YSLの新作フレグランスは
自分らしさを
表現するための香り

男性が香りをまとう理由は何でしょうか? あえて言うなら、(映画『俺たちニュースキャスター』<2004年>の登場人物が女性キャスターを口説くために香水「セックス・パンサー」を使用したように…)女性をあからさまに誘惑するためツール(道具)というよりも、自分自身の精神を高めるフィール(雰囲気)ではないでしょうか。

良い香りは気分を良くしてくれ、それが自信につながるとも言われています。少なくともYSL(イヴ・サンローラン<YVES SAINT LAURENT>が5年ぶりに発表した新メンズフレグランス、「MYSLF」はこのような考えに立脚しています。

2023年8月8日(火)発売(日本では9月1日<金>発売)の「MYSLF」は、「究極の自己表現ツール」という位置付けで誕生しました。フローラルとウッディの香りが、時間とともに思いがけない効果を織りなし、つける人の「自分らしさ」を引き出すとのこと。

調香師のダニエラ・アンドリエ、クリストフ・レイノー、アントワーヌ・メゾンデュー各氏が香りについての知見を結集させ、極めてモダンなコンセプトながらベルガモット、ラベンダー、クラリセージ、パチョリ、アンブロフィックス(アンバー系の合成香料)というどこかなじみのある調合でこのフレグランスを完成させました。ただ、ここでの真の主役は、オレンジブロッサムの強力なハート(ミドル)ノートです。このスウィートな柑橘系のフローラルノートは、一般的なメンズフレグランスには珍しい素材と言えます。モダンかつセクシー、そして意外性という要素を演出します。

新作フレグランスを発売する際に問題となることの一つはもちろん、「そのフレグランスの精神を最も的確に体現する人物は誰か?」ということです。「MYSLF」の場合、その答えを出すことは難しいことではありませんでした。

選ばれたのは、俳優オースティン・バトラー。映画『エルヴィス』の演技で第76回英国アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた彼は、スクリーンでの演技はもちろんのこと、スクリーン以外でも彼が確立しているスタイルには非の打ち所がありません。バトラーはアーティストとして、クリエイティブな表現力というものを熟知しています。だからこそYSLからのオファーに応え、「MYSLF」の体現者となるチャンスを実現したのです。バトラーは次のように語っています。

「YSLは以前からとても好きでした。イヴ・サンローラン自身が先見的で、常に慣習を破ってきた人物だからです。私は彼自身の人となりにも、それがいかに彼のレガシーとなっているかということにも、とても影響を受けています」

今回エスクァイアUS版編集部は、「MYSLF」の魅力についてバトラーにインタビューし、彼がこの香りに惹かれた理由、そしてこの香りによって呼び覚まされる感情について、大切な話を聞くことができました。

※このインタビューは、記事としての読みやすさを考慮し、編集・要約しています。

ysl myslf men's fragrance
Courtesy of YSL
MYSLF オーデパルファム(日本では2023年9月1日発売)60mL 1万4520円/100mL 1万9800円

アンバサダーに就任した
オースティン・バトラーへ
インタビュー

編集部:あなたにとって自己表現の重要性とは?

私は子どもの頃、とても内気でした。自分の感情を押さえ込むことが多かったのですが、演じるということを通して、こうして自分自身を少し表現できるようになったのです。

私たちは皆、未来永劫、一つとして同一のものは存在しない、自分だけの独自な才能や内面を持っているのです。もし他の誰かのまねをしようとすれば、世界はつまらないものになってしまうのではないでしょうか。だから私は、誰もが純粋に自身を表現できるようになることは、最も素敵なことの一つだと思っています。

編集部:あなたのスタイルは、自己表現にどのように組み込まれているのでしょう?

それは全て、「自分自身がどんな雰囲気を醸し出したいか?」「どういう気分でいたいか?」によります。着こなしによって気分は大きく変わります。それは“心地よさ”が大きな要素かもしれません。私は素材にこだわりがあります。シルクのシャツやレースのシャツ、パンツなど、着ていて気分がよくなるものが好みです。

編集部:初めて「MYSLF」の香りを体験したとき、どのように感じましたか?

正直なところ最初に気になったのは、「この香りの基調となっているノートは何か?」ということでした。それがオレンジブロッサムだと気がついた瞬間、私は子ども時代に引き戻され、育った家の裏庭にあったオレンジの木の匂いを思い出しました。オレンジの花が咲いているときの空気感や、母と一緒にオレンジを摘んだときの匂い…。

その後、肌になじんでよりウッディの温かな香りが立ち上ってくると、夕暮れ時の穏やかな雰囲気を感じられるのです。

編集部:とてもポエティックですね

私が語ろうとしているのは目に見えないものなので、(表現が)難しいんです。

編集部:確かに、香りというのは記憶と結びついていることがありますね。

ある香りで初恋の人を思い出す――生涯の中で、その香りに出会うたびに、10代の頃の自分に戻ることができる…。それは、すごいことです。

austin butler
Gray Sorrenti

編集部:アンバサダーに就任する以前から、フレグランスはお好きだったのですか?

わたしは仕事で、フレグランスを使ってきました。初めて使ったのは、ブロードウェイで『氷人来たる(The Iceman Cometh)』の舞台に出演したときですね。舞台に出る前に、毎晩あるエッセンシャルオイルをつけていたのですが、リハーサル中にもそのオイルをつけることで、その役を演じる上で一定の精神状態を保つことができました。

私が子どもの頃から両親は、ともにフレグランスを使っていました。母はいつもフローラル系、父はムスク系でウッディーな強めの香りがしていました。私はよく両親の部屋にこっそり入って、自分にもスプレーしてみたものです。どんなブランドだったかは覚えていませんが、「それをつけると、どんな気分になるか」ということが重要でした。

そんな思い出の香りと、この「MYSLF」の香りがリンクしているところがちょっと感慨深いですね。「MYSLF」には、フローラルもウッディーも含まれていますから…。

編集部:現在、MYSLFをつけてどんな気分ですか?

今の気分をどんな言葉で表現したらよいでしょうか…。穏やかで暖かな気持ちですね。

編集部:フレグランスをつけるのは自分自身のため? それとも他人を意識していますか?

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© Greg Williams for YSL Beauty

(どちらかと言うなら)間違いなく自分自身のためです。その香りが好きなら、それはセルフケアの一種だと思います。

編集部:フレグランスの魅力は、香りだけではなくボトルデザインもキャンペーンも含めてのものですよね。「MYSLF」で最も気に入っている要素はありますか?

全部を含めてそのフレグランスですから、一つの要素を選ぶのは難しいのですが、あえて言えば、この「MYSLF」に込められた壮大な思いですね。とても感動しました。

一体感のあるシームレスなボトルデザインは、幾何学的でとても気に入っています。詰め替え可能な点もいいですね。私たちはこれまでずっとボトルを無造作に捨ててきたように思うので、詰め替えができるというアイデアには本当に賛同します。


香調:フレッシュなウッディフローラル

[トップ]オレンジブロッサム|シトラス|ベルガモット

[ミドル]オレンジブロッサム

[ラスト]ウッド|アンバーグリス|パチョリ


MYSLF―自分らしさ

ここには、YSLらしいユニークなメッセージが隠されています。ワードの中心にはYSL、そしてM(マスキュリン)とF(フェミニン)の架け橋ともなり、ムッシュの築き上げてきたブランドの神髄を体現しています。シンプルに“MYSELF”と読むだけでなく、“MY YSL”と読めるようなアイコニックな意味までも込められています。

公式サイト

source / ESQUIRE US
Translation / Keiko Tanaka
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です