ワインの奥深さに敬意を払う一方で、「ワインやシャンパンって肩肘を張らず、もっとカジュアルで、でもエレガントで…、おいしくて、誰でも楽しめるオープンな世界」という哲学を持つワインスタイリストの藤﨑さん。

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藤﨑さん:こんにちは、「satokoの一杯逸品」のお時間です。

 2021年3月11日、東日本大震災から10年をむかえます。次につながる活動を、何かできないかと日々、考えておりました。

 今回は、福島で生産されている日本ワインを主役に、そのペアリングの面白さ(才気煥発なところ)を皆さんにお届けしたいと思います。

「日本ワイン」とは? …日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して、日本国内で醸造されたワインを指します。

 さらに今回は、「楽しく人生を大胆に生きる女性」をコンセプトに世界約80カ国で 展開されているグローバルメディアブランド「コスモポリタン」日本版とのコラボレーションでお届けします。そこで、ゲストを迎えています。「コスモポリタン」日本版ビジネスチームの柴山 透さんです。

柴山さん:よろしくお願いいたします。

藤﨑さん:柴山さんは、インスタグラムで「とーる飯」のアカウントでご自身でつくられたお料理のレシピを掲載していて、とても人気です。※コスモポリタンでも掲載

 今回はそんな柴山さんに、福島の食材を使って簡単にできる「麓山高原豚のソテー いちじくソース」のレシピをご紹介していただきます。その後、福島県産のおすすめワインとのペアリングを提案していきます。

では、ここでバトンタッチ。柴山さん、よろしくお願いいたします。

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◇「とーる飯」流『麓山(はやま)高原豚のソテー いちじくソース』の作り方

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福島県産牛直売 JAライフクリエイト福島『HRT-8 麓山高原豚 ロースとんかつ用(100g × 8枚)』4200円(税込)購入はこちらから、しらかわ五葉倶楽部「福島いわきの無花果『いちじくジャム』(140g)」800円(税込)公式サイト

柴山さん:バトン受け取りました。ここからは、麓山高原豚を使ったソテーと、いちじくソースのレシピをご紹介します。

 麓山高原豚は、福島県のJAサイトで購入できる豚肉になります。ソース用の「いちじくジャム」は日本橋にある福島アンテナショップ(日本橋ふくしま館 MIDETTE)で見つけました。

 僕はソースによくフルーツを使用するのですが、日本橋ふくしま館 MIDETTEではフルーツのジャムが豊富で、白桃ジャムと迷ったのですが、今回は福島いわきの無花果「いちじくジャム」を選んでみました。それでは、メインのソテーをつくっていきます。

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■ソテーのつくり方
(下ごしらえ → 焼き方)

  1. 筋切り
    …赤身と脂身の間に、かたい繊維「筋」があります。そのまま加熱すると、肉が縮んで反り返ってしまうため、切り込みを入れておくときれいに仕上がります。

     赤身と脂身の両方に渡るように、肉の半分くらいの深さまで、包丁の先を使って刺します。切り込みの大きさは1~2cm程度。2~3cm間隔で、すべての筋に切り込みを入れます。

  2. 肉を叩いて繊維を壊す
    …豚肉の繊維を断つように、しっかり叩いて伸ばしてください。叩くことで、焼き縮みを防いで柔らかく焼き上げることができます。

  3. もとの大きさに形を整える
    …伸ばして薄くなった豚肉をそのまま焼くと、一気に火が入ってかたくなってしまいます。もとの大きさに成形します。
     
  4. 豚肉の両面に塩と胡椒をまぶす
     
  5. 小麦粉で表面をコーティング
    小麦粉をまぶしてから焼くことで、簡単に豚肉表面を小麦粉でコーティングして肉汁が流れ出すのを防ぐことができます。舌触りをよくするためにも(ドロドロを防ぐ)、小麦粉をまぶしすぎないように余分な粉は落としてから焼きます。
     

  6. 余分な粉を落とす
     
  7. 熱したフライパンにオリーブオイルを小さじ2杯
     
  8. 叩いた面を下に、中火で表面をこんがり焼く
    …強い火力で豚肉を焼き続けると、水分が流出してパサパサになってしまいますので、中火で両面に焼き色がついたら、火を止めます。
     
  9. 時間は1分半を目安に豚肉をひっくり返す
     
  10. 裏側も1分半を目安に焼く
     
  11. 焼き上げた豚肉をアルミホイルで休ませる
    …アルミで休ませてから切り分けることで、切ったときに肉汁が流れ出すのを防ぎます。噛んだときに口の中でジューシーな豚肉を味わうことができます。

 余熱をしている間に、「いちじくソース」をつくります。注意点として、豚肉を焼いた際に出た脂を使ってソースをつくりますので、絶対にフライパン洗わないでくださいね。甘みと旨みが詰まっています。

フライパンに残った
豚肉から出た脂の旨みを活用

■ソースの作り方

  1. フライパンに残った豚肉から出た脂に、いちじくジャム 30gを加える
  2. 醤油大さじ1、バルサミコ酢大さじ1/2加える
  3. 弱火でなじませる
  4. 火を止めて、バター10gを加え余熱を使って混ぜる

付け合わせの「マッシュポテト」
ソテーより先に作ってもOK

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 レシピ動画として、メイン料理の後に付け合わせのつくり方をご紹介しましたが、柴山さんいわく、「メインのソテーが冷めないように、付け合わせのマッシュポテトを最初につくることをおすすめします」とのことです。 

■クリーミーなマッシュポテトの作り方

  1. まず、ジャガイモに切り込みを入れておく
  2. 水につけて、ラップで包む
  3. 電子レンジを使い、600Wで3分温める
  4. キッチンペーパーでほぐしていくと、簡単に皮がむける
  5. 鍋の中でジャガイモを押しつぶしていく
  6. バター100gを入れて、弱火にかけながら混ぜる
  7. 牛乳1/2カップと生クリーム1/2カップを混ぜたものを加える
  8. 弱火で、水分がとぶまで混ぜる
  9. 塩小さじ1、ホワイトペッパー 少々を加える
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柴山さん:「麓山(はやま)高原豚のソテー いちじくソース」の完成です。

この後は、福島の食材を使った料理と福島のワインで藤崎さんんと一緒にペアリングを楽しんでみたいと思います。

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◇福島ワインの魅力:豚肉の旨みとマリアージュ

藤﨑さん:ここからは、完成したお料理と福島ワインのペアリングを考えていきたいと思います。今回は、郡山市逢瀬町にある醸造施設「ふくしま逢瀬ワイナリー」から2本を選びました。

まずは、『マスカット・ベリーA ロゼ 2019』から。こちらは福島でつくられているワインで、日本固有の黒ブドウ品種のひとつ「マスカット・ベーリーA」だけでつくられています。まずは、『マスカット・ベリーA ロゼ 2019』から。こちらは福島でつくられているワインで、日本固有の黒ブドウ品種のひとつ「マスカット・ベーリーA」だけでつくられています。

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Courtesy of OUSE WINERY
ふくしま逢瀬ワイナリー『マスカット・ベリーA ロゼ 2019』2530円(税込)購入はこちらから

藤﨑さん:柴山さんのお料理…、美味しい! 「麓山高原豚」は上質で旨みもありますね。臭みが少なくかつ脂肪があっさりしています。焼いているときに出てくる脂も上質に見えました。良質な脂肪をつくるためにキャッサバ(イモ類)・マイロを混ぜた飼料で豚が育てられているそうです。

柴山さん:「麓山高原豚」美味しいです。日本橋ふくしま館 MIDETTEで一緒に選ばせていただいた、いちぢくジャムも香り豊かで、ソテーにも合っていたので選択して正解でした。

藤﨑さん:ワインの中でもスパークリング系は、遊びやすく色々なお料理に合わせやすいですね。ですので、「いちじくソース」の酸味、豚の脂身とマッシュポテトの甘みと絶妙にマッチします。

柴山さん:合いますね。僕の中で、今回の料理とロゼをペアリングする前、あまり相性が良いとは想像ができませんでした。フルーツソースも使いましたので…。でも、実際に合わせてみると、豚の脂身といちじくの香りを包み込むように、スパークリングで流し込めるのが良いですね。

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COURTESY OF OUSE WINERY
ふくしま逢瀬ワイナリー『マスカット・ベリーA & スチューベンロゼ 2020』2530円(税込)購入はこちらから

藤﨑さん:もうひとつ、『マスカット・ベリーA & スチューベンロゼ 2020』を用意しています。減農薬に力を入れる会津若松市の「小森ぶどう園」が栽培した葡萄100%です。

 低温発酵させたマスカット・ベーリーAに、醸し発酵を経た同一畑のスチューベンがブレンドされています。香りがフルーティーで甘みが際立っています。

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藤﨑さん:ご紹介した2本のワインは熟成感もありますが、それ以上に、果実の旨みと葡萄本来の旨みを感じることができるスパークリング ロゼワインでした。肉料理でしたら、オールマイティーに活躍してくれると思います。

白桃シャーベットを
氷に代用する裏ワザ

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『ももふる』セット(桃5品種)2150円(税込)購入はこちらから

藤﨑さん:最後にフルーツ王国・福島にちなんで、ちょっとしたサプライズを考えてみました。

 見つけてきたのが、桃のシャーベット。オンラインでも購入できますが、私は日本橋ふくしま館 MIDETTEで見つけました。

 これを、少し甘みを強く感じた『マスカット・ベリーA & スチューベンロゼ 2020』と合わせて桃のカクテルをつくろうと思います。

柴山さん:いいですね。

藤﨑さん:シンプルに、桃のシャーベットをグラスに落とします。そこに、スパークリング ロゼワインを注ぐだけです。桃の氷だと思っていただければと。

柴山さん:なるほど。美味しい、香りがより強くなりました。

藤﨑さん:美味しいですね。飲み慣れていない方でも、こういった遊び方って面白いし、飲みやすくなると思いました。

柴山さん:氷入れちゃうと、時間が経つと、どうしても薄まっちゃうじゃないですか。でも、この桃のシャーベットのやり方だとその心配もありませんね。

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◇まとめ:力強い福島県産の味わい

柴山さん:今回、このコラボレーションのお話をいただいて、一緒に日本橋ふくしま館 MIDETTEに事前リサーチに行ったとき、食材がバラエティ豊かで改めて“食の宝庫”だと感じました。今後も、福島県産の食材に注目して、もっと料理に活かしていきたいと思いました。

藤﨑さん:その通りですね。福島県を含む日本産食材の底力というか、上質さというか、もっと食べて、もっと伝えていきたなと再確認できる回でした。

 「satokoの一杯逸品」いかがでしたでしょうか? 今回は、福島県産にフォーカスした食材とワインをご紹介してみました。「ふくしま逢瀬ワイナリー」の2本のスパークリング ロゼワインと、桃シャーベットのカクテルで締めてみました。力強い味でした。もっと飲んで、食べて、もっと福島の食材について語りたくなる回となりました。次回をまたお楽しみに!

《Profile・経歴》
藤﨑聡子(Satoko FUJISAKI)
ワインスタイリスト

…1997年ワイン専門誌「ワイン王国」創刊、編集・作家担当・広告業務を担当。2003年ワインスタイリストとして独立。以後、男性ファッション誌、女性ファッション誌でシャンパン、ワイン、料理制作、スタイリング、レストラン紹介などを連載・執筆。

 世界的に発刊されているワイン漫画『神の雫』では、シャンパン女番長としてワインと食材のマッチングコラムを2年半にわたり執筆。これはフランス、上海、北京、香港、台北、ソウル、アメリカで翻訳され現在も発売中。単行本では24巻から36巻まで収録されている。

 レストランのワインリスト作成、メニュー開発、またスタッフに対するワインセミナーもジャンルを問わず手掛ける一方、ファッション撮影ではインテリアコーディネート、フードスタイリングなども担当構成。2014年12月、シャンパン100種類、メインディッシュは餃子、唐揚げをリスティングするラウンジ・Cave Cinderellaを東京・西麻布にオープン。

 フランス・シャンパーニュ生産者組合団体・シャンパーニュ騎士団より2007年シュヴァリエ・ド・シャンパーニュ、2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。シャンパン、餃子、唐揚げ、ポテトフライ、ゴルフをこよなく愛する。

Video Photograph & Edit / Kazune Yahikozawa 
Director / Yusuke Hama, Kie Soeda
Hair and make-up / BOTAN