ワインスタイリストの藤﨑聡子です。これから第1回目の、“食べて、飲んで、繰り返して…”を始めたいと思います。今日の食材は「真鯛」です。鹿児島産の天然の真鯛です。 

 これを、「どうやってワインに合わせられるか?」を考えていきます。味(レシピ)を2種類考えています。

◇おすすめのカリフォルニア産白ワイン2選

 カリフォルニアでも、パソ・ロブレスという非常に冷涼な地域なのですが、地中海気候で海からの風もしっかりと吹き込み、一方で寒暖差もあり葡萄(ぶどう)の成熟には素晴らしいエリアになります。いま、注目されているエリアのひとつです。

 1本目は、『ハースト・ランチ・シャルドネ・グレーシャー・リッジ2016(Hearst Ranch)』、シャルドネ100%。

 2本目はおもしろいですよ、『ヴィーニャ・ロブレス・ホワイト4・2015』です。キャップに「4」と書いてある通り、4種類の葡萄がブレンドされています。のちほど、きちんと紹介しますね。これらを飲み比べながら、この真鯛をどう料理するか? 考えていきたいと思います。

hearst ranch シャルドネ・グレーシャー・リッジ
アメリカ・カリフォルニア
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vina robles ホワイト4,アメリカ・カリフォルニア
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《概要》同じエリアで生まれた2本の白ワイン

 まずは、飲んでみます。『ハースト・ランチ・シャルドネ・グレーシャー・リッジ2016』のボトルはスクリューキャップ。本当に便利です。すぐ蓋(ふた)もできるので、味に間違いがないです。

 『ハースト・ランチ・シャルドネ・グレーシャー・リッジ2016』は、ステンレスと樽(たる)、ふたつの熟成をブレンドしています。ステンレスのフレッシュな感じと、樽で熟成された葡萄の濃厚な甘味がきれいに相まっています。

 『ヴィーニャ・ロブレス・ホワイト4・2015』は葡萄の種類で言えば、ヴィオニエ49%、ソーヴィニョン・ブラン23%、ヴェルデホ20%、スペインの品種ですね。そして、イタリアのヴェルメンティーノは8%。それぞれの役割がしっかりとあり、甘み・酸味・旨みとすっきり感も、全てが美しく混ざり合っています。

 おもしろい組み合わせ(ペアリング)ができると思います。  

◇切って、混ぜるだけ! 真鯛を使ったおつまみレシピ2種

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真鯛はひと口サイズにカットするだけです。

 では、調理が終わりましたので、盛り付けへと移ります。

■あおさ海苔 × 真鯛

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 1品目はあおさ海苔にだし割醤油で、そこにスダチを加えてみました。カボスであったり、柚子(まだ青柚子なんですが)、シークワーサーなどいろいろ試してみたのですが、香り方と酸味のきかせ方として、ワインの酸と合わせやすいのは「スダチ」でした。

■塩昆布 × 真鯛

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 2品目は、塩昆布をあえただけです。とてもシンプルなんですけれども、昆布のうま味、グルタミン酸、そしてお塩の塩分感と、バランスがすごく良いので塩昆布だけで。

 もし、見た目をもっとお洒落な感じにしたいのであれば、ネギを散らしたり、皮削りでカボスの皮で香りづける程度で、白ワインに合う真鯛のレシピは完成すると思っています。

 あと、必要なのはこれ、「ブリキ デコレーション型(セルクル)」です。

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 ケーキ用や、フランス料理で使われる「セルクル」。こうゆうのがひとつあるだけで、どーってことない料理が、すごくきれいに見えます(笑)。

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 型に入れたら押します。セルクルを考えた人はすごい! 一瞬ですよ。この中に移すだけで、なんか格好良くできちゃいます。なので、2品目も同じようにやってみます。

 最後に、ネギを散らしています。これは、青海苔でも良いのですが、今回は乾燥のあおさ海苔を使用しています。こちらのほうがおそらく手に入りやすくて、保存もすごいきくのでおすすめです。ただ、出汁(だし)に浸して戻しただけです。

◇白ワインの飲み比べとマッチングは? どんな味?

 最後は、テイスティングです。

 「あおさ海苔 × 真鯛」には、シャルドネ100%の『ハースト・ランチ・シャルドネ・グレーシャー・リッジ2016』を。「塩昆布 × 真鯛」には、4種類の葡萄がブレンドされた『ヴィーニャ・ロブレス・ホワイト4・2015』を。

「あおさ海苔 × 真鯛」+『ハースト・ランチ』

《予測》
 「あおさ海苔 × 真鯛」のおつまみは複雑な味わいが楽しめるので、合わせる白ワインをシンプルな味を選ぶことで、お料理とワインの色々な味わいの側面が見えてくる可能性があります。

《実飲 × 実食》
 だし割醤油とあえているので、醤油のとがった辛さを緩和してくれます。また、魚の独特な生臭さを感じることはなく、ワインの余韻がすごくフレッシュな印象になります。ワインの力強さを感じることができるでしょう。

「塩昆布 × 真鯛」+『ヴィーニャ・ロブレス・ホワイト4』

《予測》
 一方で「塩昆布 × 真鯛」は、シンプルな味のおつまみなので、4つの葡萄品種でブレンドされたワインを合わせることで、「いろいろな味わいの発見ができるのでは?」と感じています。

実飲 × 実食
 ヴェルメンティーノが8%なんですが、チカラがあります。ヴェルデホの甘みも引き立っています。ワインって、温度が上がってくると葡萄そのものの個性が際立ってきます。白の場合は冷やして飲みますが、そうすることでアタック(ワインのテイスティング用語で口にしたときの第一印象)から美味しさを感じることができます。そして時間が経つにつれ、本来のワインのうま味というのが出てくるものです。

 この塩昆布ですが、皆さんがお買い上げなさる場合には、細めのものをおすすめします。細いほうが味に絡みやすいからです。

 真鯛を食べてから飲むと、ソーヴィニョン・ブランのさわやかさがあり引き立ってきます。ソーヴィニョン・ブランは23%、でも、ヴィオニエ49%も入っているので、全体がまとまったワインになっているんですね。だから、ワインの香りが複雑でうま味もあって甘みもあって、でも、スッキリとしています。それによって、昆布の旨みも引き立ててくれるというわけです。

◇まとめ

 第1回目は、このようなお料理をワインのペアリング提案してみました。今後は、一つの鍋でできるような、簡単なレシピでどれだけ味の幅を見つけられるか、ワインの一歩進んだ楽しみ方、飲み方を提案していきたいと思っています。

 今回のお料理は、とても簡単なので真鯛でもイイですし、鱸(スズキ)でも美味しくできると思います。白身のお魚でしたら合わせやすいので、ぜひトライしてみてください。

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《Profile・経歴》
藤﨑聡子(Satoko FUJISAKI)
ワインスタイリスト

…1997年ワイン専門誌「ワイン王国」創刊、編集・作家担当・広告業務を担当。2003年ワインスタイリストとして独立。以後、男性ファッション誌、女性ファッション誌でシャンパン、ワイン、料理制作、スタイリング、レストラン紹介などを連載・執筆。

 世界的に発刊されているワイン漫画『神の雫』では、シャンパン女番長としてワインと食材のマッチングコラムを2年半にわたり執筆。これはフランス、上海、北京、香港、台北、ソウル、アメリカで翻訳され現在も発売中。単行本では24巻から36巻まで収録されている。

 レストランのワインリスト作成、メニュー開発、またスタッフに対するワインセミナーもジャンルを問わず手掛ける一方、ファッション撮影ではインテリアコーディネート、フードスタイリングなども担当構成。2014年12月、シャンパン100種類、メインディッシュは餃子、唐揚げをリスティングするラウンジ・Cave Cinderellaを東京・西麻布にオープン。

 フランス・シャンパーニュ生産者組合団体・シャンパーニュ騎士団より2007年シュヴァリエ・ド・シャンパーニュ、2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。シャンパン、餃子、唐揚げ、ポテトフライ、ゴルフをこよなく愛する。