ダニエル・クレイグが直近で、ジェームズ・ボンドとしてスクリーンに登場したのは『007 スペクター』であり、それを演じてから早4年(そして、『007 カジノ・ロワイヤル』で初登場してから13年)が経ちました。そしてついに、彼にとって最後の「007」映画となる予告編第1弾が世界同時解禁となったのです。

 2019年12月4日(現地時間)に公開された『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の予告編は、随所に不吉な兆しや裏切りを感じさせてくれます。そして、この予告編のリリースから数時間後の段階で、ファンたちはオペラ座の怪人のようなマスク(実際は能面で、『井筒(いづつ)』『熊野(ゆや)』などで使用される「増女(ぞうおんな)」だと言われています)をかぶったラミ・マレック演じる悪役に対し、熱視線を浴びせています。

 現時点では、「サフィン」という名前しかわかっているこのキャラクターは、雪の森の中を南極観測隊のようなオフホワイトのフード付きのダウンコートを着こなしているかと思えば、ボンドに対して次々と曖昧で不吉な脅しの言葉を浴びせかけいく声がインサートされています…。そう、まさに「007」らしい悪役なわけです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの最終章…映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』特別映像
ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの最終章…映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』特別映像 thumnail
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 ソーシャルニュースサイト「Reddit」上のファンたちは、サフィンの正体が別にあるという仮説を立てています。

 それは、「クレイグにとって最後のボンド映画となるタイミングで、製作陣が我々を「007」シリーズ最初の作品である『007 ドクター・ノオ』へと誘うつもりではないか」と予想しているのです。この映画ではショーン・コネリー演じるボンドが、ジョセフ・ワイズマン演じるドクター・ノオと対峙する物語です。

 ドクター・ノオは犯罪組織「スペクター」の一員であるマッドサイエンティストであり、ボンドを何度も殺そうと試みた(いずれも失敗しました)悪役です。そして「Reddit」ユーザーたちは、新作の悪役サフィンの正体は第一作に登場したドクター・ノオである可能性を挙げているのです。

 「RaggedyRandall」という「Reddit」ユーザーは、予告編に一瞬登場したあるセットが、『007 ドクター・ノオ』の最後の戦いのものに似ていることを次のように指摘しました。

RaggedyRandall氏のコメント引用:
お金を貰っての宣伝記事なら、ネタバレになるので言うのを控えるところですが…、(これは違うので、率直に言わせていただきます。)この予告編で、『007 ドクター・ノオ』の最後のセットを忠実に再現しているようなシーンを見つけました。コントロールパネルや高くなった作業台、さらには『007 ドクター・ノオ』で、最後にボンドとドクター・ノオが戦った場所能力のような、原子炉の減速材として用いる重水(D2O)が貯まった室内池の存在もほのめかしています。

 また、「mood_designer」という別のユーザーは、予告編の終盤に一瞬映る施設に不気味な研究室のような雰囲気があることを指摘しています。

mood_designer氏のコメント引用:
ラミ・マレックのキャラクターがドクター・ノオだという説には、あまり確信がなかったのですが…。でも、(予告編の)2分14秒ごろに出てくる施設は、ドクター・ノオの研究施設にも似た雰囲気があるかと…。防護服を着た人たちは特に、その雰囲気をあえて似せて見せているとしか思えませんね。

 何と言ってもクレイグが、14年間演じたボンドの物語が古き良き「007」映画に立ち戻って締めくくられるのは、適切な展開と言えるのではないでしょうか…。とは言え、確かドクター・ノオは実在する犯罪組織TONG(トング)」の元メンバーという設定で、トングの金を持ち逃げして独自のビジネスを始めた男では? そして、ドイツ人と中国人のダブルではなかったでしょうか…て、思うのですが。皆さんはどう思いますか?

 このように、製作開始から予告編公開まで騒がれまくりの『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ですが、実際に公開されるのは2019年4月10日になります。そのとき、すべてがわかるでしょう。

 特に、ボンドガールで登場するレア・セドゥは『007/スペクター』にも登場したマドレーヌ・スワンであり、決してフランス人の殺し屋サビーヌ・モローではないことを確認できるはずです。それは別のスパイ映画ですし…(笑)。



Source / Esquire US
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。