まだ歴史の浅いこの新興企業AeroEdge(エアロエッジ)株式会社が、いかに世界的大企業から信頼を得て、対等にビジネスで勝負できているのか…2回連続のリポート、その後編です!

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AeroEdge(エアロエッジ)株式会社取締役副社長兼COOの次重彰人(じじゅうあきと)さん。チャーチルの名言「向上とは変化することである」ではありませんが、常にポジティブに会社の仕組みを動かしながら完璧を探している…そんなポジティブな口調で会社の方向性をさらに教えてくれました。

AeroEdge【後編】「人材のシェア」で、優秀な人材をフレキシブルに獲得する。 

…前編からのつづき(>>>前編を再確認する

編集部:最先端の技術で最先端のモノづくりをされているだけでなく、働き方にも新しい取り組みをされているそうですね。 

次重彰人さん(以下敬称略で次重に):東京の大企業なら人材採用はシンプルでもいいのかもしれない。ですが、私たちのような地方の中小企業には、工夫が必要でして…。「人材をシェアする」という考え方をもっています。必ずしもフルタイムではなくても、パートタイムであっても、私たちが必要だと思う人材、また、うちでやりがいを感じてもらえる人材であれば、フレキシブルに雇用形態を整えます。  


編集部:最先端の働き方です。就職がすべてではない、「人材をシェアする」という考え方はこれから先、重視されるでしょう。フリーの人たちの集合で成立する事業があるなら、そこで集まってやればいい、というのが将来的な考え方なのですね。 

次重:そう思います。ただ、私たちはモノづくりの、しかも航空宇宙産業という管理がとても厳しいオペレーションを構築する必要があります。ピンポイントでのエキスパート人材と長きに渡り企業文化を創っていく人材とのバランスが鍵になると思います。  


編集部:大手企業も増えてきていますね。シンクタンクのMDD研究所が2015年の時点でビジネスパーソン7724人に調査をしたら、そのうちの14%が副業をしているという結果になったそうですね。あまり知られていませんけど、大手企業の日産や富士通、花王など、以前から副業を認めている会社は少なくないのです。でも、まだパラレルワーカーが一般化してないうちに、そのマインドがあることは素晴らしいですね。(次ぺージへつづく)

「構想力と提案力」で 世界から支持される中小企業に成長。

次重:今、いろいろな業界で世界から求められていることは、構想力と提案力です。「これをやって」とクライアントからリクエストされたときに、「お客様が本当に求めているものは、これじゃなくて、この先にあるこっちのほうが欲しいのではないですか」といえる力です。航空宇宙業界でも、このような提案力は求められており、弊社でもサプライチェーン全体を加味した最適な体制を構想・構築し、提案する力を伸ばそうと非常に力を入れています。これも私たちが世界から支持される理由のひとつです。市場やクライアントから求められるレベルが高まった今、私たちには大きな変化が必要でした。そこで人材の獲得のために、多様性のある働き方を模索する結果になったのです。 


編集部:新しい会社のよりよき姿を、中小企業でのひとつの事例にしたいという思いがあるのですね。 

次重:そこが一番ですね。とはいえ現実はなかなか厳しく、今AeroEdgeに集まっている人間で前職より年収を下げてうちを選んでくれた人もいます。それでもタレントフルな人材が「AeroEdgeで働き続けたい」と思ってくれるよう新しいことに挑戦し続けなければなりません。その結果として金銭的なインセンティブと非金銭的なインセンティブの両方を提供していきたいと思います。 

掘っ立て小屋⁉で、海外クライアントと契約締結 

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広々と解放感あるれる本社工場のオフィス。壁3面にホワイトボードが…ここで最先端の経営戦略が立てられています。 

編集部:ある程度の仕事をこなしてきた人たちは、「もっとやりがいがある仕事を。もっと任される仕事を。」と思うのでしょう。それができる環境があればそこでやってみたいと…。そういう人たちがAeroEdgeに集まってきているのでしょうね。そして、いきなり海外のクライアントと取引するのも大変なことではないでしょうか? 取引先も日本の中小企業と直接交渉するなんて、初めての経験だったわけですよね? そこに障害はなかったのですか? 

次重:最後の最後まで、AeroEdgeとの長期契約は資本力が不安と言われていました。「日本でも栃木県足利ってどこだ?」って感じで(笑)。今は資金調達もさせて頂き、ある程度の体裁も整ったのですが、当初は掘っ立て小屋のような雰囲気でしたから、クライアントも契約締結には相当な勇気が必要だったでしょう。(次ページへつづく)

何よりも大事なのは 、「人材」と「パッション」  

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最新の工作機から、精密部品をつくり出す工場。社員一人一人が快適に働ける環境だからこそ、一人一人の向上心が保たれていることが再確認できます。 

編集部:AeroEdgeの将来の展望は、世界に通用する中小企業とは何か、という見本作りということでしょうか。  

次重:そうですね。中小企業であることにもこだわっています。新しい取り組みを機動的に行える中小企業発で日本企業の在り方を模索していきたい、と。  


編集部:本当のモノづくりを大切にした上で、経営戦略の見本となるシステムの最先端になり、後々、自社の製品を作るということですね。そういった体制のなかで経営側として一番大切なことは何だと思いますか?  

次重:私たちが掲げているのは、『ゼロからイチを創る』というミッションです。それには創造性や自主性が大事で、結局、最後の最後はパッションだと思います。そういうパッションがある人材と如何に協奏できるか。私たちは技術の会社なので、研究開発をやり続けるのは当たり前。そしてそれを実現させるのは結局、人なんですよね。AeroEdgeで働きたい人が自ら集まってくれる、というのはもちろん理想なのですが、熱意があればお金なんて関係ない、というのは現実的ではありません。ですから、制度設計や働き方の多様性を認めるといったことは、常に経営側で話し合っています。やる気のある若者が、実力次第で確りとチャンスが貰えるような企業を作りたいと考えています。  


編集部:最後に、これからAeroEdgeに新しくジョインする方々は、同じパッションで繋がるとは思うのですけど、どういった気持ちをもってほしいですか?  

次重:自主性でしょうか。陳腐な言葉になってしまうのですが、待ちの姿勢より攻めの姿勢。よくメンバーに言っているのは「仮に倒れたとしても前。ひたすら前傾姿勢で尻もちつくな」ということです。そういう気持ちをもってほしいと思っています。(次ページへつづく)

まさに「ゼロからイチを創る」企業のAeroEdge。 

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品質保証部の川田さんと打ち合わせをする次重さん。自らの意見を率直に出し合うことで、会社の発展もスピードアップするといいます。
 

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これからの拡大も物語る、余裕のスペースをもった工場内。

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和気あいあいの雰囲気のなかにも、常に合理的かつ建設的な会話が繰り広げられていました。

 
 AeroEdgeには、日本のストロングポイントを活かしながらも、グローバルなビジネスでも対等に渡り合える新たな中小企業のあり方、そのヒントに溢れていました。 

 
 ものづくりに魂を込める心、常に最高のモノをつくろうとする“あきらめを知らない”魂…、そこに人を大切にする思いやりが加わった企業ではないでしょうか。そして、古きよき伝統も大切しながら、そこに固執することなくさまざまなアイデアで会社経営を熟成していく心意気をもった世界的にも注目の企業ではないでしょうか。 

 
 そこには、AeroEdgeのミッションである「一人ひとりが自主性・創造性を発揮し、他人がやっていない新しいことに対し、執着心をもって取り組むその結果、世の中に新しい価値を創出し、人々の幸せに寄与する」という思いに溢れていました。 

 メンズ・プラスは、今後もAeroEdgeに注目していきたいと思います。


AeroEdge株式会社 

住所:栃木県足利市寺岡町482-6 
https://aeroedge.co.jp/  

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Photograph / Setsuo Sugiyama
Interviewer & Text / Kazu Ogawa