BMWジャパンが再び日本の匠とコラボレーション

 日本の匠とドイツのクラフツマンシップが融合する、「BMWと日本の名匠プロジェクト」。その第1弾として企画されたのは、BMWの「8シリーズグランクーペ」に漆芸家の岡田紫峰氏が手掛けた蒔絵螺鈿細工(まきえらでんざいく)が施されたBMW「8シリーズ グラン クーペ KYOTO EDITION」でした。価格は2150万円。オンラインでの販売にもかかわらず、限定3台は瞬く間に完売という驚きの結果に。

 そして、「BMWと日本の名匠プロジェクト」の第2弾となるのが、今回ご紹介する「BMW 750Li xDrive PURE METAL EDITION」です。

 この特別なモデルは、人間国宝の奥山峰石氏が手掛ける「打ち込み象嵌(ぞうがん)」という伝統工芸を、BMWの7シリーズの中でも最もラグジュアリーなグレードとなる「750Li xDrive Excellence」をベースモデルとして施したもの。ちなみに「Li」というのがロングサイズ、「xDrive」とは四輪駆動のことを表しています。

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「ピュア・メタル・シルバー」と名付けられたこのカラーは、BMWの特別なオーダーメイド・プログラム「BMW Individual」だけの特別なボディカラーです。

 ベースとなった「750Li xDrive Exvellence」には、BMWのオーダーメイドプログラム「BMW Individual(インディビジュアル )」によって、特別な塗料で深みとツヤを出すボディカラー「ピュア・メタル・シルバー」が採用されています。特別な塗装仕上げによるコントラストが、塊感のある深い金属の質感と色調を見事に表現しています。

人間国宝による伝統工芸をまとった7シリーズ

 この特別なクルマにさらなる花を添えるのが、奥山氏が丹精を込めてつくった枝垂れ桜の「打ち込み象嵌」です。「打ち込み象嵌」とは、銀の板に赤銅と呼ばれる金に銅を混ぜた合金に、下絵を描いたものを切り抜いて銀板に接合。木づちや金づちで丁寧に叩き込んで仕上げるという細やかな技法のことです。

 そうしてつくられた枝垂れ桜の作品が、ダッシュボードの上部分と前後左右のドアトリムに施されています。モチーフとなったのは、福島県にある三春滝桜の枝垂れ桜で、奥山氏は毎年この桜を楽しみにしているそうです。さらに、この作品をつくるために何度も現地に足を運び、さまざまな状態の桜を観察。桜のイマジネーションのレパートリーを蓄えていきました。その中でドアトリムには、冬の枝垂れ桜のイメージが投影されています。

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内装は人間国宝(重要無形文化財保持者)の奥山峰石氏が、この特別なモデルのために表現した粋を極めた匠の世界です。
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ダッシュボード上部には、福島県の三春滝桜の枝垂れ桜をモチーフにした奥山氏の作品が。
 
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冷たい印象のメタルの上に春を待ちわびる桜の枝の絵が描かれています。
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専用アクセサリーとして用意された、純銀で滑らかな曲線を描き出したワインカップには、可憐な薄紅色の桜の花が生き生きと咲き誇ります。
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 そして、専用アクセサリーとして特注された2つのワインカップ。純銀製で中が金色。カップの外側には、奥山氏による美しい満開の桜が描かれています。

 インテリアには、その高級感に思わずうっとりするメルノレザーを使用。これはドイツの高地で育った牛の革を使った自然な風合いを出す高品質のレザーで、シートの色は白と日本らしい藍色、ダッシュボードにも藍色を使用しています。そして、ピアノブラックのトリムの上に、奥山氏による「打ち込み象嵌」のアクセントが加わります。

 「この作品は季節の移ろいを愛(め)でる日本のお客さまの感性や、美意識にうったえかけます。春を待つ冬の桜の木から満開の桜が咲くというストーリーがありますが、自然の息吹が感じられ、日本人の心の琴線に触れる作品だと思います」と話すのは、BMWジャパンのブランドプロダクトマネージャーの御館康成氏です。

奥山峰石氏「つくることは楽しみにあふれていました」

 この作品を手掛けた奥山峰石氏にも、お話をうかがうことができました。奥山氏は、自然の情景をモチーフにした文様を切り嵌め象嵌(きりばめぞうがん)や打ち込み象嵌によって表現する高次元の技術が評価され、1995年に重要無形文化財「鍛金」保持者(人間国宝)に認定されています。

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 「この作品は、銀に模様を切り抜いて溶接し、叩き込む“打ち込み象嵌”です。今回は、桜の花と枝を別々に切り抜いてつくっています。まずは、枝だけのものをつくっています。これは手間がかかるんです…。BMWさんからドアトリム用には、「枝垂れ桜の枝だけのものを」というオーダーを受けてデザインしました。福島県三春町の美春滝桜は毎年見に行きますが、2020年は何度も足を運びました。とにかく、デザインが一番難しかったですね。銀板に木の枝は赤銅を、グラスは打ち込み象嵌、桜の花は掘り施した真金です。シャンパングラスは純銀製で、グラスの中は金メッキ。このグラスは金属なので、口当たりがイイですよ」

 こんな時代だからこそ、美しく儚い桜の存在が心に響きます。日本のものづくりは本当に美しい。だからこそ、少しでも多くの人にこの作品のことを知っていただきたいし、機会があれば実車を見ていただきたいと思います。

 気になる販売方法ですが、BMWオンライン・ストアにて1月29日11時から行われます。限定2台。納車は2021年春ごろの予定で、価格は2650万円。

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 ちなみに、わたくし吉田のyoutubeチャンネルでも、「BMW 750Li xDrive PURE METAL EDITION」についてご紹介していますので、ぜひご覧ください!

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
【日本の匠最高峰】『BMW7シリーズ ピュアメタルエディション』日本の匠 最高峰 金工鍛金家で人間国宝の奥山峰石氏独占インタビュー #吉田由美ちゃんねる #yumiyoshida
【日本の匠最高峰】『BMW7シリーズ ピュアメタルエディション』日本の匠 最高峰 金工鍛金家で人間国宝の奥山峰石氏独占インタビュー #吉田由美ちゃんねる #yumiyoshida thumnail
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◆詳細

  • 名称:BMW 750Li xDrive PURE METAL EDITION
  • トランスミッション:8速AT 
  • 仕様:4ドア、左ハンドル
  • 価格:2650万円
  • 限定:国内限定2台
  • 2021年1月29日(金)11時よりBMWオンライン・ストアにて販売を開始
  • 2021年3月末以降の納車、または受注生産のため7月以降の納車となります
  • 受注期間は2021年3月31日まで

BMW 750Li xDrive PURE METAL EDITION専用ページ


 
TATSU YUASA

カーライフ・エッセイスト
吉田由美

2月23日、岩手県生まれ。短大在学中に「ミス渋谷」、「ミス・チェッカーモータース」、「準ミス・エチュード」など、10個以上のミスコンタイトルを受賞。卒業後、本格的にモデル活動をはじめる。1998年より、モデル業とともに日産ドライビングパークで、セーフティ・ドライビング(安全運転講習)のインストラクターに。3年間務めた後、現在は「カーライフ・エッセイスト」として、著書、雑誌、ブログなどの執筆活動を行っている。