この20年間、バスケットボールを観続けてきた方なら、マイケル・ジョーダンと共に、2020年1月26日に41歳という若さで亡くなったコービー・ブライアントがいかにリンクしているかを知っていることでしょう。

 そもそもブライアントは、ジョーダンをお手本にしてプレーしていました。2人が、同じチームに属したことはありませんでしたが、キャリアの中で何度も対戦相手となりました。2人共レベルの高い競争心を持ち、チームメイトと切磋琢磨しながら、ほとんどの人生を練習に費やしてきた努力家としても知られています。彼について語る方は皆、口をそろえて「あの男ほどの努力家はいない…」と言います。

 しかし悲劇的にも、2020年1月にブライアントがヘリコプターの墜落事故で、娘のジジと他の7人と共に亡くなる事故が発生します。彼の死後まで、ジョーダンとブライアントがどれほど親密な関係にあったかはあまり知られていませんでした。

 その関係性が広く知られるようになったのは、2020年2月24日に行われたブライアントの追悼式です。ジョーダンは力強いスピーチを行い、一部の人々が驚いたようにブライアントのことを「Little Brother(弟)」と呼んだのです。

 「コービーと私がとても親しい友人だったことに、皆さん驚いているのではないかと思います。私たちはとても親しい友人でした。コービーは私にとって友人であり、弟のような存在でした」とジョーダンは話し、こう続けました。

 「コービー・ブライアントが亡くなったとき、私の一部も亡くなりました。そして、このアリーナや世界中の人々を観ていると、皆さんの中の一部も亡くなったという事実が確認できます。そうでなければ、皆さんもここに来てはいないでしょう…」と。

 この追悼式からおよそ1年強を経て、2021年5月15日にブライアントは正式に、バスケットボールの殿堂入りを果たしました。この殿堂入りの前にウェブメディア「ESPN」は、ジョーダンにインタビューを行いました。そしてその際、ライターのジャッキー・マクマラン氏のおかげで、2人の最後の会話がどのようなものだったかが明らかとなりました。

 インタビューの中でジョーダンは、ブライアントが亡くなる約1カ月前のホリデーシーズンに交わした最後のメールのやり取りを、マクマラン氏に紹介しています。元MVPの2人が現役時代からいかに仲が良かったかは、メールの内容を確認すれば一目瞭然です。

「このテキーラは最高だ」とコービーがメールしてきたのは、ジョーダンがプロデュースしたテキーラ「Cincoro(シンコロ)」のことで、ジョーダンは発売時にブライアントへそのボトルが送っていました。

「ありがとう、ブラザー!」と、ジョーダンはそれに返信。

「了解。みんな元気?」とコービー。

「順調だよ。きみは?」とジョーダン。

「万事順調」と、コービーは返していました。

するとジョーダンは微笑みながら、メッセージをしばらく続けたそうです。

「彼は(次女の)ジジちゃんの指導に、かなり力をいれていました」と、ジョーダンは説明します。

「ハッピーホリデー」 ジョーダンはメールを返し、「すぐに会えるといいね。コービーのコーチ?」と続けます。

「(このメッセージには)泣いたり笑ったりする絵文字を入れておいたよ」と、ジョーダンは回想しながら笑っています。

「その言葉、そっくりそのまま返すよ」と、 コービーは答えます。「おい、コーチ、今ベンチに座ってるんだけど、このチームはボロ勝ちだよ。45対8」

ジョーダンがマクマランに語ったところによると、「あの文章は、コービーの負けず嫌いな性格が表れていて、とても良いよね」とのこと。

 ジョーダンは、今でもそのメールを時々見ているそうですが、貴重なインタビューに応じて、ブライアントが亡くなる直前の姿を改めて垣間見せてくれたことは、とてもうれしいことです。

 ブライアントは次女のジジちゃんのコーチをすることが大好きで、競争相手を圧倒することをふざけ半分に自慢することもとても好きだったようです。また、ブライアントが、バスケットボール界で永遠に忘れられない存在であることに疑いの余地はありませんでしたが、妻のヴァネッサ・ブライアントがデザインした展示物を含む、記念すべき殿堂入りは、彼がどれほどバスケットボール界に影響を与えたかを改めて思い出させてくれました。

 「おめでとう、ベイビー 」と、ヴァネッサは15日(土)に行われたセレモニーのスピーチで語り始めました。「あなたの積み上げてきた努力と犠牲が報われました。あなたは以前、私に『誰かに賭けるなら、自分に賭けなさい』と言ってくれましたよね。あなたが自分自身に賭けたことをうれしく思います。そしてあなたはそれをやり遂げ、そして今、殿堂入りを果たした…。あなたは真のチャンピオンです。それは単なるMVPではなく、歴史に残る偉大な選手の一人なのです。そんなあなたをとても誇りに思います。そして、永遠に愛していますコービー "ビーン"・ブライアント」

Source / ESQUIRE US
※この翻訳は抄訳です。

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