スイスの時計メゾン「AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)」は、アメリカ・ヒューストン出身のヒップホップアーティスト、トラヴィス・スコットが設立したレコードレーベル兼ブランド「CUCTUS JACK(カクタスジャック)」との新作コラボレーションモデルの詳細を発表しました。

AP初のブラウンセラミックケース

スコットが「The Chocolate AP(チョコレートカラーのオーデマ ピゲ)」と呼ぶこの新作「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー オープンワーク “カクタスジャック”」は、カクタスジャックを象徴するカラーであるチョコレートカラーで彩られ、オーデマ ピゲ初となるブラウンセラミック製です。

トラヴィスのカクタスジャックワールドが盛りだくさん

トラヴィス・スコットとオーデマ ピゲのコラボ時計
Audemars Piguet

ケース径は41mm。その中には、カクタスジャックのグラフィックにちなんだデザインディテールが数多く取り入れられています。カレンダーと週表示のタイポグラフィは、スコットが手描きした文字をもとにしたもの。曜日を表示するサブダイアルの針は、カクタスジャックのロゴのデザインがモチーフです。

6時位置に配置されたムーンフェイズには、ブランドのトレードマークである“口を縫われたスマイリーフェイス”が月を表現しています。夜光塗料が施され、暗闇でブルーに輝きます。ベルトはカーフスキン製で、「Audemars Piguet」と「Travis Scott」のシグネチャーが刻印されたピンクゴールド製のフォールディングバックルを備えています。

ムーブメントはキャリバー「5135」

ムーブメントには自動巻きキャリバー5135を搭載。このムーブメントは、月の日数を自動的に考慮し、うるう年であっても正確に日付を表示できるほか、2100年まで手動による調整が不要となっています。スケルトン仕様でケースバックからは、キャリバーのオープンワークの構造を楽しむことができます。

“あの曲”を連想させる「Utopia」の刻印も

ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー オープンワーク “カクタスジャック”
Audemars Piguet

ケースバックには「Royal Oak Quantieme Perpetuel」「Limited Edition of 200 Pieces」の刻印とともに、「Utopia is a state of mind」(ユートピアは心の中にある)と刻まれています。ここにあるUtopiaですが、スコットが今年(2023年)7月にリリースしたアルバムのタイトルも同じ「Utopia」。そこにはファンの間でちょっとした物議を醸した、いわくつきの楽曲「Meltdown」が収録されています。

どんな曲かというと、トラヴィスの元恋人カイリー・ジェンナーとの交際が噂されている「ティモシー・シャラメを揶揄しているのでは?」と思わせるライムが確認できるというのです。問題となったのは以下の一節になります。

“Chocolate AP and chocolate the Vs (Vs), got the Willy Wonka factory (Vs) / Burn an athlete like it's calories, find another flame hot as me, bitch”

要は、ティモシーの新作映画(『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』)で彼が演じるウィリー・ウォンカを引き合いに出し、「(そんな奴ではなくて)俺のような新しい恋人を見つけろよ」と歌っています。

ケースバックに刻まれた「Utopia」がこの曲を指しているのかどうかは不明ですが、“Chocolate AP”というライムも確認できるあたり、巧みなマーケティング戦略であるとも言えるでしょう。

ポップカルチャーに新たな爪痕

ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー オープンワーク “カクタスジャック”
Audemars Piguet

1875年にスイスのジュウ渓谷で創業したオーデマ ピゲは、ヴァシュロン・コンスタンタンやパテック フィリップと並ぶ世界三大時計ブランドとも称されます。この「ロイヤル オーク」をはじめ「CODE 11.59」など、語り継がれる名作の数々を発表してきました。ですがそんななか、ポップカルチャーにおける存在感を意識したブランド展開も怠っていません。これまでにもミュージシャンでプロデューサーのマーク・ロンソンやマシュー・ウィリアムズ(ファッションデザイナー)、マーベル・シネマティック・ユニバースとのコラボシリーズを発表してきましたが、今回のトラヴィスとの新作はそれらに続く新作モデルという位置づけとなります。

スコットはリリースの中で、自身の手掛けた今回のコラボモデルについて次のようなメッセージを寄せています。

「自分にとって時計づくりとは、エンジニアリング、ファッション、テクノロジー、デザインを掛け合わせた究極の存在です。精密さ、職人技、そして完璧なタイミングの調和…。今回のコラボレーションに対して、私はサンプリングやビートを始めるのと同じように取り組みました。古典からインスピレーションを得ながら、革新を取り入れて、それらを未来へと押し進めるのです。この時計はロイヤル オークの新たなアイコンとなるでしょう。この結果を表現するには、感無量という言葉以外見つかりません」

そして、11年間の活躍を置き土産に退任するオーデマ ピゲのフランソワ=アンリ・ベナミアスCEOに向けて、スコットは次のように語っています。

APのCEO“ブラザー”フランソワにとって、これが最後のプロジェクトとなるので、さらに壮大なものになるね。僕たちは彼を、超壮大なマイクドロップ(マイク落とし)で送り出すんだ…LETTTSSSSS GOOOOOO」

そして残念ながら、ティモシー・シャラメに対するコメントはいただけませんでした…。

この腕時計は世界200本限定。日本における価格は要問合せですが、アメリカでの販売価格は20万1000ドル(約2977万円)となっています。ご参考までに。

Source / Esquire UK
Edit & Translation / Ryutaro Hayashi
※この翻訳は抄訳です