フェラーリのエンブレムと言えば、「跳ね馬」として有名です。そのフェラーリですが、2022年の発売を予定しているブランド初のSUVを「プロサング(Purosangue)」と名づけることを2018年に発表しています。

 「プロサング」とは、イタリア語で“純血”や“サラブレッド”を意味します。これは、現在開発中のSUVが正真正銘フェラーリの正統を継ぐものであることを高らかに宣言しているかのようです。

 しかしながら、1つ問題が生じてしまいました。実は、2013年からこの名前はアンチドーピングを推進する「プロサング財団」によって、すでに使用されていたのです…。

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「プロサング」は、フロントミッドシップになるとの予想がささやかれています。

 イギリスの「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)」紙によると、フェラーリはこの名前を使用する権利を求めて、訴訟へと動いているとのことです。かと言って、プロサング財団がこの名前を商標登録したことに対して異議を唱えているわけではありません。「過去5年間において、この財団は『プロサング』という商標を独占できるほどには、商業利用をしていないのではないか⁉」と主張しているのでした…。

 財団側の弁護士は「フィナンシャル・タイムズ」紙のインタビューに対して、「これまでにもアディダスとの間で、この商標を使用する継続的なパートナーシップを結んでいる」と話しました。また、ケニアにおけるキャンプの運営など、海外でも精力的に活動を続けているとも主張しています。

 フェラーリとプロサング財団はこれまでにも協議を重ね、双方にとって友好的な解決策を模索しました。しかし、協議は不調に終わり、財団はフェラーリの欧州商標出願をブロックしたのでした…。

 そこで、これまでにも数々の訴訟で、自身のブランド保護に努めてきたフェラーリは、プロサング財団に対しても法的手続きを開始したわけです。今後、フェラーリ側が財団に対して名前の変更を強制するかどうかは不明ですが、過去に似たようなケースがありました。皆さん、覚えていらっしゃるでしょうか? テスラ「モデル3」の事例です…。

 「S」「E」「X」「Y」という名前のクルマを4台発表しようとしていたテスラは、「モデル3」を本来ならば「モデルE」として発売する計画を立てていました。ところが、フォードが「モデルE」の商標を保有していたため、テスラは名称変更を余儀なくされていたのでした。

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 もちろん今回のケースは、フェラーリにとって初めてのブランド訴訟ではありません。以前にも、フェラーリを不快な投稿で揶揄(やゆ)した有名インスタグラマ―を訴えています。

 2014年にはカナダ出身のアーティスト、デッドマウス(Deadmau5)が愛車のフェラーリ「458スパイダー」に個性的なラッピングを施し、「プラーリ」として発表していたことで、ブランド価値を貶めたとして法的措置を取ってもいます。

 果たして、今回のフェラーリとプロサング財団との一件は、どちらの「純血」が守られるのでしょうか…?

Source / Road & TrackCarScoops
Translation / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です。