記事のポイント

  • 世界が人為的な要因も大きく加わっての気候変動激化を回避するためには、「各国は化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を、早急に進めるべき」という考えがメジャーとなっています。
  • このたびポルトガルは、2023年10月末から11月にかけての連続149時間、太陽光・風力・水力発電を組み合わせ、国全体が必要とする以上の再生可能エネルギーを供給し、再生可能エネルギーを活用した見事な例を示しました。
  • 同国は風力タービンを改良し、太陽光発電の生産量を拡大。そして、最後の施設となっているガス発電所を閉鎖することを計画しています。

ポルトガルの取り組みが示す
再生可能エネルギーの可能性

世界は、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行しようと、日夜そのプロジェクトを推し進めています。一部の国は、その飛躍的な普及に成功しましています。ですが、多くの国は残念ながら遅々として進んでいないようです。

ここに成功例を挙げましょう。ポルトガルは11月の1週間だけ、再生可能エネルギーで国のエネルギーを全てをまかなうことに成功したようです。それは、風力・太陽光・水力発電を合わせた再生可能エネルギーによって。同国の送電網運営会社Redes Energéticas Nacionaisによれば、これらの再生可能エネルギーで1102GWh(ギガワット)を生産し、産業用と家庭用の両方で必要な量(840GWh)を262GWh上回っての供給を成し遂げたということ。

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これは同国が2019年に出した結果、「再生可能エネルギーで131時間稼働した」という過去の記録を上回るものでした。さらに、今回のテストの内95時間は余剰エネルギーをスペインへと輸出したということ。予備としてガス発電所がスタンバイしていたということですが、ポルトガルの再生可能エネルギーのインフラはこのタスクに十二分に対応できることを証明しました。

現地時間2023年10月31日午前4時から11月6日午前9時まで実施されたこのテストは、欧州連合(EU)の加盟国の中でも環境に配慮している国ポルトガルの気候政策が、いかに効果的であるかを示したと言えるでしょう。

ポルトガルは1990年代に陸上風力タービンの建設を開始し、2016年にはEUの他の国よりも5年早く、「2045年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量を正味ゼロ)にする」という独自の目標を設定しています。また、「2030年までに全ての石炭火力発電所を停止する」と約束しているも、これを9年前倒しで達成しています。

また、1万2000枚以上のパネルで建設されたヨーロッパ最大(2022年5月時点)の浮体式太陽光発電をポルトガルは所有しており、同国は太陽光発電と水素発電におけるエネルギー生産能力を倍増させることも掲げています。つまりポルトガルは、国が一体となって本気で取り組んでいるということです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Portugal Builds Europe's Largest Floating Solar Park
Portugal Builds Europe's Largest Floating Solar Park thumnail
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同国は「2030年までに、エネルギーの85%を再生可能エネルギーでまかなう」とも目標としていますが、(最近のこうした偉業もありますが)これに関しては容易ではないでしょう。

その理由の一つは、風力発電に適した沖合の一等地の多くがすでに占有されているからです。ですが、クリーンエネルギーへの移行と気候危機の解決策を報道するニュースサイト「CANARY MEDIA」によれば、「旧式のタービンの多くを新型タービンに交換することで、風力発電量を大きく増加させることが期待できる」と言っています。

この149時間の記録更新は確かに素晴らしい結果です。が、季節的な利点があったことも忘れてはなりません。テストは秋の半ばに実施されたため、夏や冬に経験するような高い冷暖房需要がなかったのです。比較的穏やかな季節に十分なエネルギーを供給するのと、猛暑や寒波に見舞われている最中に継続的に電子を供給するのとでは、全く別の話になるでしょう。

とは言え、ポルトガルの149時間に及ぶ再生可能エネルギー下での生活実現は、希望に満ちた未来の姿と言えるはず。このように各国が一度にメガワットクラスの再生可能エネルギーを供給できるようなシステムを構築することができれば、いま人類が直面している気候問題への対策もよりクリアに見えてくるのではないでしょうか。

Translation & Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

From: Popular Mechanics