中国・四川省の大英県(だいえいけん)では現在、エンジニアや作業員を含む大規模なチームによって、あのタイタニック号が再建中です。つまり、長さ269.06メートル幅28.19メートルの精巧なるレプリカがオリジナルと同じように建造中ということ。

 一体なぜでしょうか? 中国版映画『タイタニック』を製作するのでしょうか? その答えはちょっと近いです…なんと中国側は、1500人以上の命を奪った世界で最も有名な海難事故のひとつを「テーマパークの目玉」にしようとしているのです。

 1909年3月31日に起工し1912年3月31日に竣工、そして1912年4月10日に処女航海へと旅立ったホワイト・スター・ライン社保有の正式名「RMS Titanic」号は、当時の記録によれば1912年4月14日午後11時40分、北大西洋上を航海中に氷山に衝突。大量の水を取り込み始め、翌日の午前2時20分に沈没しました。

中国でタイタニック号が再建される「今回は本当に沈むことはない」
NOEL CELIS//Getty Images

 ジェームス・キャメロン監督が1997年に映画化したこともあり、そのストーリーを知らない人はいないと言っても過言ではないでしょう。移民・貧困・不公平などをテーマにした、ある種、悲劇と言えます。そしてこれまで、そのような痛ましいストーリーを題材にしたテーマパークは見当たらないでしょう(バンクシーが企画した期間限定のテーマパーク「ディズマランド」は除いて…)。ですが、四川省大英県にオープンしたテーマパーク「Romandisea Seven Star International Cultural Tourism Resort」に、目玉となるアトラクションとして新たなタイタニック号、その名も「Titanic inaffondabile(沈まないタイタニック)」が加わろうとしているのです。

 この中国のタイタニック号はテーマパークの訪問者に、ジャックとローズが「飛んでいる」と表現した印象的なシーンに使われた船首から、レストラン、桟橋、広い室内など、オリジナルのタイタニック号にあったすべてを提供するということ。また、835室のキャビンは実際に宿泊することも可能で、複数のシアター、バンケットホール(宴会広場)、さらにはスイミングプールも併設される予定で、「五つ星のクルーズ船サービス」が受けられるということ。

 オリジナルとの唯一の違いは、この豪華客船が海をわたることはなく、海岸から何百キロも離れた内陸部の貯水池に停泊するということだけでしょう。ですがその港は、映画内でディカプリオ扮するジャックが賭けでチケットを手に入れ、船へと乗り込む英サウサンプトン港の実物大レプリカになるということです。

中国でタイタニック号が再建される「今回は本当に沈むことはない」
Getty Images

 2016年に作業が開始されたこの奇妙なプロジェクトは、10億元(約170億円)以上という多大な費用がかかっています。その中でも何より、材料にコストを贅沢にかけているということ。鋼材だけでもすでに、2万3千トン以上が使われていると推定されています。本物のタイタニック号は、1912年4月10日に前出の英サザンプトン港からニューヨークに向けて処女航海に出発しました。当時、この大きさもある客船は存在していませんでした。

 このレプリカの建造を担当しているのは、オーストリアのブルースターライン社です。この会社は2012年4月に、「タイタニック号の処女航海100周年を記念して、『タイタニックⅡ』を建造する」と発表したオーストラリアの大富豪クライブ・パーマー氏が会長を務めている会社です。さらに、「初代タイタニックが出航した英南部サウサンプトンと目的地だった米ニューヨークの間を運航するほか、世界各国の港を回る旅も計画されている」とも発表しています。当初は、「2016年に出航予定」とされていましたが、その後、資金関連のトラブルによって中断されていました。そうして現在、このようなカタチでプロジェクトは進んでいるというわけです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
China builds full-scale Titanic ship replica in landlocked Sichuan as new tourist spot
China builds full-scale Titanic ship replica in landlocked Sichuan as new tourist spot thumnail
Watch onWatch on YouTube

 ですので、この「沈まない船」と命名された新たなタイタニック号はきっと、このままアジアのリゾートにおけるアトラクションおよび宿泊施設のままでは終わらないでしょう。では、アジアの川に初めて出航するのはいつになるのでしょうか? それに関しては、現段階では明確にはわかっていません。ですが、建設を担当しているブルースターライン社は「2022年に実現する」と予測しています。これは、どこまでの範囲が実現できると言っているのでしょうか?

 しかしながら現在のパンデミックの影響によって、再び予定が遅れる可能性も否定できません。これは冷静に見守るしかないでしょう。

Source / ESQUIRE IT
※この翻訳は抄訳です。

esquire japan instaram

Esquire Japan Instaram