ワインの奥深さに敬意を払う一方で、「ワインやシャンパンって肩肘を張らず、もっとカジュアルで、でもエレガントで…、おいしくて、誰でも楽しめるオープンな世界」という哲学を持つワインスタイリストの藤﨑さん。

 動画連載「satokoの一杯逸品」の第3回目は、お取り寄せできる「きりたんぽ鍋」とのペアリングを考えていきます。今回、合わせてみたのがシャンパーニュと白ワインです。「熱々お鍋にワイン?」と二の足を踏んだ方、ぜひ参考にしてみてください。

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藤﨑さん:こんにちは、「satokoの一杯逸品」のお時間です。今回は“お取り寄せ”です。テーマは「きりたんぽ鍋」。

 お取り寄せなので、スープも付いています。スープは、水やお湯を加えて薄くして召(め)し上がるタイプと、そのままストレートでいただけるタイプがあります。

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『きりたんぽセット(3人前)』6200円(税込)、内容量:きりたんぽ6本、比内地鶏250g、スープ2袋、ネギ2本、セリ1束、舞茸1、ごぼう1、こんにゃく1。※レンコン別売り(藤﨑チョイス)購入はこちらから

 今回は、秋田県にある会社『本家比内地鶏』からお取り寄せできる『きりたんぽセット(3人前)6200円(税込)』を選びました。炭火焼のきりたんぽと、比内地鶏やセリなどの野菜が詰め合わせてあるセットです。

 いろいろな通販サイトがあり、取り寄せ方法も多くあるなか、私の中で「きりたんぽ鍋」を注文するときのキーワードは、「比内地鶏」「あきたこまち」「新米」「作りました」でした。

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「やまつ辻田」の『実生柚子こしょう(60g )」756円(税込)購入はこちらから

 きりたんぽ鍋に加えてみたいのが、柚子胡椒です。『実生柚子こしょう』の販売元は大坂の会社ですが、私は日本橋高島屋で購入しています。

 九州エリアで鶏肉料理を食べる時、柚子胡椒がもれなくついてくるなぁ、ならばこのきりたんぽでもいけるのではないか、と思い薬味として考えてみました。この柚子胡椒は香りと旨味と辛さのバランスが素晴らしいです。

 普通に白いお米を食べていて、「お酒飲もう」とはなりにくいかもしれませんが、「きりたんぽ鍋」となると旨味がどんどん出てくるから、お酒類が欲しくなりませんか? お米をつぶして焼いて、さらにスープとからませているので、ワインが進むはずです。

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◇きりたんぽ鍋×シャンパーニュを考察

▼シャンパーニュ・ドゥラモットはシャンパーニュ「サロン」の姉妹メゾン

 そして今回の「きりたんぽ鍋」に、まず合わせてみたい1本目が…シャンパーニュ・ドゥラモット「ドゥラモット ブリュット NV」です。シャルドネ55%を主体としてピノ・ノワール35%、ピノ・ムニエ10%がブレンドされています。

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シャンパーニュ・ドゥラモット「ドゥラモット ブリュット NV」6600円(税込)購入はこちらから
■250年以上の歴史を誇るメゾン「ドゥラモット」
…1760年、ランス市参事会員のフランソワ・ドゥラモットによって創立された由緒正しきメゾン。その本拠地はランスからコート・デ・ブランの心臓部、ル・メニル・シュール・オジェに移され、「サロン(SALON)」の姉妹メゾンとして新たな道を歩んでいます。

■テイスティング

 シャンパーニュ・ドゥラモットは、シャンパーニュ「サロン」がリリースされない年の葡萄が、ドゥラモットに使われています。シャルドネの旨みやピノ・ノワールの使い方がすごく上手だと思っています。

 酸の“キレ”を感じられて、だけど3種の葡萄がブレンドされているので優しい甘さがあります。

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■ペアリングは?

 シャンパーニュにおける酸味とは、味わいの骨格をつくるものだと思っています。ですから、その骨格がしっかりしていると、どんなお料理に合わせてもシャンパーニュの旨みがブレないと思っています。

 例え鍋のお料理が熱々でも、シャンパーニュの骨格がきちんとしていれば、旨みが分かります。シャンパーニュにはそんな器用さがあります。「酸味=シャルドネ」ですので、シャルドネがきちんと表現されているものを選ぶのがポイントです。

◇きりたんぽ鍋 × 白ワインを考察

 他の選択肢として、白ワインもペアリングとして試してみたいと思っています。

 「きりたんぽ鍋」のような熱々のお鍋と合わせるので、酸味がすっきりした味わいの熟成した白ワインを選んでほしいと思っています。ですが、当然それぞれ人の好みもあると思いますので、こちらの2本の白ワインを飲み比べて、それぞれのペアリングを考えてみたいと思います。

 オーセイ=デュレスというブルゴーニュ地方コード=ドール県の南部にある村で生産されるワイン、ルフレーヴ・エ・アソシエ「オーセイデュレス ブラン 2018」モレ・ブラン「オーセイ・デュレス ブラン 2015」です。

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ルフレーヴ・エ・アソシエ「オーセイ・デュレス ブラン 2018」7700円(税込)購入はこちらから
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モレ・ブラン「オーセイ・デュレス ブラン 2015」7920円(税込)購入はこちらから

▼注目すべきオーセイ=デュレス産ワインの魅力

 きりたんぽ鍋には比内地鶏が入っているから、「肉だから合わせるのは赤ワイン!?」という一般的な方程式はあると思いますが…、私はそんな気がしていなくて、「では、何を合わせたら良いのか」と考えたときに、

  1. そこまで香りのアタックが強くないワイン
  2. 葡萄の成熟した旨みを感じられるワイン
  3. 葡萄の表現がシンプルにできているワイン

 の3つをクリアしたい…、悩み抜いてブルゴーニュ地域の白ワインにたどり着きました。

 オーセイ=デュレス(Auxey-Duresses)は、ブルゴーニュ地方コード=ドール県の南部にある人口350人ほどの村です。銘醸畑が入り混じる、複雑な土地質(テロワール)を持っています。地中で色々な断層がつながっている地域ですので、土地の“良質さ”もワインに混在していると思って選びました。

 ご存知、隣り村のムルソーのワインになると、同じようなカテゴリーのワインでお値段が2倍~3倍になってしまいます。ですが、オーセイ=デュレスはあまり知られていませんし、「え、そこのワインに注目する!?」って感じられる方もいるかもしれません…。

 そんなマニアックなオーセイ=デュレスに、私はそんなオーセイ=デュレスに、20年前くらいからとても魅かれています。今回ご紹介した2本の白ワインとも、7000円弱で購入できます。

 (先ほども言いましたが)ひとつ隣りの村ムルソーのワインになると、状態の良い若いヴィンテージでも1万5000円は覚悟しないといけないのでオーセイ=デュレスのワイン、知らないともったいないですね。

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ワインの飲み比べ、順番はどうしたらいい?

 ワインの飲み比べをするとき、順番はどうしたらよいのかという問い合わせがあります。飲み比べるときは、若いヴィンテージから飲むようにしてみてください。

 今回は、2015年と2018年の白ワインを用意していますので、若いヴィンテージというと「2018年」のワインになります。

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■テイスティング・ペアリングは?

 ルフレーヴ・エ・アソシエ「オーセイ・デュレス ブラン 2018」の香りは華やかで、ふわっと熟成した旨みが広がります。少し甘みも余韻に残るので面白いテイストです。

 モレ・ブラン「オーセイ・デュレス ブラン 2015」は、ムルソー地方のワインを召(め)し上がる方の言葉を借りるとしたら、“ムルソーっぽさ”の香りがあります。ですが、余韻はとても穏やかに終わります。2015年のワインをまだ飲めるなんて、そしてこんなにも状態が良く仕上がったワインが飲めるということは、とてもうれしい体験ですよね。

 モレ・ブラン「オーセイ・デュレス ブラン 2015」は、旨みのあるスープとして塩分量を抑えたものや、シンプルな素材で構成された鍋に合わせやすいに合わせやすいと思っています。

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◇まとめ:仏ワインを楽しむヒント

 いまブルゴーニュワインは、値段が上がってきています。

 理由のひとつとして挙げられるのが、収穫する人たちが少なくなってきている背景もあります。シャンパーニュの場合は、人材不足で葡萄を捨てざるを得ないメゾンもあったりするのが現状です。

 こういった事実は、フランスのワイン業界においても危機的な状況をはらんでいるとも感じています。だからこそなのですが、ワインを楽しむヒントとして、いまの段階で美味しく飲めるワインを探せるかどうか?がカギになると思います。

 今回は少し悩みながら、シャンパーニュ・ドゥラモット「ドゥラモット ブリュット NV」、ルフレーヴ・エ・アソシエ「オーセイ・デュレス ブラン 2018」、モレ・ブラン「オーセイ・デュレス ブラン 2015」の3本と「きりたんぽ鍋」を合わせてみました。お鍋とワインを合わせるのは、難しいと思う方もいるかもしれません。ですが、好きなモノをどう味わいたいかを優先的に考えて良いと思います。

 お鍋と何を合わせて飲むかと悩んだ際に、ぜひ参考にしてみてください。次回はもっと楽しい「satokoの一杯逸品」があります。お楽しみに!!

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《Profile・経歴》
藤﨑聡子(Satoko FUJISAKI)
ワインスタイリスト

…1997年ワイン専門誌「ワイン王国」創刊、編集・作家担当・広告業務を担当。2003年ワインスタイリストとして独立。以後、男性ファッション誌、女性ファッション誌でシャンパン、ワイン、料理制作、スタイリング、レストラン紹介などを連載・執筆。

 世界的に発刊されているワイン漫画『神の雫』では、シャンパン女番長としてワインと食材のマッチングコラムを2年半にわたり執筆。これはフランス、上海、北京、香港、台北、ソウル、アメリカで翻訳され現在も発売中。単行本では24巻から36巻まで収録されている。

 レストランのワインリスト作成、メニュー開発、またスタッフに対するワインセミナーもジャンルを問わず手掛ける一方、ファッション撮影ではインテリアコーディネート、フードスタイリングなども担当構成。2014年12月、シャンパン100種類、メインディッシュは餃子、唐揚げをリスティングするラウンジ・Cave Cinderellaを東京・西麻布にオープン。

 フランス・シャンパーニュ生産者組合団体・シャンパーニュ騎士団より2007年シュヴァリエ・ド・シャンパーニュ、2009年ジャーナリスト最年少でオフィシエ・ド・シャンパーニュを叙任。シャンパン、餃子、唐揚げ、ポテトフライ、ゴルフをこよなく愛する。

Video Photograph & Edit / Kazune Yahikozawa 
Director / Yusuke Hama 
Hair and make-up / Makiko Hayashi(tree・tree)