近年、自動車メーカーの出展が相次ぎ、この産業内での新たなテクノロジーを発表する場にもなっているアメリカでのテクノロジー見本市「CES(Consumer Electronics Show)」。ネバダ州ラスベガスで日本時間1月10日(水)から開催された「CES2024」でも、早速驚きの技術が発表されました。

発信元はメルセデスAMG。ドイツ・シュトゥットガルトに本拠を置くこの名門自動車メーカーが発表したのは、車の運転に合わせて車内に音楽が奏でられる「MBUX SOUND DRIVE」と呼ばれるシステム。車内で音楽を「既存の楽曲を自発的に選曲して聴く」のではなく、「ドライブフィールに合わせ創作された楽曲を(ある種)受動的に聴く」というものですが、これは一体どういうことでしょう?

夜道を走る「mbux sound drive」を搭載したメルセデスamg
Mercedes-Benz

メルセデスAMGが
奏でる音楽の旅

同社のリリースによると、「一連のセンサーと高度なソフトウェアが運転中の車が行う動き(加速やカーブ、ブレーキングや回生ブレーキなど)を解釈し、それらを音楽表現に変換する」とつづられています。つまり、「車がバーチャルな楽器となって、運転することでドライバーがリアルタイムで『作曲』を促し、そうして出来上がった曲が車内に流れる」というのです。

EV化や自動運転の開発とともに、車内空間のエンターテインメント性充実への動きは、これまでにも多くのメーカーで取り組まれてきました。ですが、車の運転に音楽が反応し、車が仮想楽器になるというアイデアはこれまでに聞いたこともありません。なんだか、全く新しい未来が訪れる予感。聞けば、これは最先端のテクノロジーと音楽と車の融合によるこのプロジェクトThe Black Eyed Peasブラック・アイド・ピーズ)のメンバーで音楽プロデューサーwill.i.am(ウィル・アイ・アム)とのパートナーシップによって誕生したものとのこと。彼とメルセデスAMGとの関係性の親密度は、2022年5月に発表されたメルセデスコラボレーションモデル「WILL.I.AMG(ウィル・アイ・エイエムジー)」を見れば理解できるでしょう。

エキサイティングで
インタラクティブなドライブを

クリエイティブアーティストとしても高い評価を得ている彼は、リリースで次のようにコメントを発表しています。

「あなたの車が、音楽の旅を生み出す楽器となる世界を想像してみてください――このMBUX SOUND DRIVEはドライビングとサウンドテクノロジーを強固に結びつけ、ドライバーが運転するだけで音楽を再構築することができます。私は作曲家、プロデューサー、ソングライターたちがこのシステムを活用して、新たな作品を創作したり、クラシックをドライブ用に再構築したりするのを楽しみにしています。このようにドライバーに対し、新鮮でエキサイティングな、そしてインタラクティブなリスニング体験を提供します」

mbux sound driveを搭載したメルセデスamgの車内
Mercedes-Benz

気になるのは、今後の導入への道筋です。同社の発表によると、2024年半ばから世界中で開始され、第2世代MBUXシステムを搭載したメルセデスAMGおよびメルセデス・ベンツ車で利用可能になるとのこと。日本での展開の詳細については、今後の続報に期待しましょう。