フランスイタリアスペインとヨーロッパの国々を旅して回り、実際に目にして感じた街の魅力をお伝えするとともに、円安の影響を大きく受けた旅費の話まで正直に明かす本連載の第4話。最終目的地はイギリス・ロンドンです。

[目次]
1.ロンドンの観光名所
2.滞在したホテル
3.ロンドンの交通機関
4.飲食費は高い
5.まとめ


パリと並んで、観光客に人気の都市のひとつとも言われているロンドン。「007」シリーズや「ハリー・ポッター」シリーズ、映画『ノッティングヒルの恋人』、ドラマ「ザ・クラウン」シリーズなどロンドンの街を舞台にした映画やドラマは数多くあり、街の魅力は改めて説明するまでもないでしょう。

ただ、ロンドンと言われて頭に浮かぶのは、雨やどんよりした空模様の光景ばかり。正直なところあまり期待していませんでした。予想通り、ロンドンに到着した日はどんよりとした雨が降り、バルセロナで着ていたTシャツのままでは肌寒く感じられました。

ですが、幸運にも翌日からは晴れの日が多く、ロンドン滞在中(2023年7月22日〜25日)の気温は15度〜23度と比較的涼しく、ニットやTシャツに軽い羽織りものを着ている人など、少し早めの秋のファッションを楽しめました。そして、行くまではネガティブなイメージばかりでしたが、晴れの日のロンドンはびっくりするほど綺麗で、曇り空でも街中に飾られた花が視界に彩りを与え、街行く人のファッションに思わず目を奪われるなど、この街が人気な理由に納得がいきました。

ロンドンの街角にある電話ボックス
Mirei Uchihori

♢観光(という名のショッピング)

「ロンドン 観光地」と検索して上位に表示されるのは、ビッグ・ベンやバッキンガム宮殿、大英博物館、ナショナル・ギャラリーなど。どれも魅力的で、もちろん一部の観光地は見て回りましたが、ロンドンに来る前の3週間の間に、あまりにも歴史的なものに触れる機会が多かったため、久しぶりのビッグシティを前に買い物に走りたくなってしまったのです。

今回のロンドン滞在は観光地はほどほどに、「END. Clothing」や「Sunspel」、サヴィル・ロウ、「ハロッズ」といったロンドンファッションの名所を中心に回りました。

end clothing
Mirei Uchihori

END. Clothing(エンド)

イギリスで熱烈な人気を集めるセレクトショップ「END. Clothing」は、ハイセンスなメンズファッションに特化したお店。身支度を整えるために必要な、香りものやスキンケアアイテム、CDやレコード、小物類まで取りそろえており、そのディスプレイからもインスピレーションを受けられそうなほど刺激的な空間です。

a person standing in a doorway
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Sunspel(サンスペル)

「007」でダニエル・クレイグが着用したことで、日本でも高い知名度を誇る「サンスペル」。日本で唯一の路面店だった表参道店が2023年2月に閉店し、実物を見られるのはたまに開かれるポップアップショップのみとなっています。現在は日本の店舗のロケーションを探しているとのことで、日本撤退したわけではないようです。

サヴィル・ロウ
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サヴィル・ロウ

スーツの聖地であるサヴィル・ロウも、一度は訪れてみたかった場所のひとつ。映画『キングスマン』のロケ地である「Huntsman & Sons(ハンツマン&サンズ)」や、最古のテーラー「HENRY POOLE(ヘンリー・プール)」、そして日本でも高い人気を誇る「Drake's(ドレイクス)」などがあります。ロンドンはどこも混み合っていますが、サヴィル・ロウは人通りが少なくひっそりとしていて、窓越しに仕立て作業している人を見るなど静かな時間が流れていました。

harrods london
Mirei Uchihori

Harrods(ハロッズ)

イギリス最大の老舗高級百貨店「ハロッズ」。オリジナルのキャラクターであるクマが至るところに出現し、思わず欲しくなってしまいます。天井や柱に施されたエレガントなモールディングや大理石の床、贅沢に飾られた花など、高級ブランドの服と同じくらい目を引く内装が気になりました。

他にも、さまざまなお店でウィンドウショッピングをしました。イギリスは2020年にEU離脱とともに免税制度が廃止されているうえ、円安の影響で1ポンド186円(2023年7月22日時点)ということもあり、買い物は容易ではありませんでした。一部の百貨店などからは、免税制度の復活を望む声も上がっているとは言われていますが、正直なところロンドン(ポンド)よりもパリ(ユーロ)で買い物したほうがまだ安く感じられました。

ただ、ロンドンの観光地でチケットを払うという出費がなかった点は、リーズナブルと言えます。前述の大英博物館、ナショナル・ギャラリーは入場料が無料ですし、ビッグ・ベンやバッキンガム宮殿も外から見る分にはお金はかかりません。

♢滞在したホテル

今回滞在したのは、ロンドンのコヴェント・ガーデンにあるホテル「AMANO」。2022年にオープンしたばかりのホテルで、1階にあるレストラン「Penelope’s」ではスペインとイスラエルの味を融合させた料理を堪能でき、毎週末DJによる音楽を楽しむことができます。また、ルーフトップバーもあり、ロンドンの夜景を眺めながらお酒を楽しむこともできます。今回滞在したのがちょうど土曜日ということもあり、「Penelope’s」にはドレスアップした人たちが店の外に列をつくるほど集まっていました。

ホテル「amano」の一階にあるレストラン「penelope's」
Mirei Uchihori
ホテル「AMANO」の一階にあるレストラン「Penelope’s」の入り口。

ホテルの内装はモダンなデザインで、照明や家具などにもこだわりが感じられ、バスルームはシャワーのみですが、広々とした造りになっていました。他のほとんどのホテルと同様に、アメニティやタオル交換は希望制で必要な場合はフロントに申告するスタイルでした。

ホテル「amano」の外観
Mirei Uchihori
ホテル「AMANO」の外観。
ホテル「amano」の客室内
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ホテル「AMANO」の客室内。
ホテル「amano」のバスルームの一角
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客室内のバスルームの一角。

ホテルから歩いて15分以内には、ロイヤル・オペラ・ハウスの他にもコヴェント・ガーデンといったショッピングモールがあり、そこにはフレグランスブランドの「ジョー マローン ロンドン」や京都発のコーヒーショップ「%Arabica Kyoto(アラビカ京都)」、パリ発のファッションブランド「Sandro(サンドロ)」、紅茶専門店「MARIAGES FRÈRES(マリアージュフレール)」、「Apple Store」などオシャレなショップが立ち並んでいます。

♢ロンドンの交通機関

ロンドンと言えば、赤く背の高いロンドンバスが有名ですが、恥ずかしながらロンドンバスが市バスだと現地に行くまで知りませんでした。観光バスか何かだと思っていたため、市内に着いてあの赤いロンドンバスが至る所で走っている光景を見て、驚きつつ少し興奮もしました。街並みを見たかったのと、ただ単にロンドンバスに乗りたいという理由だけで、滞在中はメトロではなく、バスばかり乗っていました。

市内を走るロンドンバス
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London Buss|ロンドンバス

ロンドンバスの料金は定額で£1.75(327円)と決まっています。乗車口は前方にあり、事前支払いをして乗り込みます。決済方法は現金が使用できず、オイスターカードと呼ばれる交通系ICを購入するか、クレジットカードのタッチ決済やApple Payを使用して支払います。iPhoneを持っている観光客にとって、これはかなり助かる機能です。

さらに移動の多い観光客こそ、メトロではなくバスに乗るべき二つのメリットがあります。

  • 最初にタッチしてから1時間以内のバスの乗り換えは無料
  • 何回乗っても1日あたりの運賃の上限額は£5.25/人(980円)

実は、この制度は後から知ったことでした。バスに乗りたいから、バスに積極的に乗っていたのに、なぜか請求が£5.25しか来ておらず、不思議に思っていたところ上記のような制度があることを知りました。

Metro|メトロ

メトロもバスと同様に交通系IC、クレジットカードのタッチ決済、そしてApple Payが使用できます。料金はゾーンによって異なります。ゾーンは1〜6まであり、ロンドンのヒースロー空港が6で、中心地に行くほど数字が小さくなっていきます。ほとんどの観光地はゾーン1〜2にあるため、料金はさほど変わりません。ゾーン1間の移動で£2.7/回となっています。また、メトロにもバスと同様に「ゾーン1〜2の範囲で地下鉄に何回乗っても乗車料金の上限は£8.1」という制度があります。

Taxi|タクシー

ロンドンで驚いたのは、バスだけではありませんでした。ヴィクトリア駅からホテルまでタクシーで移動する際に、タクシー乗り場から乗車しました。乗ったのはロンドンタクシーと呼ばれる、かわいらしい丸みのあるフォルムが特徴の黒い車。車内は後部座席が驚くほど広く、折りたたみの椅子を倒せば対面式で最大5人座れるような造りになっています。まるで王室の人間にでもなったような贅沢な気分になれましたが、ヴィクトリア駅からホテルまでの運賃は£24(4482円)と決して安くはありませんでした。

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♢飲食費は高い

「イギリスのご飯はまずい」という話は有名ですが、少し調べるだけでもアフタヌーンティーが有名なお店や、世界最高のバーアワードに選出されたバー、人気のレストランなど、回りきれないほどの飲食店が山ほど出てきます。なので、一度旅行に行っただけでこの噂に同調することはできません。ただ、SNSでよく見かける人気のレストランに行って、「美味しくなかった」ということはありました。ですが、それはよくあることですよね。

もう一つ、「イギリスの外食費は高い」という噂もありますが、これは本当だと感じました。単純に円安という理由もあると思いますが、コーヒー一杯の値段、ビールや水なども、イタリアやフランスと比べるとほんの少し高く感じられました。参考までに、朝・昼・晩と訪れたレストランやカフェの値段が下記になります。

redemption roasters covent garden
Mirei Uchihori

Redemption Roasters - Covent Garden
Total £13.80(2577円)

sketch
Mirei Uchihori

Sketch
Summer Afrernoontea £160/2人
Water £5.50
Charity Donation £1.25
Service Charge £24.83
Total £191.58(3万5777円)

macellaio rc soho teatro della carne
Mirei Uchihori

Macellaio RC Soho - Teatro della carne
Water £3
Beer £8.50
Roasted Potatoes £7
Green Salad £7
Steak 500g £75
Service Charge £13.57
Total £114.07(2万1302円)

♢まとめ

ロンドンのあと、ユーロスター(列車)に乗ってパリに戻りました。ハイシーズンということもあり、チケットは片道2名で7万372円もかかりましたが、2時間ほどでパリに到着し、飛行機に乗るよりもずっと楽でした。

ロンドンの魅力は未知数です。まだまだ回れていないところもたくさんあるので、次に訪れる際はもっと長く滞在したいです。ただ、ロンドンでは特に何をするにもお金のことが気になってしまいました。ロンドンに行くのであればショッピングは諦め、他のユーロ圏に移動して楽しんだほうが気持ちは楽かもしれません。

※記事内に記載の金額やレートは、旅行時点または記事随筆時点の価格です。