになったと思います。期間中は甘いものへの欲求を満たすため、果物をよく食べました。そして果物に豊富に含まれる食物繊維のおかげで、かなりお腹が満たされることに気づいたのです(「Runner's World」内でもこの類の記事はよくありますが、今回自分で検証することができました)。

 おやつには、オーガニックのカシューナッツ(無塩でローストされたもの)を食べました。脂質が豊富で、お腹にたまり、美味しくて食べやすいのでおすすめです。
 

5. 砂糖は何にでも入っている

 以前「Runner's World」で、「実は砂糖が大量に含まれている健康食品」という記事を担当したので、自分は「そんなの知っているよ」と思っていたのですが、これは今回の件で“本当だ”と実感できました(ちなみにグルテンも、いたるものに入っています)。

 以前よりも栄養成分表示をしっかりと読むようになり、体にいいものを選択するようになったと思います。
 

6. 工夫するようになった

 手づくりのグラノーラは、ほんの一例です。友人にずっと言われていたことがやっと腑に落ちました。それは「自分でつくるのが一番」ということです。

 クッキーを焼くのが大好きですが、これには砂糖が大量に入っています。だから、レシピをちょっとアレンジして、健康的なクッキーをつくりました(会社に持って行ったら大好評でした。クッキーが美味しかったのか、栄養担当の編集者が持ってきたから喜ばれたのかは分かりませんが…)。

 普段はオートミールに、ヌテラ(ヘーゼルナッツペーストをベースに砂糖、ココア、脱脂粉乳、香料、乳化剤などの材料を混ぜ合わせたチョコレート風味のスプレッド)とタンパク質たっぷりのピーナッツバターを加えるのですが、代わりにアボカドでつくったチョコレートスプレッドに、ハチミツで甘みを加えました。アイスクリームの代わりに食べることもできたので、私にぴったりの手づくりスイーツでした。

一カ月砂糖なしの糖質制限チャレンジをした結果普段体重変化はなし
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7.普段から健康的な食事をしている

 正直、砂糖を摂らないことで体重が落ちるだろうと思っていましたし、無駄のない、ランニングレース向けの体重になれると思っていました。そんな体験談、読んだことありますよね? しかしながら結果は…残念ながら体重は減りませんでした。ですが、増えもしませんでした。

 甘いもの好きで、夜のアイスは欠かせませんでしたが、それでも普段から健康的な食生活をしているので、そこまで“減らす”部分がないのだと気づきました。

 5キロほどダイエットして、レース向けの体重にしようと思えばできるでしょう。そのためには甘いものを一切断って、マラソンシーズンには足りていないくらいのカロリーもさらに制限する必要があるでしょうが…。しかし、そんなことをしなくともこれまでバランスの取れた食事をとって、レースでしっかりパフォーマンスを出せていた自分を褒めてあげたいと思います。

 特定の食事や食品群を制限するのは、体と精神にとって健康的ではないということは、これまでの体験でしっかりと実感してきました。

 以前、炭水化物を制限していたのですが、健康的な体重を維持できず、かなり惨めな状態でした。適度にあらゆるものを食べて、体重が安定してからは、ずっと幸福度が高まりましたし、何か大切な機会を逃しているような気分になることはありませんでした。

 この挑戦を終えてからのその後も、皆さん気になるところでしょう。

 試していた1カ月間ほど、厳しいことはしていません。ですが、糖分に気をつけるようにはなりました。そして、栄養成分表示をしっかりチェックするようになりました。

 ふと気づくと、なぜか私のデスクに上に置かれているチョコレート(きっと誰かが差し入れで置いて行ってくれたんでしょう)などには、「本当にこれをいま食べる必要があるか?」と、自分に問いかけるようにしています。さらに、あまりアイスクリームを買い溜めしないようにもなりました。そしてもちろん、以前と同様にたくさん走っています。

 「何でも好きなものを食べていい」というわけではありません。ですが、良質なワークアウトを終えた後ほど、おやつがこの上なくおいしく感じるものです。

Source / MEN'S HEALTH US
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。