2019年に公開された映画『ジョーカー』が、世界興行収入10億ドル超という記録を出したことがまだ記憶に新しい中、監督のトッド・フィリップスは2022年6月8日に『Joker: Folie à Deux』と刻印された赤い台本の写真を自身のInstagramに投稿するともに、その続編の製作を明らかにしました。

その台本の表紙にある活字を見れば、脚本はフィリップス監督とスコット・シルバーが再びタッグを組むことが明らかです。さらにその写真に加え、2枚目にはホアキン・フェニックスがその台本を読んでいる写真も含めまれていました。つまり、次回の主演もホアキン・フェニックスであることを暗示しているのです。

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2019年の映画『ジョーカー』公開後、フィリップス監督は続編の製作については、「考えていない」と答えていました。ですが、それからパンデミックが起こり、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が誕生します。すると2021年には、ワーナー・ブラザースは続編の脚本をフィリップスに執筆させる契約を結んだということが報道され、期待に胸を膨らませている人も少なくないでしょう。

そんな中、ウェブメディア「Heroic Hollywood」は2022年1月公開の記事で、「ワーナー・ブラザーは2022年の初めには脚本の第一稿を受け取り、2023年の春に撮影を開始する」と発表しました。ですがその発表から2カ月後、われわれの期待は打ち砕かれます。ウェブメディア「The Ankler」は2022年3月公開の記事で、「脚本の進行に“ちょっとしたつまづき”(それが何かは明らかになっていません)が生じ、フィリップス監督は約束の草稿をまだ1つも出していない」ということが知らされました。

2021年5月、米通信大手のAT&Tはメディア部門のワーナーメディアを分離し、メディア大手ディスカバリーと統合すると発表。以来、合併に向けた準備が進められてきましたが、それが晴れて2022年4月11日(現地時間)に新体制が始動するということで、ワーナーメディア側のジェイソン・キラー最高経営責任者(CEO)は退き、ディスカバリーのデヴィッド・ザスラヴCEOがワーナー・ブラザース・ディスカバリーのCEOに就任することになりました。ちなみにAT&Tは、2018年に映画配給を行うワーナーブラザースおよび有料コンテンツ配信HBOやCNNなどを傘下に持つタイムワーナーを買収し、ワーナーメディア部門としてコンテンツ事業を行っていました。

この一連の動き中、スタジオの方針にも変化がもたらされます。

ザスラフCEOは映画部門を、「ワーナー・ブラザース - ニュー・ライン・シネマ」「DC」「アニメーション」の3つの柱に分ける戦略を打ち出し、それぞれにリーダーを設ける意向ということ。そこで『ロード・オブ・ザ・リング』3部作や『IT/イット』シリーズを手がけてきた米制作会社ニュー・ライン・シネマには、マイケル・デ・ルカとパメラ・アブディが管轄下に置かれ、残る2つの部門のリーダーは未定ということでしたが、ザスラヴCEOは「トッド・フィリップスには今後、DCのアドバイザーとして作品の製作戦略に携わってほしい」と考えているようです。

経営戦略的な要素はウォルター・ハマダが指揮を執り、フィリップスには監督とプロデューサーとして、より積極的な役割を果たすようにすることを目指しているということです。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

『ハリウッド・リポーター』誌によると、フィリップスとザスラヴCEOは強い信頼関係を築いてきているということで、フィリップスは過去10年マーベルを成功に導いてきたマーベル・エンターテインメントのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであり、マーベル・スタジオの社長を務めるケヴィン・ファイギのような役割を新たなDCで担う…と言っていいかもしれません。

そんな中、トッド・フィリップスがジョーカーの続編に「非常に近づいている」というニュースが飛び込んできたわけです。

今回はそれはメディアによるスクープや憶測ではなく、前述のように監督自らのInstagramによって判明したというわけです。そして、その写真とともにアーサー・フレック(ジョーカー)の悲劇の物語の続きを読むホアキン・フェニックスの写真も添えられているとろこも見逃してはなりません…(2枚目の投稿写真なので、スライドに気づかないければ見過ごしていたでしょう)。

重ねて言えば、そこで本作のタイトルも『Joker: Folie à Deux(原題)』であることも明かされています。「Folie à Deux」とは、日本語で「感応精神病(フォリアドゥ=フランス語で二人狂い)」などと呼称される精神障害のひとつ。一人の妄想がもう一人に感染し、複数人で同じ妄想を共有することが特徴とされています。これはジョーカーの仲間が、ここで登場することを示唆しているかもしれません。 それがハーレイ・クイーンになるのか? あるいはバットマンになるのか? は、現段階では不明となっています。

ようやくここで、『ジョーカー』の続編の製作が現実味をかなり色濃く帯びてきたというわけです。そこで、現段階でわかっていることを以下にまとめました。


映画公開日:
『Joker: Folie à Deux(原題)』はいつ公開される?

imagen promocional de joaquin phoenix como joker
Warner Bros

ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、ディズニーのように自社のフランチャイズを盛り上げたいという志を持ち、ジョーカーはその最大の成功例の1つでした。フィリップスがDCユニバースの有力なアドバイザーとなることで、『Joker: Folie à Deux(原題)』が優先的に製作されることは間違いないでしょう。

2023年春に撮影が始まる可能性があり、そうなると公開予定日は2024年となるはずです。うまくいけばの話ですが、あと2年はかかることは覚悟しておきましょう。

映画のあらすじ:
『Joker: Folie à Deux(原題)』はどんな作品になる?

これこそ監督のフィリップスと共同で脚本を制作するスコット・シルバーが、長い間探していた答えが具現化されるはずです。そして、その答えを導き出すのは、そう簡単なことではなかったはず。以下でお話する内容は、一つの憶測であることをご了承ください…。

続編は、『ジョーカー』第一作で省かれたシーンを穴埋めするものか、またはジョーカーという別人格に生まれ変わった後の物語を続けるか…だと考えられます。前者であれば、マーティン・スコセッシ監督の映画に出てくるような70年代80年代のニューヨーク・ゴッサムへ戻るでしょう。後者であるなら、何か新しい真実に驚かされるかもしれません。

『Joker: Folie à Deux(原題)』に、バットマンは登場する?

best batman
Shutterstock/Warner Bros

最大の疑問は、フィリップスとシルバーも頭を悩ませているであろう…この映画に、バットマンは登場するのか? という点です。登場するとしたら、どのバットマンの俳優なのか? ということが最も気になることになります。

DCユニバースの全作品の間に共通性を持たせるために、ジョーカーとバットマンの俳優は同じであってほしいと思うファンがいるはずですが、そう上手くはいかないでしょう。ジョーカーのような独立した映画に、出演してくれるバットマン俳優を探すのは難しいに決まっているからです。『スーサイド・スクワッド』でベン・アフレックが少しだけ出演していましたが、これが再び実現する可能性も低いでしょう…。

つまり『ジョーカー』の続編に、バットマンが出演することはないと思っていたほうがいいかもしれません。それにバットマンの物語の舞台は、ジョーカーとは全く違う…現代的でありながらも半ば未来的な世界なのです。ロバート・パティンソンが主演を務める『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の続編では、バリー・コーガン扮するジョーカーが登場するという噂もあるので…。

またジョーカーが主役の世界に「バットマンが必要か?」と問われると、それも疑問ではあります。

『Joker: Folie à Deux(原題)』のキャストは?

現段階では、本作のキャストは決まっていないようです。唯一確かなことは、トッド・フィリップスとスコット・シルバーが監督・脚本を務め、ホアキン・フェニックスが主演を務めることだけです。

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ToddPhillips//Instagram

『Joker: Folie à Deux(原題)』の予告編とポスター

実際に映画が進行し、公式画像が見られるようになったらここで紹介します。つまりこの記事が常時、『ジョーカー』の続編における最新情報というわけです。

Source / ESQUIRE ES