11月8日(水)の夜、組合の交渉委員会が満場一致の投票で最新の契約に同意したことを『Variety』誌が報じました。つまりここで、118日間に及んだSAG-AFTRAストライキが収束したということになります。また、これにしたがってハリウッド作品の制作中断も終わりに。

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組合は「私たちはいかなるカテゴリーのSAG-AFTRAメンバーも、サステナブルなキャリアを築くことを可能にしていくという契約に行き着きました」「現在そして今後、数多くの演者がこの恩恵を受けることでしょう」という文書を公開しています。具体的に合意となったのは、最低賃金の増額や「人工知能(AI)の脅威から組合員を守る内容」となります。組合の代表者ベン・ホワイトハイルは、この合意は俳優にとって「大きな勝利」とも述べています。

さらに、「演者は今回の件で何を得られたのかを理解したなら、きっと興奮するでしょう」とも。この歴史的偉業は、全米脚本家組合(WGA)が合意したわずか1カ月後に達成されました。今回の彼らの交渉は、(過去60年以上で初めて)全米脚本家組合(WGA)と全米俳優組合(SAG-AFTRA)が手を結び、今年の初めに開始されました。より高い賃金とより良い労働条件を求めてハリウッドに対してストライキを行い、その期間中は世界中の制作を事実上停止させていました。

ストライキが収束した今、なにが起こっていたのか詳しく紐解いてみましょう。皆さんが持つ疑問を解説していきます。

俳優たちは何のために闘っていたのでしょうか?

脚本家たちと同様に、SAGメンバーはより良い賃金、そして減少する再放送への追加出演料のために闘っていました。SAG-AFTRAが同組織の指導者に向けて6月に送ったレターには、このように記されています。

「これはこの業界において史上最大の転換期であり、今まで良しとされていた取引は全くもって不十分なものです」「過去10年間で私たちは、給与・仕事・クリエイティブの自由、そして組合の権利、すべてが徐々に損なわれてきたと感じています。これまでの軌道を逆転させる必要があるのです。インフレ傾向にある世界とストリーミングサービスの継続的成長とともに、最低賃金の引き上げと新しいストリーミングメディアへの追加出演料を早急に見直す必要があります」

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SAG-AFTRAの会長フラン・ドレシャーは、彼女の印象的なストライキ宣言でこのように述べています。

「もし今立ち上がらなければ、私たちは皆、機械に置き換えられる危険に晒(さら)されるでしょう」

ハリウッドはどう回答したのでしょうか?

CNBCの番組出演中、ディズニーCEOであるボブ・アイガーはこのストライキが「現実的ではない」と主張しました。

「これは非常に憂慮すべきことです。このビジネスにおいて混乱をもたらす要因と私たちが直面している全ての課題、そして未だ続く新型コロナウイルスによる影響からの回復について話し合ってきましたが、まだ完全には解決できていないのです。このストライキは、これらの課題を増幅させる最悪なタイミングです」とアイガーは語っています。

さらに、「どんな労働団体もそのメンバーのために最適な報酬を得て、彼らのもたらす価値に基づいて、公平に補償を受けることを望むことは理解しています... 彼らが期待する水準は、現実的ではないのです。そして。彼らはこのビジネスがすでに直面している課題に加えて、この要求を追加しています。正直なところ、すごく妨害的です」とも述べていました。

当然ながら、彼のこの発言は歓声を受けることはありませんでした。

テレビ番組と映画は予定通り公開されるのでしょうか?

答えは「イエス」であり、「ノー」でもあります。すでに完成している多くの番組や映画は、年間を通して通常通り公開されることが予測されます。その中で実際、来年までのテレビ番組公開スケジュールが変わったところで、視聴者が気づくことはないでしょう。まだ脚本が書かれていない新シーズンについては、WGAのストライキによって制作は中断されたり収録が無期限に延期され、2024年リリースの作品が2025年リリースに変更になるなどの影響がありました。例えばマーベル映画や『アバター』続編を含む、ディズニーによる新プロジェクトの多くは延期されています。リアリティ番組や報道番組、トークショーなど脚本が無いシリーズについては、中断されることなく公開されています。

ストライキ中に俳優たちができたこと(そして、できなかったこと)は何でしょう?

ストライキの協定によると、次の行動をとった俳優たちは「ストライキの団結を弱める存在だ」と判断されました。それは…「新プロジェクトの告知を行うこと」「プレミア上映に出席すること」「記者会見に参加すること」、そして「映画祭の活動に参加すること」です。これらは、賃金の引き上げと公平な労働条件のために闘っているスタジオ側に、さらなる圧力をかけるために設定された対策でした。

ストライキはどれくらい続いたのでしょう?

そうして俳優たちのストライキは、合計118日間続きました。前回、SAGとWGAの両方がストライキを行ったのは1960年で、SAGは6週間で合意しました。が、WGAは148日間かかりました。2000年に起こったSAG-AFTRAのストライキは、史上最長で6カ月にわたりました。

Translation /Miki Chino
※この翻訳は抄訳です。

From: Esquire US