ブラッド・ピットは 数週間前(2022年9月)に、ワインにインスパイアを受けたスキンケアライン「Le Domaine(ル・ドメーヌ)」をデビューさせました。

ピットのワインに注ぐ情熱は昔から有名なこと。さかのぼること2008年、ピットは当時の妻アンジェリーナ・ジョリーと共に南フランスのワイナリー「ミラヴァル」を購入したことで注目を集めました。

そして、そこで出会ったのが南フランス屈指のワインメーカーである「ぺラン・ファミリー」です。今回発表したスキンケアラインは、このぺラン・ファミリーとピットが提携し、丹念に研究を重ねた末に誕生しました。

セレブによる商品のプロデュースが当たり前になりつつある今の時代において、ブラッド・ピットのスキンケア製品への参入は予想通りであり、同時に頭を悩ませるものでもあります。世界で最も有名でイケメンの代名詞的な存在の男性が、スキンケアをしないはずがありません。ですがピットは、美容界で名を馳せることには消極的なようで、慎重とも言える態度に思えるのです。

ピットは『Vogue』誌のインタビューに対し、「自分は最も基本的なスキンケア以上のことはしていない」と言い、「ル・ドメーヌ」の主張が“老化プロセスを遅らせること”に関係しているいう事実にも関わらず、「アンチエイジング」という言葉を軽蔑するような発言までしています。

ピットが自身のスキンケアコレクションについてインタビューされた際、自らスキンケアに対する真の思いを語ることを躊躇しているようにも見えました。ですがそこには、何らかの真実がある可能性があります。

founders marc perrin and brad pitt
Courtesy
創業者のマルク・ぺランさんとブラッド・ピット。

「ル・ドメーヌ」誕生の経緯

「ル・ドメーヌ」の共同設立者であるマルク・ペランさんに、「ピットがいなくても、このブランドは誕生していましたか?」と尋ねてみると…

「おそらく、誕生まではさせることはできたでしょう。ですが、飽和状態にあるこの美容業界に参入するには、私たちはあまりにも小規模すぎます。なので、別のパートナーを探していたでしょうね」と話します。ペランさんは「ル・ドメーヌ」を、「セレブリティ・スキンケアライン」と呼ぶことには抵抗があるようです。なぜならそれは主に、創業パートナーであるピットのアイデアとは異なっているからだそうです。

話はこうなります。

およそ15年前のこと、ぺランさんは神経科医であるお兄さんと共に家族5世代にわたってワイン造りに使用してきたブドウの(ポリフェノールとして知られる成分が持つ)抗酸化作用について深く掘り下げることにしました。そして、どの品種に最も抗酸化力が高いのかに興味を持ち、ボルドー大学でワイン醸造学を教えるピエール=ルイ・テイセードル教授を訪ねます。そこで教授らの研究を通じて、いくつかのブドウ品種からつくられる強力な抗酸化物質GSM10を開発します。現在、それを「ル・ドメーヌ」の製品にのみ配合するようにしたのです。

また彼らはその後、ニコラス・レヴィ博士に出会います。レヴィ博士は、子どもたちが急速に老化する極めて稀な病気である早老症の研究の第一人者です。その結果、ブドウの蔓(つる)由来のレスベラトロール、カモミール由来のアピゲニン、緑茶由来のカテキンを配合した、肌細胞を健やかに保つことが期待できるカクテル「ProGR3」の開発に成功します。そうしてこれも、「ル・ドメーヌ」の製品だけに使用できるエクスクルーシブな成分となるわけです。

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「当時、私たちは化粧品をつくることなんて全く意識していませんでした」と、ペランさんは言います。ですが、この2つの分子が相乗効果を発揮することがわかったとき、チームは自分たちが特別なものを手に入れたと確信したそうです(両教授は非常に熱心で、今ではこのブランドのパートナーになっています)。

そしてこのとき初めて、彼らはピットにアイデアを持ち込んだのです。ピットはその科学的根拠に納得し、すぐに契約したということ。また、ペラン・ファミリーがこれまで受け継いできたエコロジーへの配慮が製品に反映されていることも、ピットが深く共感したポイントだったようです。

「ル・ドメーヌ」はセラム(美容液)、クリーム、クレンジングエマルジョン、そして2023年1月にフルイドクリーム(乳液上の保湿クリーム)を展開します。これらには2つの独自分子を含むだけでなく、ワイナリー「ミラヴァル」で収穫されたオリーブオイルなど96%以上が天然成分で構成されているとのこと。ガラス瓶の木製のキャップも、古いワイン樽からつくられています。

これはとても興味深い内容です。が、率直に言ってスキンケアに関しては、製品が効果を発揮しない限り、何の意味もありません。そこで編集部で実際に製品を手に取り、テストしてみました。

ボトルのデザインにはピットも深く関わっているようで、まさに高級品と呼ぶにふさわしいものです。重厚で洗練されたデザインで、それを使い切ったときには印象的な木製のキャップはそのまま手元に残し、瓶側のみを交換することができる仕組みになっているということです(詰め替え用の商品があるわけではなく、木片のないボトルを購入してキャップを再利用することができます)。

そして、その製品自体はとても小さなものです。50mlのクリーム(一般的なアイクリームの瓶より少し大きめ)で320ドルです。「スキンケアアイテムとして、高価格であることはわかっています。ですが、素晴らしい研究背景と科学の力を持つアイテムなので、それに値する商品だと自負しています」と話すペリンさん。参考までに美容液は、30mlで385ドルです。

「ル・ドメーヌ」の使用感は?

まず私(筆者、ギャレット・マンス)は、この製品の良し悪しを確認するためにも1週間ちょっとの間、ほとんどこの3つの製品だけを使用してみました。

結果からお話すると、どれもすべて素敵です。

クレンジングエマルジョン(80ドル)は、穏やかで泡立ちの少ないクレンザーですが、洗顔後もツッパリなどもなく、肌の水分を保ちつつ透明感が上がったように感じられました。

美容液(385ドル)は無香料で、乳白色のゼリーのようなテクスチャーで滑らかに肌の上を滑ります。そして素早く馴染んで、しっとりとします。

そしてピットのお気に入り、クリーム(320ドル)に関しては重厚でリッチ、そしてほのかに香ります。夜や寒い時期など、肌に潤いが必要なときに使うと良さそうです。私は日中も使用していましたが、べたつきやテカリは感じられませんでした。たくさん使いすぎると小さな瓶がすぐに空になってしまいそうで、少量しか使っていなかったからかもしれませんが…。

全体的に、製品の使用感は良好です。シンプルでわかりやすいし、使い勝手も良い。しかし、やはり疑問があります。映画のマジックのように、私の肌も目に見えて老化促進を食い止めることができているのでしょうか? 科学的にはこの製品の成分は有望なもので、抗酸化物質の成分が肌へポジティブな効果を与えることは十分であると、研究で証されてはいます…。

ですが、私にとって「ル・ドメーヌ」が、私を『ベンジャミン・バトン』(ブラッド・ピット主演の映画で、成長するにつれて若返っていく男性の物語)のように若返らせてくれるかどうか?は、まだ審査が終わってはいません。スキンケアの効果を実感するには通常、6~8週間は継続して使用する必要があると言われているので。

とは言え、ブラッド・ピットと有名人の友人たちの肌がその効果を証明しているようにも見えるので、試してみる価値はありそうです。ですが、そこには大前提は必須となります。それは…もし私が、このスキンケアアイテムを常用できるほどの収入があればの話ということです。

公式サイト

Source / ESQUIRE US
※この翻訳は抄訳です。