デルタ株急増で、
NYでは屋内飲食は
ワクチン接種者のみに

 アメリカ全体でもコロナ感染者は増大していて、全米で4万人以上が新規感染しており、特にフロリダ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州、テキサス州など、南側の州のホットスポットが目立つ。

 テキサス州では、3月にマスク着用義務がなくなり、7月には減少したものの、8月15日の段階では、1万1000人を超える人が入院している。ワクチン接種を終えた人の割合が45%と低く、もはやコロナ感染患者によって病床が逼迫(ひっぱく)している状況だ。

 厄介なことにデルタ株は、ワクチン接種をしていれば感染しないというわけではなく、実際にまわりでもワクチン接種済みの人が陽性になるブレイクスルー感染は起きている。

 では、ワクチン接種が無意味かといったら、決してそうではない。こちらは保健問題の分析やジャーナリズムに特化した非営利団体KFFによる調査だが、各州のコロナ感染者数のうち、「ワクチン接種済み者」と「未接種および接種が完全に終わっていない者」たちの割合を示す表だ。驚くことに、各州でコロナ感染者の95~99%はワクチン未接種者だ。自分の身を守り、他人を守るためには、やはりワクチン接種が重要となる。

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Courtesy of KFF
非営利団体KFFの公式サイト内で2021年7月30日に公開された、財団の調査による各州のコロナ感染患者におけるワクチン接種者と、未接種者のパーセンテージ。95%以上が未接種者で、接種しても感染するブレイクスルー感染は全体の割合としては非常に小さく、ワクチン接種の有効さを物語る。

 ニューヨークでもデルタ株の感染拡大となっていて、10月がもっとも感染が多くなると予想されている。

 ニューヨーク市では8月16日から、レストランの屋内ダイニングにはワクチン接種済み証明パスポートが必要となる。またジム、コンサート会場、映画館、ボーリング場などのインドアで、ワクチン証明が必要になった。

 ニューヨーク州が発行する「エクシオール・パス」に、さらにワクチンの接種日や種類の情報を入れた「エクシオ−ル・パス・プラス」が更新され、これがデジタルのパスポートとなる。

 ほぼすべてのインドアでの活動には、このパスの提示が必要となるが、屋外ダイニングであれば、接種済みでない人もオーケイなので、屋外ダイニングはこの秋冬も引き続き行われるだろう。

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Courtesy of NEW YORK STATE
ニューヨーク州が発行するワクチンパスポート「エクセルシオール・パス」。この提示がなければ、インドアダイニングや屋内ジムでの活動はできない。

 また、企業でのワクチン接種必須も進み、大手食肉会社のタイソン社も従業員にワクチン接種を必須とする、最も大手の私企業となった。

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 企業のオフィスワークも延期するところがあいつぎ、Google社では10月までリモートワークを続けることになり、オフィス復帰もワクチン接種者のみに限るとしている。

 最も懸念されるのが、学校の対面授業の再開だ。デルタ株は子どもへの感染も多く、パンデミックが始まって以来、感染者数における子どものパーセンテージは14%であったのだが、8月5日から8月12日の期間では12万1427人の子どもの感染者が出ていて、これは全体の18%を占める数値となる。子どもが感染しやすくなっていることは、今までになかった不安材料だ。

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Ellie Kurobe-Rozie
ニューヨーク市内のレストランでは8月17日より、店内での飲食にはワクチン接種済み証明が必要となった。レストランの入り口にも、「NY市は、このビジネス店内に入るにはワクチン接種をしていることを要請します。12歳以上は、コロナワクチン接種済みの証明を見せること」と書かれたボードが入り口に立てられている。

五輪で明らかになった
メンタル問点

 東京パラリンピックが始まったが、オリンピックについては、アメリカNBC放送では低い視聴率に留まった。NBC中継では、アメリカ人キャスターたちが日本の納豆を食べるのにチャレンジするという企画を行っていたが、実につまらない放送で、これが本来なら東京のさまざまなスポットを紹介するような番組だったと想像すると、残念だ。

 そんな五輪報道が少ないアメリカでも大きく報道されたのが、女子体操選手の花形であるシモーネ・バイルズ選手の棄権だった。これに保守系メディアであるFOXではバイルス選手を「精神的に弱い」と批判、彼女の地元であるテキサス州の副司法長官は、「利己的で、子どもじみていて、国家の恥」とまで批判をした(ツイートは削除済み)。

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Jamie Squire//Getty Images
大会11日目の8月3日、有明体操センターで行われた東京2020オリンピック 女子種目別 平均台で、銅メダルを獲得したシモーネ・バイルズ選手。

 大坂なおみ選手がメンタルヘルスを理由にフレンチオープンを棄権したときも、同じように「弱い」という批判が上がった。日本国内でも、順番が違う」といった批判がワイドショーで上がっていた。しかし、一流アスリートを「弱い」と批判できるのは、彼らと同じ土俵に立ったことがある者だけではないか。

 もし、「大きな予算をかけてきて、多くの人たちが支援をしてきたのに、メダルを獲ろうとせずに裏切るとは許しがたい」と怒るとしたら、それはアスリートのことを国力を誇示したり、昂揚(こうよう)を生み出したりする製品とみなしていることだ。

白い女子体操の世界で
闘ってきたバイルズ選手
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Ellie Kurobe-Rozie
2020年3月3日(現地時間)、ニューヨークのタイムズスクエアにある41個のデジタルビルボードは「SK-Ⅱ」のブランドカラーである赤色に染められた。そこで東京2020オリンピックの公式スキンケアブランド「SK-Ⅱ」は、2020年2月よりスタートしたキャンペーン「#NOCOMPETITION 美は #競争ではない」に関連し制作された動画、『SK-Ⅱスタジオアニメーションシリーズ”VS”』の予告編を初公開。そのアニメーションの主役として、“Kaiju”(怪獣)と戦うシモーン・バイルズ選手(左)が記者会見に登場。右はジャーナリストのケイティ・クーリック氏。

 私自身はバイルズ選手を、20年3月ロックダウン直前のニューヨークでの記者会見で見たことがある。バイルズ選手が参加している、SK-IIのキャンペーン「美は競争ではない」の取材会場でのことだった。このキャンペーンはいかに女性アスリートたちが、「ネットのトロール」や「機械のような完璧さ」といった「怪獣」と闘い、それを克服したかというアニメの物語だった。

 バイルズ選手は画面で見ると、非常に大きく見えるが、実物は150センチそこそこと驚くほど小柄だ。そして彼女が闘ってきたのは、ネットでのネガティブな言葉だったという。

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SK-II STUDIO:シモーン・バイルス「VS アンチ」 #CHANGEDESTINY
SK-II STUDIO:シモーン・バイルス「VS アンチ」  #CHANGEDESTINY thumnail
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 女子体操選手というと、どんなイメージを思い浮かべるだろうか。

 伝説のスターといえば、1976年モントリオール五輪で10点満点を叩き出して金メダルに輝いたルーマニアのコマネチ選手だろう。コマネチ選手につけられたアダ名が、「白い妖精」だ。当時14歳だったコマネチ選手の妖精のような、か細いスタイルは、たちまち世界を席巻した。

 女子の体操競技は、旧ソ連や東欧諸国のお家芸でもあったから、白人の少女たちが強い競技だったのだ。

 体操の世界では10代前半の方が有利ということもあって、どんどん若い選手が出るようになり、体操連盟はオリンピック参加年齢を16歳に引き上げることになった。

 それでもなお女子体操界には「白い妖精」のイメージがつきまとい、成熟していない細い身体が良いとされる業界だったのだ。

 そこに現れたのが、バイルズ選手だ。彼女は黒人の中でもダークスキンであり、筋肉がついた逆三角形の体つきをしている。

 バイルズ選手は、その環境の中で「腕が太すぎる」「筋肉質すぎる」「黒すぎる」といったネガティブなコメントに攻撃されてきた。

 バイルズ選手は記者会見で、こう語っていた。

 「美しさに対するネット上での批判が、私の人生で最大の戦いです。美しさとは、自分自身で定義することができます。人の美しさを、他人が決めるべきではないのです」

 そうした中傷と戦いながら、リオ五輪では金メダルを獲ったのがバイルズ選手である。それだけに今回、精神的ストレスから個人総合決勝戦を棄権したのは、本人にとってかなり苦しかったのだろう。

 バイルズ選手にとっては叔母の死が引き金になり、「ツイスティ」という症状を発症したと伝えていた。これは身体が思うように動かせなくなる症状だが、例えばプロの演奏家や歌手でも、ストレスなどで突然指が動かない…、声が出せなくなる…といった症状が起こる。

 バイルズ選手は棄権後も、練習を続けさせてくれた順天堂大学に感謝を表し、平均台での銅メダル獲得を「なによりも意味があるもの」と発言していた。

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橋本大輝選手への批判で
わかったSNS害

 オリンピック男子体操の橋本大輝選手が金メダルを獲ったときに、中国からの批判ツイートがあふれたという事件もあった。あまりに批判的な投稿があふれたために、国際体操連盟(FIG)は、「審査は公正かつ正確だった」との声明を出すという異例の事態となった。

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 アスリート個人を批判するのは最低の行為であり、それに対してツイッターで所信表明をした橋本選手は尊敬に値する。

 昔から負けたほうが、「あの採点はおかしい」と文句をつけるのはよくあることだが、以前であればテレビの前で毒づいて、それでウサ晴らしして終わっていたはずだ。ところが現代では、SNSでアスリート本人にも文句を言える。

 これは20世紀のアスリートにはなかったストレスで、現代のアスリートは20世紀までにはなかった多大な言葉の暴力に曝されており、そこからどうメンタルを守っていくかは大きな課題となりそうだ。

 全仏オープンから東京オリンピックを通して、アスリートたちにとっての「精神的ストレス」「メンタルヘルス」が取り沙汰されるようになったのは、ひとつの変化といえる。

 アスリートたちは製品ではない。生きている人間だ。メンタルヘルスに対する「気づき」を持ち込んだ大坂なおみ選手の意義は、やはり大きい。

ウォーク・カルチャーが炙り出す
「今まではオーケイだったこと」

 五輪を機に炙りだされた問題を表現するならば、「ウォーク・カルチャー」(Woke culture)がある。

 Wokeというのはwake(目覚める)の過去形で、つまり「目覚めた」文化と訳せる。「ブラック・ライヴズ・マター」運動で耳にするようになった用語だが、人種問題について特に考えていなかった、かつての白人層と対比して、奴隷制度とつながる人種差別や社会における不平等について「認識する」「目覚めて意識する」というカルチャーだ。

 それによって「目覚めた」人たちが歴史を解釈しなおしたり、人種差別に考慮なく立てられていた銅像を引き倒したり、あるいは日常にひそんでいる構造的差別について声を上げるようになった。

 これは人種問題に限らず、ジェンダー差別やLGBTQ 問題などでもいえることだ。ウォークは、「社会的不平等や人種差別になどに敏感である」ことを示す。

 例えば、スポーツにおける「性的な視線で扱われる」こともそのひとつだ。

 東京五輪ではドイツ代表の女子体操チームが、「ユニタード」という足首まですっぽりおおうボディースーツで登場した。レオタード姿の女性アスリートに向けられる性的な視線に、「ノー」を突きつけた形だ。

東京五輪,gymnastics   artistic   olympics day 2
Ezra Shaw//Getty Images
2021年7月25日、大会2日目に有明体操センターで行われた女子予選の平均台でパフォーマスを披露するドイツ代表のキム・ブイ選手。今大会でドイツ体操女子チームは、足首まで覆う「ユニタード」を着用していました。

 7月に行われたビーチハンドボール欧州大会では、ノルウェーの女子ビーチハンドボール選手たちが、ルールのビキニを着ずに短パンを履いて出場した。そのため罰金が制されることになり、歌手のピンクが違反金を支払うと申し出たことが大きなニュースとなった。

 これまでは観客は「ビーチバレーやビーチハンドボールはそういう恰好のスポーツなのだろう」とさほど気にしていなかった事柄だろう。ところがショートパンツが許されない規定を知って、明らかにおかしいと議論が湧き上がったのだ。

 女性アスリートたちを性的な対象として扱い、セクシー路線によって人気を高めようとするなら大きな間違いだ。

 声を上げたノルウェーのビーチハンドボール選手団や、私自身を含めて観客に「気づき」と「目覚め」をうながしてくれた、意義あるものだ。

クオモ知事がセクハラで辞任に

 そして8月ニューヨークを揺るがしたニュースといえば、セクハラによるクオモ州知事知事の辞任だ。これもまた10年前なら黙認されていたことが、今では全く容認されないという時代の流れをあらわしている。

 昨(2020)年のパンデミックでクオモ知事は毎日の会見を行い、数値を見せては現状を伝え、ニューヨーカーに希望を与えていた。とはいえ、リーダーシップがあって仕事で敏腕であるのと、セクハラが許されるというのは別問題だ。クオモ知事は10年にわたって権力を掌握してきて、彼を畏敬するスタッフは多かっただろう。だが、仕事で尊敬されるからといって、異性として魅力的と思われているかというと、全く違う。

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Biden On Cuomo Sexual Harassment Report: ‘I Think He Should Resign’
Biden On Cuomo Sexual Harassment Report: ‘I Think He Should Resign’ thumnail
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 NY司法省が発表したのは、彼のセクハラによる11人の被害者に関する詳細なレポートだった。バイデン大統領がクオモ州知事に辞任をうながしたのも、クオモ氏にとって肩叩きとなった。

 このクオモ知事辞任によって、副知事を務めていたキャシー・フォークル(Kathy Hochul )氏が8月24日に州知事として就任することになった。これはニューヨーク州初の女性知事誕生となる。

 そしてもうひとり注目したいのが、クオモ知事のセクハラに関する報告書をまとめたレティシア・ジェームス(Letitia James)州司法長官だ。彼女はセクハラについて、因縁めいた係わりがある。

 彼女の前任者がエリック・シュナイダーマン司法長官なのだが、彼は女性への加害行動を告発する「#MeToo」運動を支持して、映画プロデューサー、ハービー・ワインスタイン氏をニューヨーク州として提訴したことでも名高い。

 ところがこのシュナイダーマン長官自身が、女性への暴行で訴えられたのだ。『ニューヨーカー』誌に彼に暴行を受けた女性4人の告白が掲載、「彼が酔ったときにDVを受けた」と告発したのだった。

 それを受けてクオモ知事が辞任を要求して、シュナイダーマン長官が辞任したという経緯がある。そして、シュナイダーマン氏が辞任したあとに州司法長官に就いたのが、女性のレティシア・ジェームズ氏なのだ。

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 ワインスタイン氏を追い詰めたシュナイダーマン元長官が、今度は自分の女性暴行で辞任して、さらにそれを非難したクオモ前知事がセクハラで辞任する。

 まさにセクハラ失脚のドミノ倒しで、権力あるところにはセクハラやパワハラがつきまとうという構図だろうか。

 つぎつぎとトップがセクハラで辞任になるのは情けない話だが、おかげでレティシア・ジェームス長官やキャサリン・ホークル副知事といった右腕だった女性たちがトップに立つ機会がまわってきたのは、良い側面だろう。

 10年前は黙認されていたセクハラが、現在ではあからさまに表に出る。クオモ氏はリーダーシップを見せつけたものの、みずからの行為を省みなかったのは脇が甘かった。

大谷翔平選手の日本人英語を
からかった解説者はバッシング

 最近のウォークな事件では、LAエンジェルスで快進撃を続ける大谷祥平選手にかかわることも起きた。これはタイガース対エンジェルス戦の中継での、解説者の元名選手ジャック・モリス氏の発言によるもの。

 大谷選手の打席でモリス氏が、大谷選手への対策として“Be very, very, careful(よくよく用心して)”と口にしたのだが、それが日本人の発音の仕方を真似た言い方であったために、「差別的だ!」と炎上したのだった。

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 そこで放送したスポーツ局の「バリー・スポーツ・デトロイト」社が、モリス氏の発言に非常に失望していて、同氏の放送業務を無期限に停止すると発表した。さらに同氏が前向きに影響を与えられるよう、教育するためにバイアストレーニングを受けさせるとまでいい、差別に対して毅然とした姿勢をとった。

 日本のお笑いでも、外国人風の発音で喋るといったジョークが存在するが、それは「日本人ばかりの観客を相手に」「ネイティブの日本人しかいないという前提」で成り立っているとお気づきだろうか。

 アメリカでは「エスニックジョーク」が存在していて、ある人種や民族特徴を上げて、笑いを誘うジョークがある。このときに絶対的なタブーとなっているのが、自分以外の人種や民族をからかうことだ。例えば黒人が黒人を主とした観客に向かって、黒人ファミリーの慣習やネタを繰り広げるのはオーケイ。いわば自分を含めた自虐ネタにもなっているからだ。しかし、白人やアジア人が黒人の特徴をあげつらうジョークだとしたら、絶対許されない。

 この発音ネタも日本人のスタンダップコメディアンが、「日本人にありがちなRとLの区別がつけられない」ことをジョークのネタにするのはオーケイ。観客も笑って観ることだろう。しかし、ネイティブのアメリカ人が移民の発音を公の放送でからかうというのは、許されない。

 発音をからかう差別は実際にはいくらでもあることだからこそ、放送を聞いている子どもたちに影響を与えるかもしれないし、「言っていいことなのだ」と人々に許可を与えるかもしれない。そこが公共の放送では問題となる。

 こうした言葉の訂正について、「言葉狩り」だという意見も見られる。が、そうしたジョークがすでに新しい世代には面白くないものであり、センスがズレてきていることは否めない。

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 モリス氏は現在66歳であり、彼の世代ではこのジョークの感覚もおかしくはないのだが、ようするに人種差別にとって鈍感な身から出た錆だと言える。

 モリス氏の復活もあり得るだろうが、今回「ゼロ・トレランス」(一切の容赦がない)という姿勢で挑んだ「バリー・スポーツ・デトロイト」社の判断は正しいと感じる。

 10年前であれば通用したかもしれないことが、現在では通用しなくなってきている。スポーツ界でも政界でも、ウォークな時代の変化に鈍感でいられない時代になってきているのだ。


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写真提供:黒部エリ

黒部エリ
Ellie Kurobe-Rozie

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業後、ライターとして活動開始。『Hot-Dog-Express』で「アッシー」などの流行語ブームをつくり、講談社X文庫では青山えりか名義でジュニア小説を30冊上梓。94年にNYに移住、日本の女性誌やサイトでNY情報を発信し続けている。著書に『生にゅー! 生で伝えるニューヨーク通信』など。