パフォーマンスカーにおけるドイツの名門、メルセデスAMGによって生み出され、惚れ惚れするばかりの性能を誇る唯一無二の存在が今、パワートレインの簡素化とハイブリッド化によって新たに生まれ変わろうとしています。

次世代型「C63 AMG」は、先代が搭載していた4.0リッターV8ターボチャージャーエンジンを2.0リッター直列4気筒ターボ・ハイブリッドに積み替えると見られています。そう遠くない未来、つまり2025年の完全電動化に際し、ガソリンエンジンを完全に捨て去ることになる予定のAMGです。そして、先日発表されたコンセプトカー「ヴィジョンAMG」によって、その未来像が投影されることになりました。

まず目を引くのが、エアロダイナミクスによって設計されたエレガントで滑らかな「ヴィジョンAMG」のボディ、そして広いホイールベースです。その風貌はまさに、“未来のクルマ”と言っていいでしょう。リアウィンドウとサイドウィンドウには、ボディと同じアルビーム・シルバー(alubeam silver)の塗装が施されています。そして窓としての機能を備えつつも、その滑るような外観を際立たせているのです。

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MERCEDES AMG
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MERCEDES AMG

全体としては、今年の1月3日(現地時間)に公開された「ヴィジョンEQXX」のコンセプトが受け継がれており、写真には示されていないものの、可動式のリアスポイラーが装備されていることをメルセデスは明かしています。

しかしながら、この「ヴィジョンAMG」の駆動系に関しては電動であること、“AMG EA”という新型プラットフォームが採用されていること、高電圧バッテリーが搭載されていること、「ヴィジョンEQXX」同様の小型で軽量なアキシャルフラックスモーターが用いられていること以外、ほとんど明らかにされていません。

まるで美しく磨かれた宝石のようにも見える「ヴィジョンAMG」のボディですが、そこにはグラフィカルで華やかな演出も施されています。中でも注目はAMGの伝統を思わせるパンアメリカーナグリルを模したノーズ部分のパネル。そこには、縦長のスリットの奥にはLEDライトが仕込まれています。

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MERCEDES AMG
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メルセデスの象徴である「スリーポインテッドスター」のエンブレムを想起させる左右のヘッドライトが、その間を走る繊細なライトバーによって接続されています。背後に目を向ければ、戦闘機のアフターバーナーを連想させる3つの円形テールランプが、斬新なリアディフューザーの真下に配置されています。

活躍目覚ましいF1チームのイメージであるシルバーのカラーリング、アクアのアクセント、車体後部にあしらわれた透かし模様のようなスリーポインテッドスターの柄が、そのまま「ヴィジョンAMG」にも採用されてもいます。22インチホイールもまた、2022年のF1シリーズより導入されることになるホイールカバーと同様、隙間の無い空力的なデザインを流用したものでしょう。

これが将来のAMGの姿を予期させるものであるか否かについては、確証を得られていませんが、2025年の完全電動化の際には、このコンセプトカーのデザインが引き継がれることを期待せずにはいられません。

Source / CAR AND DRIVER
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です