2019年8月29日に「ロサンゼルス・タイムズ」紙は、「20世紀最高の俳優」として評される故マーロン・ブランドが、1994年にロサンゼルスの検察当局に対し、マイケル・ジャクソンの児童性的虐待疑惑について証言をしていたと報じました。そしてポッドキャストサービス「ルミナリー(Luminary)」が公開した、このジャクソンの疑惑に関する番組によれば、ブランドはジャクソンが「子どもたちと関係を持った可能性がある」との認識を示していたようです。 

 1993年にジャクソンが、13歳の少年に対する性的虐待の疑いがかけられたことを受け、ロサンゼルス郡地区検察局は捜査を開始しました。その際、ジャクソンの友人であったブランドへの聴取が行われ、彼がジャクソンの自宅兼遊園地「ネバーランド」を訪問した際のジャクソンの性生活について彼に質問したと明かしたようです。

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 ブランドは宣誓陳述書の中で 、「私がマイケルにまだ経験はないのかと聞くと、彼はクスッと笑っていたようでした」と述べています。さらに、「彼は『ああ、ブランド』と言いました。私が『セックスのほうはどう?』と聞くと、そわそわと戸惑った様子を見せました。そしてマイケルは、父親のことが嫌いだと言って泣き出したのです」とと記載されているとのこと。 
 
 さらに「『誰と仲がいいの?』と問いかけると、『同世代の知り合いは誰もいない。同世代の人は好きではない』と答えました。私が『なぜ好きではないのか?』と聞いても、『わからない、わからない』と激しく泣くので、私は彼をなだめようとしました。できる限り彼を助けようとしたのです」と語ったと記せられています。

  
 ブランドはロサンゼルス郡地区検察局に対し、「マイケルが子どもたちと関係を持ったと結論づけることは、否定することのできない合理的な回答」と述べているのです。ただ当局はその後、原告家族が マイケル・ジャクソン側と2300万ドル(約24億3800万円)で和解したのち検察当局への捜査協力を拒み、訴えを取り下げたということで、事件の藪の中に入ってしまったといういうわけです。 

 このポッドキャスト「Telephone Stories: The Trials of Michael Jackson(テレフォン ストーリーズ:ザ・トライアルズ・オブ・マイケル・ジャクソン)」の制作者であるオマー・クルック氏とブランドン・オグボーン氏は、彼らの番組に関するエピソードを事前に「ロサンゼルス・タイムズ」紙に明かしました。問題のポッドキャストは2019年8月1日に公開され、ブランドに対する聴取の内容もここで初めて明らかになったのです。
 
 ブランド自身も映画『ラスト・タンゴ・イン・パリ 』の共演者マリア・シュナイダーから、性的不法行為で訴えられています。シュナイダーは2007年、悪名高い性的暴力シーンは当初の脚本にはなかったものであり、ベルナルド・ベルトルッチ監督はそのシーンの撮影の意図を直前まで彼女に知らせなかったと明らかにしました。 
 
 シュナイダーは「デイリー・メール」紙に対し、「マーロンは私に『マリア、心配しなくていい、ただの映画だ』と言いました。マーロンは実際にはやっていなかったけれど、あの時に私が流した涙は本物でした」と告白しました。

 また、「私は屈辱的な気持ちになり、正直に言えば、マーロンとベルトルッチ監督の2人に性的暴力を受けているように感じたのです」と、シュナイダーは語っています。 
 
 オグボーン氏は「ロサンゼルス・タイムズ」紙に、「ブランドは、マイケル・ジャクソンの捜査に影響を与えた他の誰とも違う存在と言える」と指摘し、「彼は有名な俳優であり、そして大金持ちだ。マイケルについて暴露発言する他の人々と違って、彼はマイケルを利用しようとは思っていないだろうし、その必要もない…。そして彼は、検察当局にそれまで入手できなかった貴重な内部情報を提供してくれている」と語っています。

 とは言え、先ほども言ったようにこの事件はすべて「藪の中」…英語で言えば“Only God knows the truth.(真実は神のみぞ知る)”であることは変わりありません。

 

 
 

From Esquire UK
Translation / Keiko Tanaka 
※この翻訳は抄訳です。